174 マジックカリキュレーター②
入力インタフェースの使いやすさなどを改良して、最終リリース版が完成した。
いつものように同じ魔法陣を7枚の紙に描いてから、これまたいつものように魔法陣仲間全員を招集した。
通信の魔道具があるから招集するのも簡単だね。
工房新社屋4階の中会議室に集まったのは、お兄様、ペリーヌお義姉さま、アレン、ルーシーちゃん、ロザリーちゃん、ブレンダそして私の7人。
ロザリーちゃんがいるので、高等学院が休日のときにした。つまり工房も休日なんだけど、わざわざ出勤してもらったアレンとルーシーちゃんには申し訳ないです。
「皆さん、社会人として仕事で計算をすることが多いことと思います。ロザリーちゃんも生徒会活動で予算配分なんかの計算をする機会が多いよね。この魔法陣の魔法『マジックカリキュレーター』はその計算を高速で行うためのものです。ぜひご活用ください」
最初に発言したのはアレンだ。
「マリアさん、平方根や対数も計算できるのかい?」
「いえ、単なる四則演算だけです。もちろんもっと複雑な計算機能を実装することもできますけど、魔法陣が複雑になって覚えるのが大変になるので…」
「なるほど。でも掛け算や割り算ができるだけでもとても助かるね」
次に発言したのはルーシーちゃん。
「マリアちゃん、今までは暗算や筆算で行うしかなかった計算を魔法で行えるということですのね?」
「そうだよ。ちなみに計算可能な桁数の上限は不明だよ。いちおう30桁の計算までは検証したけど」
「なんということでしょう。信じられないくらい仕事の効率化が進みますわ。やはりマリアちゃんはこの世界の救世主だったんですのね」
いや、救世主なんかじゃないよ。単なる電卓の魔法にそんなご大層な。
ロザリーちゃんも質問してきた。
「マリアお姉さま、使用する魔力量はどうなんでしょう?一日に何回使えるのかが気になります」
「おぉ良い質問だね、ロザリーちゃん。100回起動して魔力量が1減ったくらいだから、おそらく起動魔力量は0.01くらい。普通の人で一日に4000~5000回くらいは使えるかな」
「えええ?すごいですね。ほとんど気にしなくても良いくらいの回数を使えるんですね。さすがはマリアお姉さまです」
ブレンダが静かなので、見てみると涙を流しているよ。
「ぶ、ブレンダ。どうしたの?なぜ泣いてるの?」
「マリアぁ、ありがとう、ありがとう。あなたは神か?」
「いや神じゃないよ、何言ってるの?大丈夫なの?」
神発言にすかさずルーシーちゃんが反応した。
「ブレンダ、あなたにもついに分かったのですね。偉大なるマリアちゃんのご威光に平伏しなさいな」
「ルーシーの言ってたことが私にもやっと分かったよ。天の御使いは本当にいたんだね」
「とうとうブレンダもマリア教の信者ですわね」
いやいや、話が脱線しまくりだよ。天の御使いとかマリア教って何なんだよ。ツッコミどころが多すぎる。
「もう、二人とも馬鹿な冗談を言ってないで、この魔法陣を記憶することを頑張ってよ」
褒められすぎて顔が赤くなっている私だった。てか、ブレンダはよほど計算に苦労してたんだね。