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反魂のネクロ ~スケルトンになった少年、魔物の遺骨を取り込んで最弱から最強へと成り上がる~  作者: 手羽先すずめ


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閃光の稲妻


 燃え盛る剣がゆらりと揺れて火の粉が散る。

 瞬間、目の前にいた彼を見失う。惑わされたみたいに。

 けど、それで慌てるほど、今の俺は弱くない。

 即座に黄金刀で背後を守り、振り下ろされた炎剣を受け止める。


「ほー。やるじゃねぇか、見違えたぜ」

「あの頃とは違うんだ」


 炎剣を弾いて振り向きざまに蹴りを放つ。

 青銅の蹄が真っ直ぐにみぞおちへと向かったが、これを容易く受け止められる。

 握り締められ、固定され、そこへ炎剣が降る。


「――」


 自身の時を加速させ、地面を蹴って身を捻った。

 受け止められた足を軸に回転して拘束から抜け出し、翼で羽ばたいて距離を取る。

 炎剣を煽って地に足を付けると、時の流れが正常に戻った。


「うまく逃げたな。だが、時の加速も減速も永遠には続かない」


 ケリュネイアの特徴を把握されている。

 恐らく、俺がこれまで戦って混淆してきたどの魔物の攻略法も熟知しているだろう。

 どの魔物の能力で戦っても、彼は対抗策を持っているに違いない。

 これまで戦ったどんな相手よりも、今目の前にいる人間が一番厄介だ。


「……」


 彼と戦っても生き残る自信はある。

 でも、それには莫大な魔力を消費しなければならない。

 温存を考えていては首を取られるのが落ちだ。


「さて、第二ラウンドといくか」

「くっ」


 あともう一体だけなのに。

 次の魔物を倒せば、生き返るのに必要な魔力が貯まりきる。

 そうすればまた人間として生きられるのに、ここで魔力を消費したらまた遠のく。

 だが、ここから逃げてもまた追いつかれるだろう。

 追われながら標的の魔物を狩るなんて不可能だ。

 どっちだ? どっちかに絞らないと、ここから一歩も進めない。


「考え事とは余裕だな」


 炎剣がまたゆらりと揺れて、彼がこちらへと肉薄する。

 もはや考えている暇はない。

 身構え、応戦の意思を固めた刹那――稲妻が俺たちの間に割って入る。

 それは振るわれた炎剣を弾き返し、俺の目の前で停止した。


「あ、あんたは……」


 稲妻が人の形をなす。

 その後ろ姿には見覚えがあった。


「やあ、少年。さっきぶり」


 美鈴の師匠だ。


「あーあ、やっぱりそっち側に付いちまったか、律子」


 まるで予想でもしていたかのように、彼は炎剣を肩に担ぐ。


「正直、迷ってたんだ。どっちの側についていいものやら悩ましくてね」

「ほー、決め手はなんだった?」

「あんたにはわからないだろうけど、私は一人の師なんだ。愛弟子が可愛くてしようがなくてね。この子が死んだら、弟子が悲しむ。私はあの子にだけは嫌われたくないんだ」

「はっ。俺も弟子を持つべきだったか?」

「今からでも遅くない、とってみればいいさ。きっと人生に光明が差すよ」

「そいつは仄暗いダンジョンまで届くもんか?」

「届いているから、私はここに立ってるんだよ。康虎」

「そうか。じゃあ」


 彼は炎剣を更に燃え上がらせる。


「お互いにやるべきことをやろうじゃねぇか」


 それに答えるように、彼女が身に纏う稲妻が勢いを増す。


「そうだね。それがいい。人事を尽くして天命を待つさ」


 そうしてこちらに振り向いた。


「行きな。美鈴を悲しませたら承知しないからね」

「――わかった」


 両翼を羽ばたいて飛翔し、その場をあとにする。

 瞬間、火炎と雷の光が無数に輝いて、幾度となくぶつかり合う様が見えた。


「必ず、人間に戻る」


 その場を美鈴の師匠に任せ、仄暗い通路を突き進む。

 これで邪魔者はいなくなった。

 ようやく最後の魔物を倒しに行ける。

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― 新着の感想 ―
[一言] 最後の魔物は一体なんだろう……
[一言] クライマックスか...?楽しみ
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