どうしてお前らは異世界に行きたがるんだ!?
「あなたが異世界へ行きたい動機を教えてください」
黒神 キリト
「はい。私は現世でクラスではあまり目立たないタイ
プの生徒、通称 陰キャを演じているのですが
その正体は裏社会で暗殺を生業とする闇の組織
"hide & seek"のメンバーで手に触れたものを全て虚
無の世界へと誘う "虚無の手 ブラックホール・ハン
ド"を駆使し、犯罪者やテロリスト、時には別の次
元の 裂け目からやってきた怪物 "アトモスシア"と
死闘繰り広げていたのですが、いつもクールで周り
のクラスメイトから腹の内が読めないと思われてい
る私に対して、いつも太陽のような笑顔と無口であ
りながらも時折見せる私の優しさのギャップに無意
識の内に恋心を抱いている幼馴染の水神 鏡香が敵
対組織 " デスオーガ "に狙われていると知った私は
彼女を守るために " 聖七神大闘決戦 ゴッド セブ
ンズ ウォー ラグナロク "に挑むのですが「これ以
上キリトが私のために傷つくのを見たくない」とい
う彼女の最期の言葉を胸に最終奥義 " 虚無の地獄
ヘル インフィニティ "を発動したことにより
戦いを終結させた代償として異次元の世界へと飛ば
されてしまうのですが、そこで出会った女魔導師
が鏡香と瓜二つで未だに彼女の幻想を追いかけてい
いる自分にやれやれと心の中で呟きながら世界を
終焉へと導く " 世界終焉時計 エンド オブ ラグナ
ロクを止めるために異世界で出会った仲間たち
と…」
「なんか異世界の要素薄くないですか?」
黒神 キリト 「えっ…」
「具体的に異世界でこれをやりたいということは
ありますか?」
黒神 キリト 「まぁ、一応暗殺者なので…スレイヤー
とか」
「別に異世界に転生しなくても出来ますよね?」
黒神 キリト 「…」
「えーっと 黒神 キリトさんね。
君はいわゆる自分の世界観を強いタイプだから
異世界にはあまり向いてないかもね。
今ままでみたいに日常系バトルファンタジー路線で
いいんじゃないかな」
黒神 キリト 「でも異世界に行くの流行ってるし、
そっちの方が自由度が高いような…」
「流行ってるとかそういう問題じゃないんだよ!!」
黒神 キリト 「ひぃぃ!」
「お前らみたいな奴らが馬鹿のひとつ覚えたみたいに
異世界へ行くからこっちは大変なんだよ!!
勝手に戦争するわ、生態系は荒らすわ、
異世界だからってなんでもしていい訳じゃねぇんだ
よ!!
それに転生者が多すぎて困ってる村人も女騎士もい
いないから!!相当奥地へ行かないとヤバイ魔王な
んて見つかんないよ!!
それでも本当に行きたいの!?」
黒神 キリト 「… 」
「この度はご期待に添いかねることとなりましたが
何卒ご了承ください」
黒神 キリト 「失礼しました」
「 受験番号 1027 黒神 キリト 不合格と」
「 次の方 どうぞー」