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102 魔道具開発③

「お兄様、お兄様、もしお時間があるなら私のお部屋に来ていただけませんか?」

 屋敷の廊下を歩いていたお兄様を見つけた私は、部屋に来てくれるようにお願いする。作った実験装置は箱に収めてないため持ち運びができないのだ。

 でも、この成果を見せたい。自慢したい。


「ああ、マリア。ちょっと待って。そうだな、5分後に行くよ」

 書類を手に持っていたお兄様は仕事中だったようだ。大丈夫?


 先に自分の部屋に戻り、お兄様を待つ。きっちり5分後にお兄様がやってきた。

 ドアを開けて部屋の中を見たお兄様は、防御結界が展開されているのを見て怪訝な顔をした。『なんでマジックガードを発動してるの?』って顔だ。

 ところが本来なら4秒間で消えるはずの結界が発現し続けている。徐々に驚きをあらわにしてくるお兄様。


「マリア、これはどういうことだい?マジックガードの持続時間を延ばす方法を見つけたのかな?」

「いえ、これは私がマジックガードを発動したのではありません。私の作り上げた携帯型防御結界装置、つまりは魔道具です」

「な、な、なんだって!?」

 めったに見れないお兄様の驚愕の表情。ごちそうさまです。

 サプライズ成功に内心ガッツポーズの私だった。


「うーん、魔道具って魔道具職人に弟子入りしないと作れないような門外不出の技術だったはずだけど?」

「そうらしいですね。でも私は自分自身の力だけで作ったので…。あ、スイッチと魔石は流用させてもらいましたけど」

 そうしてお兄様に開発経緯を語っていく。従来の魔道具には魔法陣が使われていないこと、私の魔道具はミスリルで魔法陣を描いていること、これまでの開発苦労話などなど。特に苦労話。


「それは大変だったね。でもその苦労がこうして報われたのは本当に良かったと思うよ」

 ありがとうございます、お兄様。そう言ってもらえると、今後のミスリル(ひも)の貼り付け作業が苦にならないかもしれません。いや嘘です。やっぱ苦になる。


 腕を組んだまま、展開されている防御結界をしばらく見ていたお兄様が、改良点を語り出した。

「この魔道具を携帯するためには、魔法陣と垂直に展開されている結界を水平に展開するようにしたほうが良いんじゃないかな?」

 現在、床に置いた魔法陣の鉄板の直上に結界が立っているんだけど、この鉄板を身体と水平になるように手で持った場合、身体の前面に結界を展開するには垂直展開じゃまずいな。

 さらに20センチ四方の鉄板だと少し大きいね。もう少し小型化したいけど、小さくした分だけ魔法陣がより緻密(ちみつ)になるな。

 あと、全体を収める箱(外殻(がいかく))を作らなきゃだね。


「マリアは改良した魔法陣を紙に描いてくれるかな?できるだけ小さくね。僕はそれ以外の部分、外側の箱やスイッチ部分、魔石の調達などを行おう。あと鉄板よりももっと軽い素材に魔法陣を描いたほうが良いね。できるだけ小型軽量化したい。それから、ミスリル(ひも)の貼り付けじゃなく、溶かしたミスリルを下描きにそって置いていく方法で作ってみよう。魔法陣の大きさによって全体のサイズも決まるから、できるだけ早く魔法陣を仕上げてね」

 …って、お兄様ぁ。製品化を考えてますか?いや、製品化はやばいでしょ。分解されたら魔法陣を使ってるのがばれちゃうよ。


「もちろん耐タンパ性は組み込むよ。ブラックボックス化による魔法陣の秘匿は絶対条件だね」

 ほえー。頭がついていかない。やはりお兄様はすごいな。


「コストについてはミスリルと魔石がほとんどだけど、見たところそんなにミスリルは使っていないね。かなり価格を抑えられるんじゃないかな?」

 うん、既存の魔道具業界の反発なんかが予想されるね。少なくとも照明装置で50万エントなんかにはならないね。

 もう面倒なことは全て、やる気を見せているお兄様に押し付けちゃえ。私は魔法陣を設計・実装するのみです。


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