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神化論 ZERO  作者: ユズリ
16/18

神化論:ZERO 16

「だからー、俺を変態呼ばわりすんのやめろよな! 俺は女の子が好きだって!」

 

「なるほど。両方いける、という奴か。守備範囲が広い変態ほど恐ろしいものはないな」

 

「やめてアーリィちゃん、そういうこと言うのやめて! 俺マジで無実だから!」

 

「ユーリ、お前……そうだったのか?」

 

「ぎゃあああぁぁあぁあぁぁっ! ついにローズまでもが深刻な顔で俺を追い詰めるようなこと言い出した!」

 

 ユーリは泣きそうな顔でローズの襟首を掴み、「誤解だローズ!」とローズに必死に訴える。彼にまで”変態”呼ばわりされたらもう周りは敵だらけになるので、ユーリも本当に説得に必死だった。しかしユーリが変態だろうがなんだろうが微妙にどうでもいいマヤは、ユーリなどほっといてさっさと話題を切り替える。

 

「んじゃもう質問無いわね。じゃあ……」

 

「あ、おい待て! なに勝手に受付終了してんだよ!」

 

 ユーリはローズを解放して、マヤに「まだ聞きたいことあるって!」と詰め寄る。マヤは心底面倒くさそうに、「何よ」とユーリに聞いた。

 

「もしかしてアタシのスリーサイズが聞きたいとか、彼氏いるのか聞きたいの? あ、それは無いか。だってアタシあなたの興味の対象外だもんね」

 

「マスター、こいつ男も女も範囲に入れてる変態ですよ」

 

「あ、そっか!」

 

「ちょっとまて。だから勝手にそういう話をするなって! とにかく俺の話を聞け!」

 

 話が進まないので、ユーリは無理矢理自分の言いたいことを言う事にする。それはローズも疑問に思っていた、アーリィの使う謎の”力”について。

 

「アーリィちゃんは何者? なんかさっきの凶悪な氷の塊とか、アーリィちゃんが出してたんだろ?」

 

「……やっぱりアレ、気になった?」

 

 マヤが逆に問うてくるので、ユーリは頷く。ついでにローズも首を何度も縦に振った。その二人の反応に、マヤは「そうよね~」と困った様子を見せる。なにやら説明に困ることをアーリィはやっていたらしいと、それを二人は察した。

 

「あの、マスター……ごめんなさい、つい……あの変態がムカついて、魔法を……」

 

 マヤが説明に困っていると、アーリィが申し訳なさそうに彼女へ声をかける。そのアーリィの言葉を聞いて、ユーリは「まほうって、まさかあの魔法?」と怪訝な顔をした。

 

「まほう……やっぱりあの魔法か?」

 

 ローズもやはり”魔法”という単語が気になったようで、マヤとアーリィを交互に見やりながら問う。マヤはちょっと考えた後、「説明してもいいんだけど、その前にアーリィちゃんと二人で相談してい~い?」と返事をした。

 

「あ、いや。別に俺たちに説明出来ないことなら無理にしなくてもいいんだ」

 

 ローズの慌てた返事にマヤは小さく笑い、「いえ、ちょっと緊急でアーリィに相談したい事もあるし」と言ってアーリィと共にちょっと遠くへ離れていく。残されたローズとユーリは、首を傾げながら二人の相談が終わるのを待つことにした。

 

「……おいローズ、なんだあの怪しい自己中凶悪女は」

 

「それはもしかしてマヤのことか?」

 

「そー、そいつ。何なの、あの可愛い顔の持ち腐れ女。容姿と性格が反比例しすぎだろ」

 

「そんな……それは失礼なことを言いすぎだぞ、ユーリ」

 

「だってよぉ……俺なんかすっげーボッコボコに身も心も傷つけられたしぃ……」

 

 ユーリがそんな感じでローズに愚痴を言っている間に、マヤとアーリィの謎の相談は終わったらしい。アーリィが物凄く不満げな顔をしているのが気になったが、二人がローズたちの元へ戻ってきた。

 

「おっまたせ~」

 

 アーリィのテンションとは正反対に、やけにノリノリでご機嫌のマヤがローズたちにそう声をかける。ローズが「相談は終わったのか?」と聞くと、マヤはやはり元気に「うん」と頷いた。

 

「もうばっちりオッケーよん。で、さっきの質問の答えだけどぉ」

 

「あ、あぁ……」

 

「っと、その前にローズたちにお願いがあるんだけど……いいかしら?」

 

「お願い?」

 

 また唐突に予想外のことを言われ、ローズは戸惑いながら「ど、どんなお願いなんだ?」と聞いてみる。途端にマヤはなんだか嫌な予感のする、凶悪な笑みを浮かべた。が、それは一瞬で消えて、マヤは愛らしい笑顔でローズに近づく。あの一瞬のマヤの凶悪な笑顔を見てしまったローズなので、笑顔でこちらへ向かってくるマヤをちょっと警戒した。

 

「む、無茶なお願いは駄目だからな! またさっきみたいなお願いされても困るし!」

 

「さっきって……ローズにお姫様抱っこしてとか、チューしたいって言ったことぉ?」

 

 マヤの言葉にローズは慌て、「そういうのはもう絶対駄目だからな」と彼女に強く言う。マヤは「はいはーい」と適当全開に返事をして、ローズとユーリにこう言った。

 

「あのさぁ、アタシたちも一緒に連れてって」

 

「ん?」

 

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