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転生した女性SEの異世界魔法ライフ  作者: 双月 仁介
社会人編(1年目)
149/303

149 治癒の魔道具①

 せっかくの治癒魔法なのに魔法陣でしか発動できない。詠唱魔法では魔力量の関係で発動できないのだ。

 医療従事者にも使ってもらいたいんだけど、魔法陣の秘密は守りたいんだよね。

 考えた結果、治癒魔法の魔法陣を内蔵した魔道具を作って、魔石のエネルギーを使って治癒の『場』を発生させれば良いんじゃないかと気付いた。


 ヒールの魔法陣を魔道具向けに改造するのは簡単だったけど、これって検証作業が難しいんだよなぁ。

 動物実験できるメンタルがあれば簡単なんだろうけど、私には無理だ。

 もちろん人体実験は絶対ダメ。療養所や治療院と呼ばれるところに行って、患者さんや医師の先生の了解のもとで治験(ちけん)するしかないか。

 もしくは私自身の身体で実験するか。

 さすがに虫で実験しても意味ないよね。哺乳類じゃないと…。


 ヒールの魔法陣の発動練習のときも効果が分からないから練習しづらかった。たまたま紙で指先を切ったからこれ幸いと魔法で治癒したけどね。

 みんなはどうやって練習してるんだろう?まさか動物虐待とかしてないよね?ちょっと心配だ。


 気になったのでヒアリングしてみた。

 効果の有無を気にせず、発動の感触のみで練習しているのがお兄様、ペリーヌお義姉(ねえ)さま、ルーシーちゃん、ロザリーちゃん。

 アレンは剣の稽古を木剣ではなく真剣で行っているらしく、その際に()ったけがをヒールで治しているそうだ。実用的な使い方ですな。てか、怖い稽古してんなぁ。

 ブレンダは両親や幼馴染(おさななじみ)の料理人さん(見習いは卒業した)が仕事でけがしたときに使っているらしい。もちろん治癒の対象者には口止めしているそうだ。

 やはり日常的にけがをする環境にあるかどうかで練習の効率が違うね。


 うちの魔道具工房の職人たちも仕事でけがを負いやすいから、魔道具の検証作業はしやすいかもしれない。

 完成した魔道具用の治癒魔法陣を持って工房を訪れた私は、クラレンスさん、リヒャルトさん、シャルロッテさんの3人を会議室に呼び出した。

「今日は何だい?嬢ちゃん。また面白い魔法陣を描いたのか?」

「はい、面白いかどうかは分かりませんが、発動することでけがの治療が行える魔法陣です」

「何?まさか治癒魔法か?」

「いえ、治癒魔法は魔法常識的に不可能なはずですよ、工房長」

「そうですわね。でもお嬢様に常識は通用しませんわ」

 なんか私が非常識な人間だと言っている気がするよ、シャルロッテさん。


 治癒の『場』を形成することで間接的に人体に影響を及ぼすという新理論を教えてあげると全員が大興奮ですよ。

「おいおい、画期的な理論だぞ、そりゃ。勲章、いや叙爵ものだな。おっとすでに貴族だったな、嬢ちゃんは」

 そう、男爵令嬢なんですわよ、おほほ。私がお嬢様だってことをすぐ忘れるよな、クラレンスさんは。


「魔道具の試作品は私にお任せください、お嬢様」

 うん、予想通りだね。リヒャルトさんに任せておけば安心だ。


「医療に関係する人たちにとってまさに福音(ふくいん)となる魔道具になりますわね。さすがはお嬢様です」

 ありがとう、シャルロッテさん。

 あ、そうだ、一つだけ釘を刺しておかないと。

「わざと自分の身体を傷つけて検証することは禁止です。動物を使った検証作業もやめてください。医療機関と協力して実証実験する際は必ず報告すること。これらのことは必ず守ってくださいね」

 医療機関で行う実証実験については、もしも販売するなら必要になるだろうね。けがは治癒できるけど病気はどうなんだろう?


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