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ダンジョン攻略

 チームバニラレーズンを結成しダンジョンへ潜り始めた俺達は、周囲に気を張りながら会話をしていた。


「--話蒸し返すようで悪いんだけどさ、なんで俺を入れたわけ?戦力不足か?そうは見えんが」


「そんなんじゃねぇよ。言ったろ、お前の戦い方が気に入ったからだ。それ以上でもそれ以下でもねぇよ」


「戦い方って・・・俺魔法吸って吐いてただけだぜ?大したことしてねぇよ」


 ほんと、振り返ってみれば大したことは出来ていない。あの時もっとああすれば、もっとこう出来ただろう。そんなことばかり考えてしまう。後悔先に立たずという言葉を作って人にはなにか賞を送ってやるべきだと思う。いやまじで!


「ははっ!謙遜すんなよ!一瞬の判断がものをいう場面で魔法の切り替えができるってのは十分すごいぜ。それに俺が気に入ったのは諦めなかったところだ。俺、そういう奴大好きでな!」


「バルク兄貴、そういう奴見つける度勧誘してくるから大変なんだぜ。んで、断られるたびへこんでさ」


「余計なことは言わんでいい!」


「諦めの悪さね・・・ルニアもそうなのか?」


 俺にはこいつがそんな奴には到底見えない。だがこのチームにいるというのはそういうことなのだろう。


「おい蓮。お前は一番下だろう!敬語、最悪兄貴と呼べ!でないと実力で劣っているからタメ口なんだと思われるだろうが!」


「小せ〜、 まぁ分りましたよ、ルニアさん」


「ふん・・・まぁいい。それより、ここから先はモンスターの巣窟だ。一層気を引き締めろ」


 階段などもないほぼほぼ一直線のダンジョン。しかもここまでモンスターは出ていない。その為俺は正直舐めてかかっていたのだが、その認識は甘かった。


 一本道を抜けると大きな空洞に出た。周囲にはモンスターの気配が充満している。確かにこりゃ気を引き締めなきゃな。


 そうこう考えていると、天井から突如三匹のモンスターが俺達を目掛けて襲ってきた。


「--早速戦闘か!作戦どうす--」


「--蓮!お前はまず見学だ。俺達3人を見とけ!」


 多少疑心に駆られつつ、再び天井に視線を移すと、なんとエトラが空中を走っていた。


「な・・・なんだ?!」


「へへーん!施錠魔法--空中階段(スカイウォーク)!」


 空気を施錠し足場を作ってんのか!なる程ああやって使うんだな。


 エトラは3匹の上を取ったかと思うと、両手を広げ魔法を使用した。


「落っこちろ!逃れられない障壁(アプソリュートバリア)!」


 巨大な空気の壁をぶつけられ、真っ逆さまに落ちていくモンスター達。そしてそれを知っていたかのようにバルスの魔法が突き刺さっていく。


「ナイスだエトラ!砂の雨(いさごのあめ)


 --すげぇ、一瞬で3匹とも倒しちまいやがった!これがチームの強みか・・・そういえばルニアは何してんだ?


 そう思い、その方向を向くと、先ほど確認できたモンスターの群れが、全て敵意を無くし、姿を消した。


「・・・今の、どうやったんだ?」


「簡単な話、指を指した方向の敵意を拒絶しただけだ。まぁこれは本能で動いているモンスターにしか通用せん技だがな」


 やっぱこの人も凄いんだな。まぁ協力はあまりしてないけど。

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 その後もモンスターは現れたが、基本的に俺の出番はなかった。すでに向かってきている敵はバルクとエトラが、残党はルニアが敵意を拒絶。これでほとんど終わる。たまに漏れてしまう奴がいるので、そいつの討伐だけやっていた。


「--なぁ、俺入る?情けで入れてもらったんじゃないかって気がしてきたんだが」


「そうだな・・・そろそろやってもらうか!俺たちの戦闘スタイルは大体分かっただろ?」


「ああ、だけど見る限りこのチームに人数っているか?どうせルニアが・・・ルニアさんがほとんどやるんだったらあんまり意味が--」


「勘違いするな。私の魔法は万能じゃない。狙いを外してくる相手には拒絶出来ないし、モンスターの強さによっては魔法を弾いたりもする。ここは所詮Bランクのダンジョンだからこうスムーズに行っているんだ。あまり私を過信するな」


 なんというか、自分に対して冷たい人だな。俯瞰してるって言えば聞こえはいいのかもしれないがとにかく冷めてる。


「まあまあルニア兄貴!蓮はまだあんまりダンジョン来たことないらしいしさ、おいら達と一緒に行動するのも初めてだし仕方ねぇって!」


「・・・ああ、分かっている。先を急ごう」


 もう一度真っ直ぐな道を進むと、今度は下へ続く階段を見つけた。


「あの階段を抜ければもう直ぐだ。しかしここからは先ほどよりも強いモンスターが住み着いている。心してかかれ」


「よし!蓮、お前もこっからは俺達に加わって戦ってくれ!攻撃はなんとなくノリで合わせてくれればいいから」


「・・・ノリって」


「よし、んじゃあ降りっぞ!」


 こうして俺たちはこのダンジョン最後のエリアへ足を踏み入れた。

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 階段を降り、最後のフロアへたどり着いた俺たちは、ルニアから作戦を伝えられた。


「こういう場所は雑魚多数とそれを従えるボスのような奴がいる。恐らくボスには私の拒絶魔法は効かないので、それは雑魚へかけることにする。バルクは雑魚狩りを手伝ってくれ」


「よし来た」


「そして残りの2人はボスだ」


「えっ?いや、バルクがボス行った方がいいだろ?戦力的に」


「はぁ、お前は今日何をしに来た?このチームに慣れるためだ!その為にBランククエストに来ている。お前が協力してボスを倒せなければここに来た意味がないのだ。分かったかたか?」


「・・・なる程、すいません。」


 確かにそうだ。正直忘れていた。


「ではそのように、異論は?」


「ねぇな!お前が考えたんだ、それだけで十分聞くまでもねぇよ!」


「ふっ・・・では行くぞ!」


 最終エリアに足を踏み入れると、今までのエリアとは違い、一切の猶予なく大量のモンスターが襲ってきた。その数およそ50匹。そしてその奥には兜を被ったようなでかいオークがいた。あれがボスだろう。


「んじゃあ手筈通り、おいら達はボス特攻だ!行くぞ兄弟!」


「お、おう!」


「道は俺が開いてやるよ!オアシスまでの通り道(フォロ・ドリット)


 バルクは砂をトンネル状に吹き出し、襲ってきた雑魚を吹き飛ばすと同時にボスまでの通り道を作ってくれた。


「ほれ、ここ通って行け!」


「サンキュー兄貴!」


「よし!もうこれいらねぇし新しい技うちますかね!」


 そう俺の方を向きながら行ってきた。--なる程、ほんと助かるよ。「異類無礙(アクセプト)


 俺は先程の砂魔法を吸収し、そのままボスへ飛び込んだ。


「取り敢えず一発浴びとけ!雷神の一撃(トールハンマー)!」


 魔法は直撃した。しかしボスは少しよろめいた程度で、あまり効いてる様子はない。


「焦んなよ兄弟!協力してこうぜ!」


 ・・・つってもな、協力して戦うってどうやればいいんだ?やったことないから分からん。


 オークが拳を振り上げてくる。それをエトラは壁を作って防ぎ、「今だ攻撃!」と叫んだ。


 俺はガラ空きな足元に2.3度剣で切りつけ、ダメージを負わせる。なる程、これが協力ってやつか。


「ナイス今の攻撃!」


「お、おう!エトラもサンキュ」


「おいらあんま攻撃得意じゃないからよ、そっちは頼むぜ!」


「んじゃあサポート頼めるか?」


「頼む、でいい!」


 これが・・・パーティーメンバーってやつか。いいもんだな・・・!


「それじゃあ頼むわ、兄弟!」


「・・・!おう、頼まれた!」

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