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連続の複合

 バジリスクとシーサーペントの魔力を重ねた。


「――複合特性、蛇装を獲得しました」


 身に纏う魔力は蛇を模し、数多の目とヒレを得る。

 身に迫るすべての攻撃を水ブレスで薙ぎ払い、形あるものを石化させた。

 障害物を排除してネームレスを直視し、燃え盛るその巨躯を石へと変えていく。


「ギャアアァアァアアアアア!」


 だが、ネームレスは石化した端から肉体を切り離し、再生の炎で復元する。

 すべての魔物の祖とあって、自切すらお手の物。

 どれだけ凝視して石化の魔眼を駆使ししても、切り離しと復元の速度が上回ってしまう。

 これでは駄目だ。


「ならっ」


 サンダーバードとヒポグリフの魔力を重ね、新たな形態へ。


「――複合特性、鳥装を獲得しました」


 背中に雷と風の四枚羽根を生やし、閃光と鎌鼬を伴って目にも止まらぬ速さで駆ける。

 右手に竜巻を、左手に稲妻を宿し、二つを合わせて解き放つ。

 帯電する風の渦がネームレスを襲い、肉を削り取って骨を砕く。

 だが、それでも内部に潜むフェニックスまで届かず、再生されてしまう。


「これでもっ」


 まだ足りない。


「龍装ッ!」


 アジダハーカ、ジャバウォック、ヒュドラ、サラマンダーの魔力を混淆。

 龍装を身に纏い、三千の魔法を展開。

 あらゆる属性を帯びた光弾をネームレスに浴びせ続ける。

 燃え、弾け、爆ぜ、打たれ、凍て付き、痺れ、削れ、切れ、貫かれ、あらゆる傷がその体表に刻まれていく。

 その威力は周囲の地形を変え、骨の地面を粉に返して吹き飛ばし、露出した地面にクレーターを構築する。

 魔法の一つ一つが必殺級の威力を誇り、それを三千回繰り返して叩き付けた。

 最後の一回を放ち終えると、見下ろした眼下には骨屑となったネームレスがいる。

 再生の炎に包まれたそれは、またしても復元されようとしていた。


「いい加減、眠れ!」


 龍装に更に一つ、ケルベロスの魔力を混ぜて全身に黒い火炎を纏う。


「――複合特性、火装を獲得しました」


 顕現させるのはこの空間に収まらないほどの巨大な火球。

 三千の魔法、混沌の言語、冥界の炎、多頭の息吹、火蜥蜴の火。

 そのすべてを凝縮した火炎は闇を払い、触れるものすべてを焼却する。

 隕石の如く火球は落ち、フェニックスごとネームレスを呑む。

 骨は灰に、地面は溶岩に、赤く溶けた世界に熱気が溢れ、ネームレスは跡形もなく消滅する。

 そして、ようやく体内からフェニックスを引きずりだした。


「ようやく、会えた」


 禍々しくも神々しい、聖なる炎を身に纏う火の鳥。

 火の粉の羽根を散らし、火炎の双眸でこちらを睨む。

 ネームレスという最大の武器は奪った。

 あとはフェニックス本体のみ。


「あとすこし」


 残された魔力はそう多くない。


「次で、最後だ」


 この戦いに、これまでの道のりに、終止符を打つ。


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新作を始めました。こちらからどうぞ。魔法学園の隠れスピードスターを生徒たちは誰も知らない
― 新着の感想 ―
[気になる点] 人間になってからの物語って、もしかして作られてるのかな...?
[一言] がんばれー! 個人的には人間になっても魔装は使えてほしい!
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