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転生した女性SEの異世界魔法ライフ  作者: 双月 仁介
社会人編(1年目)
129/303

129 ボートレース大会当日①

 今日は第1回ボートレース大会当日だ。よく晴れてとても気持ちの良い春の朝だよ。

 どうでも良いけど大会準備は大変だった。

 インフラ整備は依頼した業者にある程度まかせることができるので、そこまで大変ではなかった。大変なのは人の手配だ。

 会場整理や観客の案内を担当する人、駐車場整理の人、シャトルバスの運転手、食事(どころ)の料理人などなど大会スタッフの募集と選出など他人(ひと)任せにできない仕事は私がやるしかない。

 アレンやルーシーちゃんも手伝ってくれたので助かったけどね。二人には本当に感謝ですよ。


 で、今は午前9時。私は王都に新設したシャトルバスの待合所にいるんだけど、すでに100人くらいの行列が並んでいる。

 朝8時に第1便の10台が全車満員で出発したところなのに、これはやばい。王都からの出発時刻は、8時発、9時30分発、11時発、12時30分発の4便だ。片道30分かかるので余裕をもってダイヤを組んでいる。

 もうすぐ第1便の10台が湖からここに帰ってくるけど、この調子で人が増えてくるとなると少し不安だ。まぁ、なるようになる…と思うしかない。

 私もそろそろ湖に向かおうかな。競技は午後1時からだけど、駐車場や食事処の様子も見たいしね。


 こっそりと待合所を離れて少し離れたところに停車していたリヴァスト家の三輪自動車に乗り込む。

 運転席にはアレンが、後部座席の一つにはルーシーちゃんがすでに座っていた。私が乗り込むとすぐに湖に向けて走り出した。

「アレン様、申し訳ありません。運転までしていただいて」

 うちの三輪自動車はお兄様の運転ですでに湖に向かっているので、移動手段をリヴァスト家に借りたのだ。なお、ペリーヌお義姉(ねえ)さまは当然お兄様と一緒だよ。


「マリアさん、水臭いよ。どんどん頼ってほしいな。それに運転は好きだからね」

「ありがとうございます。ルーシーちゃんもお手伝いありがとね」

「当然ですわ。マリアちゃんと私の仲ですもの。会場のほうにもたくさんのお仕事があるでしょうけど、私におまかせくださいな」

 おしゃべりしながらだと湖までの30分間もあっという間だね。


 駐車場に着くと駐車場整理のスタッフが()いているスペースを指示したので、そこに三輪自動車を駐車する。

「お嬢様、お疲れ様です」

 私が採用面接したので顔を覚えられていたみたい。深々とお辞儀された。なお、ここのスタッフは2名配置している。もう一人はかなり離れたところに立って待機していた。駐車場を拡充したのでかなり広くなっているからね。


 駐車場の近くに設置した食事処は現在仕込みの真っ最中のようだ。料理人たちは全員忙しそうに働いている。

 そこのスタッフにも声をかけてから屋台通りを歩いて湖へ向かう。

 屋台の店主たちもすでに料理を作り始めているところもあり、ばたばたしているね。

 シャトルバス第1便の100名がすでに到着しているからね。もう屋台で買ったものを歩きながら食べてる人も見かけるよ。お祭りみたいだ。


 湖に着くと、まずは観客席の状態を確認する。気が早い人はすでに座って場所取りしていたりするけど、まぁちらほら見かける程度だ。

 ほとんどの人はピットで整備されている様々な船を興味深げに眺めているね。子供たちは特に目を輝かせて船を見つめている。

 あ、そういえばトイレだけど、前世でもイベント会場には簡易トイレを設置してたよね。あの簡易トイレを観客席の近くに20個、食事処の近くに20個設置した。

 少ないかな?イベント会場の簡易トイレっていつも長い行列になるんだよね。前世の話だけど。


 出場するチームのピットは観客席の横から20メートルごとに区切って、36チームに割り当てている。それぞれの区画ごとにきちんと桟橋(さんばし)も設置して整備しやすいようにしている。ちなみにエントリー数は36チームだったよ。予想よりも多かった。720メートルに渡ってピットが並んでいる状況はそれを眺めて歩くだけでも楽しい。

 36チームの中の一つがロザリーちゃんとブレンダのチームで、全体の中ほどにピットが割り当てられていた。

 歩いてそのピットへ近付くと、ロザリーちゃんのほうが先に気付いた。

「アレン様、マリアお姉さま、ルーシーメイお姉さま、おはようございまーす」

 私たち3人もロザリーちゃんとブレンダに朝の挨拶をする。


「ブレンダ、調子はどう?」

「うん、推進器には問題が無いから良いんだけど、船外機の取り付け位置や船底に張り出している安定板の細かい角度調整なんかをやってるよ」

 へぇーなかなか船自体にも工夫を()らしているようだ。楽しみだな。


 二人に手を振ってからその場を離れ、放送室兼スタッフ待機所のある建物(プレハブみたいな簡易なものだけど)に向かう。ここから拡声の魔道具で放送した内容が、会場の至る所に取り付けられたスピーカーから流れるようになっているのだ。

 もちろんこの建物にもトイレは備え付けているよ。


 そこにいたスタッフにも声をかけてから、待機所に入ってひとまず休憩しよう。

「一通り見て回りましたけど特に問題は生じていないみたいですね」

「そうだね。マリアさんの事前準備が完璧だったんだろうね」

「そうですわ。神の領域に至っているマリアちゃんの英知があまねく世界を照らしているのですわ」

 ルーシーちゃんの発言は冗談なのか本気なのかよく分からないよ。冗談…だよね?


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