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114 ドライヤーを作ろう③

 試用の対象者全員にドライヤーを配り終えてから一週間。

 学院が休みの日にうちの屋敷に全員が招集された。

 少し大きな部屋を会議室に改装しているんだけど、現在そこにはお母様、ペリーヌお義姉(ねえ)さま、ルーシーちゃん、ロザリーちゃん、ブレンダ、魔道具店店主の奥さん、クラレンスさんの奥さん、メイドの代表としてジョアンナ、そして私の9人が着席している。

 女性ばかりだが女子会ではない。ちなみに議長は私だ。緊張する。


 まずは面識のない人も多いので一人ずつ紹介していく。

 それが終われば開発会議の始まりだ。

「では、本題に入ります。ドライヤーの魔道具について、感想、意見、要望等をお一人ずつ聞いていきたいと思います。まずはお母様からお願いできますか?」

「ただいま紹介にあずかりましたメアリと申します。このマリアの母です。皆さま今後ともよろしくお願い致します」

 それから延々とドライヤーがいかに素晴らしいのかを力説し、要望としては魔石の交換時期をできるだけ長くしてほしいとおっしゃった。

 まだ消費魔力量の計測ができていないので、魔石がどのくらいもつのか分からないんだよね。


 ほかの人も次々とドライヤーを()める言葉と要望を言っていく。

 貴族組は価格についての言及は無かったけど、平民組はやはり価格面の要望が多かったね。まぁ予想通りだな。


「店主さんと相談しないと決められないんですが、1台あたり20万エントを一般販売価格として決められたらなぁと思っています」

「うちの主人にもよく言っておきますので大丈夫ですよ。その価格ならかなりの一般家庭に普及することでしょう」

 店主さんの奥さんが太鼓判を押してくれた。もしかして尻に敷いてるの?


 あー、でもどうしよう?量産体制をどうしたら良いんだ?

 リヒャルトさんみたいな人がほいほい出てくるとも思えないし。

 あと一人だけでも、新しい魔道具職人がうちに来てくれたらなぁ。

 いっそのこと魔道具協会に相談してみる?いやいやダメでしょ。絶対スパイが送り込まれてくるよ。


 会議後に工房へ行って相談してみよう。

「クラレンスさん、リヒャルトさん、今ちょっと良いですか?」

「お、嬢ちゃん、会議どうだった?うちのも来てたよな」

「お嬢様、ご用は何でしょうか?」

「クラレンスさんからも奥さんにお礼を言っておいてくださいね。会議はとても有意義でしたよ。で、ちょっとご相談があるのですが…」

 ドライヤーの量産体制を確立するためには魔道具職人の増員が必要なんだけど、二人の伝手(つて)が何かないか?

 紹介できる職人仲間とか友人とかいないかなどを聞いてみた。


「うーん、俺は協会を除名された身だからな。仲の良かったやつらも除名された途端に離れていきやがった。かかわりたくないんだろうよ」

「私も前の師匠のところの弟子仲間がいましたが、あまり仲は良くなかったですね。私が解雇されたときも送別会すらなかったくらいですから」

 やっぱり無理かぁ。しばらく量産は延期するしかないね。お母様に怒られそうだけど。


「あ、いや、ちょっと待てよ。あの変わり者なら。うん、あたってみるか」

 クラレンスさんがぶつぶつ独り言を言ってる。

「嬢ちゃん、あまり期待しないでほしいんだが、一人だけ心当たりがある。少し待っててくれや」

 おぉ、期待しちゃうよ、救世主がやってくるのを。


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