表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生した女性SEの異世界魔法ライフ  作者: 双月 仁介
社会人編(1年目)
137/303

137 宣戦布告

 お兄様とペリーヌお義姉(ねえ)さまの結婚式のあと、特に何も変わらず平穏な日常が過ぎていった。

 そろそろ夏の日差しが暑く感じられるようになったころ、ある情報によって王都中、いや我が国中に激震が走る。

 ガルム帝国がアメリーゴ共和国に宣戦を布告したという一報だ。

 グレンテイン王国のあるこの大陸には3大国家と呼ばれる大国が三か国存在している。一つは言わずと知れた我が国グレンテイン王国、そして拡張政策をとるガルム帝国、最後の一つが共和制のアメリーゴ共和国だ。

 その他の弱小国家群もあるけど、基本的にこの三か国がいわゆる三すくみの関係にある。古代中国の三国時代(魏・呉・蜀)のような感じかな。

 ガルム帝国がアメリーゴ共和国を攻めるということは、我が国が漁夫の利を取れるということだ。兵力の手薄なガルム帝国を攻めても良いし、共同でアメリーゴ共和国を攻めるという手もある。

 アメリーゴ共和国と同盟を結んで、ともにガルム帝国に立ち向かうという戦略もあるね。魏に対する呉と蜀の連合軍みたいな…。そう、赤壁(せきへき)の戦い。


 いずれにせよ単に静観するという手は最大の悪手(あくしゅ)だ。

 ガルム帝国が勝利した場合でもアメリーゴ共和国が勝利した場合でも、そのあとに待っているのは勝利国による我が国への侵攻だ。

 陛下はどうお考えなのだろう?

 私としてはガルム帝国をこの機に乗じて解体しておきたいと思っている(あ、国自体は継続するけど、政治体制の変革を図るという意味だよ)。帝国主義的思想は平和の対極にあるからね。

 ただし、帝国が戦争を始めたのにはそれだけの勝算があったからだ。我が国は決して有利な状況には無かったんだよね。それは兵力数の差。


 我が国の常備軍は1個軍、4個師団。戦争における戦略単位は師団と言われているから、守備にあてる兵力を考えると1個か2個師団しか動かせないだろう。

 もちろん国境守備にあたる辺境伯軍が別に存在するので、無理すれば3個師団は侵攻作戦に当てられるかもしれないね。

 ただし、密偵の情報によるとガルム帝国の総兵力は5個軍、つまり20個師団とのことだ。アメリーゴ共和国を3個軍で攻めているらしいので、帝国国内に残る兵力は2個軍、8個師団。

 攻者三倍の原則に従えば攻めるには24個師団の兵力が必要となるのに、こちらが動員できるのは2個か3個師団。むー、無理だ。

 そりゃガルム帝国皇帝が侵攻作戦を決断するわけだ。

 『戦いは数だよ、兄貴』この言葉が再度脳裏をよぎるんだけど、本当に誰だっけ?思い出せない。


 それにしても5個軍か。1個軍がおよそ4万人だから20万人だよ。ちょっとした地方都市の人口だよ。

 問題は武器が弓と槍と剣だけじゃなく、魔法攻撃手段と魔法防御手段を持っていることだろうね。こちらの魔法攻撃が相手にどれだけのダメージを与えられるか、そして相手からの攻撃をこちらがどれだけ防げるか、これに勝敗が左右されるだろう。

 防御結界装置の性能には自信を持っているけど、一人につき1個を所持できるほどの数は揃っていないからね。1個分隊に2個、つまり5名に1個の割り当てしかない。

 攻撃についても複写発動技術は詠唱魔法と同じ威力なので、相手の防御結界に(はば)まれる可能性は高い。

 うーん、最悪、戦略級攻撃魔法を撃てば勝てるのは間違いないんだけど、敵を虐殺することになっちゃうし、戦略級魔法はできるだけ秘密のままにしておきたいんだよね。


 はぁー、まったく困ったちゃんだよ。帝国め。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ