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転生した女性SEの異世界魔法ライフ  作者: 双月 仁介
社会人編(2年目)
168/303

168 通信の魔道具②

 予想通りうちの分類番号は39となった。

 これで『2139000000~2139999999』までの100万個の番号を自由に使用できる。

 翻訳魔道具を作る前に、まずは通信の魔道具の仕組みを考えてみよう。


 まず一人(A)が魔道具を起動して、その際パラメータ設定が行われる。あらかじめ魔道具に登録しているID番号だ。この段階でこの魔道具は待機状態となる。

 もう一人(B)が魔道具を起動し、同じようにこちらもID番号が設定される。これでどちらも待機状態になるね。

 次にAがBのID番号を接続先として入力する。このときソケット通信のAPIをコールすることでAとBが通信状態に移行する。

 音声入力された情報をテキストデータ送信のAPIを呼ぶ際の引数(ひきすう)として渡せば、相手側で音声データとして再生される。

 こんな感じかな?


 検証が必要な項目としては

・コネクトする際のAPI仕様

・テキストデータ送信のAPI仕様

・音声入出力機構

・自分のID番号を外部データとして持つ仕組み(魔法陣の中に固定パラメータとして描き込むと量産の際に困る)

・接続先のID番号を指定する入力インタフェース

だな。

 実際に通信の魔道具が存在している以上、全てできることは分かっている。

 大変そうだけど、やりがいはあるね。面白いし。


 それから二か月後、ようやくプロトタイプの魔法陣が描きあがった。めちゃくちゃ大変だった。もうね、話したくもない。

 なお、この段階で社会人生活は2年目に突入している。

 とにかく、出来上がった魔法陣をお披露目すべく、クラレンスさん、リヒャルトさん、シャルロッテさんの3人を会議室に招集した。

「この魔法陣は通信の魔道具を実現するためのものです。これで試作品を2台作成してください。あ、ID番号は『2139000001』と『2139000002』を使ってくださいね」

「ほう、通信魔道具かぁ。俺の死んだ師匠が作ってたが、ものすごく複雑な機構で一か月に1台作れるかって感じだったぞ。俺は少し手伝いをしただけだがな」

 ふむ、クラレンスさんが経験者なら、今回はクラレンスさんを中心に開発してもらおうかな。いつも試作品作りはリヒャルトさんだったからね。


 いつもなら「はいはい、私が」って言ってくるリヒャルトさんも自信が無いのか、立候補しなかった。

 結局、工房長のクラレンスさんをメインにして、経験を積ませるためにシャルロッテさんをサブとした体制で試作品を作ってもらった。

 もちろん、魔法陣の細かい仕様や入出力インタフェースについてはしっかり説明したよ。


 それから二週間後、試作品完成の報告があがってきたので工房を訪れた。

 魔道具の箱の中を見てみると魔法陣を納めたブラックボックスと魔石が見える。そのほかにももう一つブラックボックス化する予定の小さな箱が入っていた。

 現在その小箱はふたが開いている状態で、中には0~9の数字を指定できるロータリースイッチが10個並んでいた。

 左端から『2139000001』を指している。なるほど、この魔道具自身のID番号だね。


 クラレンスさんがスイッチを入れて魔道具が起動する。

 次に外箱の上に並んでいる10個のロータリースイッチを『2139000002』に設定したあと、接続ボタンを押した。

 ピロンという音が鳴ったけど、これって接続したってことかな?

「嬢ちゃん、繋がったぞ。倉庫のほうにいるシャルロッテがもう一台を持って待ってるから何かしゃべってくれや」

「もしもし、シャルロッテさん。聞こえますか?」

「はい、シャルロッテです。感度良好であります」

 おぉ!シャルロッテさんの声が魔道具から聞こえる。感動だ。いや、前世でさんざん電話を使ってたのに…。


 すでに工房内ではかなり実験していたのだろう。クラレンスさんもリヒャルトさんも感動した様子は無い。私だけが子供のようにはしゃいでいるよ。恥ずかしい。

「これすごいぞ、嬢ちゃん。なにしろタイムラグが全く発生しないんだからな」

 ん?どういうこと?従来品の通信魔道具ってもしかしてタイムラグがデフォルトなの?衛星電話みたいな感じかな?

 まぁ何にせよ、魔法陣にも問題は無さそうだね。良かった良かった。


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