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転生した女性SEの異世界魔法ライフ  作者: 双月 仁介
社会人編(1年目)
160/303

160 共和国への旅③

 輜重(しちょう)部隊の馬車は(ほろ)の付いた荷馬車なので、私たちの馬車も同じものにしている。普通の貴族用の馬車だと目立つからね。

 今、御者台にいるのは私と周囲を警戒するリオン君の二人で、アレンとルーシーちゃんは荷台で休憩している。

 リオン君は短槍(たんそう)を背負い、長槍(ちょうそう)を手に持って立てている状態だ。軽い革の鎧を身に着け、護衛として気を張っている。そんなに気張らなくても良いよ。定期的にマジックサーチを使っているし。


 軍の輜重部隊を襲う盗賊はいないだろうし、気を付けなくてはいけないのは帝国のゲリラ兵くらいだね。

 魔法攻撃だったら防御結界があるから全然大丈夫なんだけど、弓矢だけは怖いね。またアレンが死にかけたときみたいなことは起こってほしくない。まぁ70メートル先から近付いてくる者がいればマジックサーチで分かるので、それだけ警戒していれば良いだろう。

 なお、私たちの馬車は街道を進む隊列の3番手なので、最も安全だ。先頭や最後尾の馬車で戦闘が始まってからでも十分に対処できる。


「マリア姉ちゃん、寒くないかい?このブランケットを膝にかけるといいよ」

 リオン君が荷台から毛布を取って、私に手渡してくれた。もう冬なので、防寒装備は着けているけど、御者台が寒いのは確かだね。

「ありがとう、リオン君。そういえば学院はどうなの?ガールフレンドでもできた?」

「友達なら少しはできたよ。Aクラスは魔法組が多いから、武術組の僕は少し肩身が狭いけど…。それにうちの家格(かかく)が低いせいもあって、貴族よりも平民の子とよく話しているよ」

 ほほう、今年もAクラスに平民の子が入ったのか。それは優秀だな。


「その平民の子とは仲良くしたほうが良いよ。で、男の子?女の子?」

 ワクワクしながら私が聞くと、(いや)そうな顔をしながらリオン君が答えた。

「女の子だよ。魔法組の」

 おお、ロマンスの香りが…。

「ねえ、可愛い?美人?どんな()なのかな?」

「マリア姉ちゃんほど可愛くもないし、美人でもないよ」


 突然後ろの荷台から声がかかった。

「嘘ですわね。うちの情報網によればとても可愛い()だと報告が入っていますわよ。もちろん『マリアちゃんほどではない』というご意見には激しく同意致しますが」

 ルーシーちゃん、だからシャミュア家の情報網って何なの?秘密情報部なの?


 さらにアレンも口を(はさ)んできた。

「リオン君、良かったな。君が平民になればその()と一緒になれるよ」

「アレン様、冗談もいい加減にしていただきたい。僕の将来の目標はマリア姉ちゃんの隣に立つことですよ」

「その隣には僕がいるからね。君の立つ余地は無いよ」

 まーた、喧嘩(けんか)が始まったよ。この二人、相性悪いよね。


 そんな感じで旅は(とどこお)りなく進んでいったのだった。


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