134 結婚式
「お兄様、お義姉さま、ご結婚おめでとうございます」
今日はお兄様とペリーヌお義姉さまの婚礼の儀がうちの屋敷で執り行われた。参列者はうちの両親と私、ペリーヌお義姉さまの両親と弟君、あとは高等学院の友人たちという非常に小規模なものになっている。
もっとも、明日の披露宴は多くの貴族家が参集するパーティとなるけど、これは仕方ない。お披露目という意味もあるからね。でも、今日だけは気の置けない人の集まりだ。
ペリーヌお義姉さまのお父上であるライアン準男爵様は見るからに武闘派って感じで『娘は嫁にやらーん』とか言いそうな外見にもかかわらず、花嫁衣裳を着た娘を見て号泣しているよ。
お兄様にしきりに娘を頼むって言ってた。見かけによらず良い人だ。
弟君であるリオン君とはペリーヌお義姉さまの家に遊びに行ったときに何度か会っているので、お互いに気安く話せる間柄だ。今年高等学院に入学したらしい。彼の初恋の相手が私だとペリーヌお義姉さまから聞いたことがあるけど、初恋の相手とは結ばれないものなのだよ、残念だったなリオン君。
結婚式のあとは内輪だけのパーティだ。新婦側の友人として集まっているのはアレン、ルーシーちゃん、ロザリーちゃん、ブレンダの4人。Aクラスのほかの友人も呼ぼうかって話になったんだけど、あくまでも内輪のパーティなので特に親しい者のみとなったんだよね。
新郎側の友人(男性ばかり)も数人集まっているけど、私とは面識のない人たちばかりだった。お兄様から紹介されたことは無いし、なぜか今現在も紹介されない。なぜ?
立食パーティなのに私の隣には侯爵家のアレンがべったりくっついているので、お兄様のご友人方も話しかけてこられない様子。なんとなく5歳のお披露目パーティを思い出す光景だな。
鉄壁のガードを誇るアレンという大きな壁に挑む勇者が現れた。
「マリア姉ちゃん、これで僕はマリア姉ちゃんの弟ってことになるんだよね」
リオン君だ。
「ええ、そうね。正確に言うと義弟かな」
「これからは弟としてよろしくね」
うむ、私としても可愛い弟ができて喜ばしい限りだ。今はまだ可愛い感じだけど、将来はライアン準男爵様みたいにごつくなるのかな?
「リオン君、将来は僕の弟にもなるかもしれないね」
「はぁ?アレン様、全然意味が分からないです。マリア姉ちゃんと結婚するのは僕ですよ」
首を振りつつ呆れた様子のアレン。
「君こそ言ってる意味が分からんね。マリアさんが君と結婚?そんなことは絶対に起こらないと僕が断言しよう」
あのー、喧嘩するのはやめてね、まじで。おめでたい席なんだから。
「お二方、おめでたい場なんですから自重してくださいませ。それにマリアちゃんと結婚するのはこの私ですわ」
いやいや、ルーシーちゃん。いさめてくれたのはありがたいけど、後半部分にはどうツッコミを入れれば良いのかな?
「もう、ルーシーメイお姉さまったら本心を簡単に明かしてはダメですよ」
ロザリーちゃん、え?本心なの?困る。百合的展開か?
「ほらマリアが困って固まってるから冗談もほどほどにね。私はマリアとアレンはお似合いだと思うよ」
ありがとう、ブレンダさん。心の友よ。お似合いかどうかは別として…。
そんなこんなで楽しく(?)パーティは過ぎていったのだった。