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105 魔道具開発⑥

「それでは価格面はそれでいいとして、次に数量なんですが、ひと月にどれほどの数をご提供いただけますか?」

「最大製造可能数は月に200台なんですが、こちらとしては月100台程度売れれば良いかなと思っていますよ」

 お兄様の返答に店主さんが驚きの表情を見せた。なんでも魔道具って一品物の手作りで、一人の職人が一日に一台作れれば良いほうらしい。ってクラレンスさんが言ってた。そりゃ高級品にもなるね。

 おそらく月の生産台数は20台くらいを予想していたみたいだね。


「現在王都に存在する照明の魔道具の総数は不明ですが、おそらく数万台はあると思います。その半分がこの製品に置き換わると考えた場合、こちらとしましては、できるだけ多くの台数をご提供いただければと思っております」

 いや、そこまでは売れないと思うよ。値段も高いし。


「では最初の三か月は、月に100台。そのあとは売れ行きを見ながら増減していくという形でいかがですか?」

 生産台数を増やすだけじゃなく、減らす可能性もあるよね。

 それでも仕入額は月3000万エントになるけど、店主さん運転資金は大丈夫なの?


 結局、お兄様の提案で決着した。

 これからの大商(おおあきな)いに向けて店主さんもニコニコ顔ですよ。

 売上原価が3000万でも6000万の売上になれば粗利(あらり)は3000万だもんね。まぁ仕入れたものが全部売れたらの話だけど。


 それから間もなく新型の照明魔道具が発表された。本当に魔石の交換時期が3倍に延びるのかは半信半疑みたいだけど、どうやら売れ行きは好調らしい。すぐに増産依頼が来たからね。

 これでしばらくすれば燃費の良さが本当だということが分かって、それが口コミで広がればさらに大変なことになる…って、魔道具店店主さんが言っていた。

 今ですら注文された台数を用意できず、お得意様(ほとんどが貴族)から責められているとのことで、こちらのストック分(緊急時対応用の在庫)もかっさらっていったよ。


 そもそもうちは貴族の中でも侯爵家なんかに匹敵するくらいの金持ちだ。銀鉱山を所有してるからね。

 そこにこの魔道具の売上で、うちの財力がちょっと大変なことになっている。

 お兄様が主体となって始めたこの魔道具事業、お父様は基本的に関与せず『失敗しても良いからやってみなさい。何事も勉強だ』というスタンスだったんだけど、もうそんなことも言ってられなくなった。

 生産管理や品質管理、在庫管理等、お兄様だけではとても手が回らず従業員を雇って対処しているけど、決済できる責任者がお兄様一人だけでは書類がたまる一方だ。

 そこでお父様や私も書類をチェックし、決済の署名をすることになった。印鑑があれば決済印を押すだけで済むのに、いちいちサインしなきゃいけないので面倒で仕方ないよ。


 …って、あれ?私、まだ学生なんですけど!


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