148 治癒魔法
シュトレーゼン領の屋敷で作った治癒魔法の魔法陣。粗削りではあったけどうまく発動して本当に良かった。
王都に戻ってきてから暇を見つけてはブラッシュアップを行ったので、現在はほとんどリリース版と言っても良いくらいに完成度が高くなっている。
なので、魔法陣仲間6人にも教えておこうと思う。なんか不測の事態があるかもしれないしね。
「こうやってマリアさんに招集されるのも久しぶりだね」
アレンの言葉にルーシーちゃんやブレンダが答えた。
「ええ、前の招集ではストーンキャノンの魔法陣でしたわね」
「だね。その前は確かマジックガードだったよ。んでその前がタイムストップ」
続いてお兄様が発言した。
「今回はどんな魔法陣なんだろうね。僕たちに教えるということは重要なものなんだろうけど」
もちろん重要ですとも。必ずマスターしてくださいね。
「今回の魔法陣は治癒魔法、魔法名はヒールです」
HP回復と言えばやはりヒールでしょう。グレーターヒールとかキュアヒールとか考えたけど、無難にヒールという名前にしましたよ。私にはどうせ命名のセンスが無いんだから良いんだよ。
「治癒魔法は不可能だと言われていたはずだけど…」
うん、お兄様の疑問はもっともです。私は開発の経緯とその実現方法を説明し、実際にアレンの矢傷が短時間で修復されたことを打ち明けた。
その場にいたルーシーちゃんも証言してくれたし、なによりアレン自身が服をめくって腹部の傷跡を見せてくれた。
「アレン様、死にかけたの?」
そうなんだよ、ブレンダ。あのときは参ったよ。ほんの数時間が数か月分に匹敵するくらい集中して魔法陣を描いたよ。我ながら神がかっていたね。
「マリアちゃん、大泣きして大変でしたわ」
「わぁーわぁー、ルーシーちゃん、何を言ってるのかな?私が泣くわけないじゃない。常にクールだよ」
なんだか全員の目が生暖かい感じでツライ。
「そんなことは良いんです。とにかくこの魔法陣は超重要なので、全員必ず発動できるようになること!」
ビシッと指をさしてみんなを見回す私はかっこいいポーズを決めているはずなのに、みんなの私を見る目が微笑ましい感じなのはなぜだ?