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転生した女性SEの異世界魔法ライフ  作者: 双月 仁介
社会人編(1年目)
158/303

158 共和国への旅①

 国外旅行に行きたい。

 私が転生特典でもらった【全言語理解】は、そもそも国外旅行のとき言語の違いに困らないようにするためのものだったはずだ。

 さすがに戦争中の国であるガルム帝国やアメリーゴ共和国は無理としても、小国はたくさんあるし、その中には帝国の息のかかってない我が王国とは友好的な国もある。

 諸国漫遊したいなぁ。助さんや格さんみたいなお供は不要だ。訪れた国の言葉がペラペラな私は、すぐその国に溶け込めるから一人旅でも問題ないと思う。といっても、アレンは一緒に来るだろうけど。

 仕事中にそんなことを妄想して、忙しさから現実逃避する私だった。


 ところがひょんなことから国外旅行のチャンスが(めぐ)ってきたのは運命のいたずらかな?

 ある日、陛下に呼び出され、そこでとある依頼を受けたのだ。王制国家にとって陛下からの『依頼』は『命令』と同義だけどね。

 アメリーゴ共和国のガルム帝国との国境にある(とりで)輜重(しちょう)部隊が治癒魔道具を運ぶ際、同行してほしいというものだった。

 王宮の中では陛下お一人のみ、私が魔道具の本当の開発者であることをご存じだ。しかもブレーン会戦時の戦闘詳報から、私が戦う力を持っていることも知られている。

 さらに戦争中であるにもかかわらず、それほど危険な旅でもない。

 陛下としては私へのご褒美(ほうび)のつもりなのかもしれないね。はい、めちゃ嬉しいです。ありがとうございます、陛下。


 その話を聞いたアレンが即座に同行を申し出たんだけど、お兄様が難色を示した。一度に工房幹部が二人もいなくなるのは困るとのこと。そりゃそうか。

 その場にいたペリーヌお義姉(ねえ)さまが発言した。

「私の弟のリオンを休学させて、マリアの護衛として同行させましょう。あの子の槍の腕はかなりのものなので、物理的脅威に対する護衛としては申し分ないはずです」

「休学期間にもよるけど最悪の場合、高等学院の卒業が1年遅れるかもしれないよ」

「そのくらい大丈夫です。それよりも義妹(いもうと)のほうが大切ですよ、あなた」

 ありがとう、お義姉(ねえ)さま。リオン君なら気心も知れてるし、楽しい旅になるね。


「シュミット様、奥方様。それなら尚更(なおさら)僕も一緒に行きます。マリアさんとリオン君ではマリアさんが心配で仕事になりません」

 あー、アレンは何か別の心配をしてるみたいだね。そんなことあり得ないから大丈夫なのに。

「うーん、そうだね。アレン君が同行するのならリオン君を休学させることもないか…」

 お兄様が葛藤(かっとう)している。


「私もご一緒したいですわ。でも仕事が…」

 ルーシーちゃんも悔しがっている。うん、観光旅行みたいなものだから、そりゃ一緒に行きたいよね。


 輜重(しちょう)部隊の王都出発は三日後なので、それまでに同行者を決めて輜重部隊長に連絡しなければならない。あまり時間はない。

 これまでの私たちの功績と私の身の安全を考慮した結果、仕事の調整やらなんやらをお兄様とお義姉(ねえ)さまで(おこな)ってくれて、同行者が決まったのが出発の前日だった

 んで、最終的には私、アレン、ルーシーちゃん、リオン君の4名が輜重部隊と一緒に共和国へ行くことになった。

 リオン君が同行するのは本人の強い希望だったらしい。まぁアレン一人に護衛の負担がかかるよりは良いよね。しかも休学扱いではなく短期留学の扱いになったので、進級にも影響はなさそうだ。良かった。


 もしも私がご老公の位置付けなら、アレンが助さん、リオン君が格さん、ルーシーちゃんがお銀かな。八兵衛がいないなぁ、はっ!私が八兵衛なのか?


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