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128 卒業

 卒業式の日、アレン、ルーシーちゃん、ペリーヌお義姉(ねえ)さま、ブレンダと私の5人が教室に集まって卒業式会場となる講堂への移動開始を待っている。担任の先生がやってきて移動を指示するまで待機している状態だ。

「マリアさん、いよいよ卒業だね。卒業後も魔道具工房の仕事があるから、僕とルーシーは毎日マリアさんに会えるね」

「ええ、学院では会えなくなっても、これからは毎日工房で会えますわね」

 あれ?アレンもルーシーちゃんもうちに通勤するの?在学中はお手伝いを頼んでいたし、夏休み中はほとんど毎日仕事を手伝ってもらっていたけど、うちの工房に就職するとは思わなかった。

 アレンはリヴァスト家の仕事をしなくて良いのかな?ルーシーちゃんは結婚はどうするの?


「ペリーヌは卒業後すぐにシュミット様と結婚だよね。結婚式には呼んでもらえるのかな?」

 ブレンダが心配そうにペリーヌお義姉(ねえ)さまに問いかける。貴族の結婚式だから平民は出席できないと思っているのかもしれない。


「ええ、一応6月に挙式の予定だから…。もちろんブレンダもご招待するわよ」

 ペリーヌお義姉(ねえ)さまの口調がすっかり女性らしくなったね。最初は僕っ()で男の子っぽい口調だったのにね。


「そういえばブレンダ、あなたうちのロザリーと一緒になにか悪だくみしてるって本当?」

 ルーシーちゃんの質問に(あせ)るブレンダ。

「悪だくみじゃないよ。レース用のボートを作ってるんだよ。今年の5月に開催される第1回ボートレース大会にエントリーするんだ」

「どう勝てそう?」

 一応、聞いてみる。私がレース関係者になっちゃったので、出場者であるブレンダにはアドバイスできなくなったんだよね。

「うーん、やっぱ水の抵抗ってすごいね。なかなか速度の出る船って作れないよ。マリア、なんか良いアイディア無いかな?」

「ごめんなさい。私、レースの運営側になったので、アドバイスできないの」

「ええ?!いつの間にそんなことに?」


 私とペリーヌお義姉(ねえ)さま以外の全員が驚いている。まぁ言ってなかったからね。

 大会の準備状況を説明していくと、みんなの顔が(あき)れた感じに変わっていくんだけど、(ひど)くない?


「なんというか、シュトレーゼン家の財力じゃないと無理な計画だね」

「そうですわね。なぜそこまで?…って感じですわ」

 アレンとルーシーちゃんの感想だ。ブレンダはあっけにとられていて無言です。まぁ何億エントも準備に使ってるって聞いたら、普通の人は絶句するだろうね。


 そうこうしているうちに講堂へ移動する時間となり、つつがなく卒業式が始まった。

 在校生代表である生徒会長の送辞に対し、卒業生代表として答辞を述べたのはアレンだった。って意外でもなんでもないな。

 問題なく卒業式は終わって、三々五々(さんさんごご)解散していく卒業生たち。貴族が多いせいなのか泣いている人も見当たらず、なんともあっさりしたものだ。

 私たち5人はロザリーちゃんも加えた6人でお茶するため、ブレンダの家(というか高級宿屋の1階にある高級レストラン)へ移動することにした。


 事前に予約していたので、到着後すぐに個室に通された。

 飲み物と軽食が来たらとりあえず乾杯だね。

「では皆さん、高等学院での5年間お疲れさまでした。あ、ロザリーはあと2年頑張ってね。それでは乾杯!」

「「「「「乾杯!」」」」」

 アレンの乾杯の音頭でティータイムが始まった。


「皆様、ご卒業おめでとうございます。素晴らしい先輩方が学院からいなくなるのは残念で仕方ありません」

「ありがとう、ロザリーちゃん。それよりあなたブレンダと一緒にレースに出るんですって?」

 ロザリーちゃんのお祝いの言葉に対し、私が質問で返す。

「はい、マリアお姉さま。5月のボートレース大会です。ええっと、どんな大会かっていうと…」

「あ、ロザリー、その説明はいらないよ。なにしろマリアは大会運営側だからね」

 ブレンダが話に割り込んだ。


「えええ?!」

 また驚かせてしまったようだ。もう一度私の立ち位置を説明してあげると、ロザリーちゃんから尊敬の眼差(まなざ)しで見つめられたよ。


2020年までは一日一回0時更新でしたが、2021年からは一日二回0時と16時に更新いたします。

あと、できればで結構なんですが、ブックマーク登録と評価のほうをしていただけるとありがたいなぁなんて思っております。もちろん、お願いであって強制ではありません。

それでは皆様、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。


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