表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/303

012 魔法練習場

 5歳の誕生日から二か月後。朝食の席で私はお父様におねだりをしてみた。

「お父様、お願いがあるのですが」

「なんだい、マリア。なんでも言ってごらん」

「魔法を練習できるような広い場所が欲しいのです。裏庭では花壇や樹木を傷つけてしまうかもしれません」

「ふむ、もうそんなレベルまで魔法を使えるのかい?さすがはマリアだな」

 なんか親馬鹿バイアスがかかっているみたいだが、とりあえず無視。


「お兄様も色々な魔法が使えるらしいですし、練習場があると勉強しやすいと思うのです」

 シュミットお兄様も巻き込んだろ。実際、お兄様は火と水の攻撃魔法をいくつか発動できるとナタリア先生が言っていた。


「お父様、僕からもお願いします。ぜひ広い練習場が欲しいです」

 お兄様も援護射撃してくれた。いつ見てもイケメンショタなお兄様だ。


「ふーむ、今までは私もメアリも魔法が使えなかったから必要性を感じなかったが、子供達が二人とも魔法を使えるとなるとやはり練習場所は必要か」

 よしっ!いい感じに誘導できそうだ。


「では、さっそく工事業者を呼んで見積もってもらうとしよう」

 そんなにお金はかからないよね?てか、貴族なんだからお金かかってもやってよね。

 5歳児っぽくなく、お金の心配をしながら朝食を終える私であった。


 二週間後には始まった練習場の工事は一週間ほどで終わった。

 整地したり的を立てたりといった外見上の部分だけでなく、重要なのは流れ弾(流れ魔法)が被害を出さないように周りに張り巡らせた防御結界だった。

 これってなんか魔法的な技術みたいで、まだナタリア先生からは習っていないけど、すごい技術みたい。知的好奇心がうずく。

 かなりの攻撃魔法でも防ぐらしいが、はたして魔法陣を使っても大丈夫だろうか?うー、試したい。


 完成した魔法練習場に立ったお父様、お母様、お兄様、ナタリア先生や数人のメイド達、そして私は20メートル先の的を見つめていた。

 まずはお兄様の魔法披露だ。

「指先から極めて細い水流を高速で射出せよ。ウォーターカッター」

 この呪文は私が改造したウォーターカッターの呪文だ。

 水の精霊なんちゃらで覚えていたお兄様に私が伝授した。後悔はしていない。


 指先から細いジェット水流が噴出し、20メートル先の的(木製)に命中し、それを貫通した後、背後の防御結界にぶち当たった。

「!!!」

 ナタリア先生と私以外は驚いて目を丸くしている。アレンのときと違い、花壇水まき魔法ではなく、前世のウォーターカッターっぽくなっている。どや!


「シュミット、7歳にして軍に属する魔法使いのレベルを超えているんじゃないか?魔法を使えない私にはよく分からんのだが」

 お父様が呆然としながらも講評する。


「シュミット様の実力はその威力だけなら高等学院生を超えているかと」

 ナタリア先生が答える。

 まぁ体重に比例して増えるはずの魔力量が少ないので、連発はできない。なので、従軍できるレベルではないだろうが、それでも優秀なことには変わりない。さすがお兄様。さす兄!


「僕なんか、マリアに比べたらまだまだです」

 いや、お兄様。次に披露する私のハードルを上げないで。私は魔力量が少ないので、大規模な攻撃魔法は使えないっての。

 さすがにここで魔法陣を使っちゃダメだろうし。でも使いたいな。ちょっとだけなら良いかな?先っちょだけ?


 なんとか悪魔の誘惑に打ち勝ち、魔法陣の使用をあきらめた私は普通の詠唱魔法を発動することにした。

「では、次は私が。指先から火の矢を射出せよ。ファイアアロー」

 小さな火の矢が的に向かって撃ち出された。私の魔力量ではこれが限界だ。

 的に命中した矢は木製の的を少し焦がしただけだが、まぁ5歳なんだからこんなもんだろ。


「すごいじゃないか、マリア」

「すごいわ、マリア」

「お見事です、マリア様」

 お兄様の魔法を見た後なので、そこまで呆然とされることもなくお父様、お母様、ナタリア先生がほめてくれた。

 ほめられるとやはり嬉しい。魔法陣による魔法を見せたくなる。


「えへへ。あまり威力はないのですが、どうでしょうか。この練習場でもっと練習していきますよ」

「うんうん、練習場を作って良かったよ。今後も頑張りなさい」

 お父様をはじめ皆がにこにこしている。うん、幸せ家族ばんざい。


「でも危ないから一人で魔法の練習をしちゃダメだよ。必ずナタリア先生と一緒に練習すること。守れるね?」

「はい、もちろんです」

 くぅー、釘を刺されてしまいました。

 なお、3枚の魔法陣の内、鑑定魔法は暗記してしまったので、もはや魔法陣の紙は必要ない。いつでもすぐに発動できる。てか、頻繁に発動してる。うちの敷地内にあるものは調度品だけでなく、花や木まで全て鑑定済みだ。

 残り2枚のファイアボールとウォーターボールの魔法陣については、全く実験できていないので宝の持ち腐れ状態なんだよね。

 こっそり発動実験できるような別の魔法陣を手に入れないとなぁ。

 できればアイテムボックスの魔法。確か管理者は空間魔法って言ってたっけ?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ