9話 魔法陣
グイグルを倒し進んだ先には小部屋があり、そこは行き止まりだった。
出口のない監獄?
そんな考えが一瞬頭を過るが、そんな訳がない。
俺はくまなく小部屋を調べる。
「これは……」
壁をよく見ると、色が違う場所があった。
どうやら俺を運び込んだ後、コンクリートで階段を埋めてしまった様だ。
俺の脱出を封じる為だろう。
だが看守がいる以上、どこかに必ず出口がある筈だ。
まさか奴らがここで自給自足していたなどという事は無いだろう。
「おい!起きろ!」
俺は詰所に戻り、グィグルを叩き起こす。
自分で探すのは時間がかかると判断したので、奴の口を割る事にした。
看守長のこいつが出入りの仕方を知らないという事は無いだろうからな。
まあ口を割らない様なら、順次他の奴を叩き起こして聞き出すだけだ。
「いつつつつ、腹がいてぇ」
「死ぬような怪我じゃない。それより俺の質問に答えろ」
「そうか……俺は負けたのか。あんた強いな」
俺が強い……か。
何方かというとグイグルが弱かっただけの気もするが、まあ敗者に塩を塗り付ける意味はない。
そこはスルーしておこう。
「ここの出口は何処だ」
「悪いが、俺にもプライドがある。例え殺されても魔法陣の事を話すつもりはない」
こいつあほなのか?
魔法陣がある事が分かっただけで十分だ。
「うぐっ」
用は済んだので、首筋に手刀を叩き込んで再び眠らせた。
俺は奥の小部屋へと戻り、床に手をついて魔力の流れを感知する。
目には見えないが、グイグルが口にした通りここの床には転移用の魔法陣が設置されている様だ。
「成程な」
解析して魔法陣の構成を理解する。
魔法を封じられたとはいえ、これでも世界最高の賢者と言われた俺だ。
この程度の解析はお手の物。
「起動には対応した魔石が必要な様だな」
持っているのは恐らくグイグルだろう。
俺は奴の体を探って魔石を見つけ、それを使って魔法陣を発動させる。
発動後はその魔石を魔法陣の外に投げ捨てた。
無いとは思うが、万一こいつらが此処に閉じ込められる事に成ったら後味が悪いからな。
まあ普通異常が発生すれば、対応するゲートから救護が入って来るとは思うが。
一応念の為だ。
魔法陣が赤く輝き、俺を包み込んだ。
俺は息を大きく吸い込み、拳を強く握り固める。
飛んだ先の事が分からない以上、最悪いきなり敵に囲まれているという可能性もあり得た。
先の様子が確認できない以上、覚悟を決めるしかないだろう。
此処が正念場だ。
俺はこの魔力で未来を切り開いて見せる。




