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反魂のネクロ ~スケルトンになった少年、魔物の遺骨を取り込んで最弱から最強へと成り上がる~  作者: 手羽先すずめ


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不意の急襲


 時間を加速させすぎると骨すらも朽ち果てる。

 アンデッドという存在でなければ骨も風化して崩れ去ってしまう。

 だが、良い感じに加速を調整できれば、骨だけを残すことが出来るようになる。

 俺はその調整をしつつ、来るべき決戦に向けて魔力を蓄えていた。


「ギャァアァアア――」


 皮膚が、肉が、臓腑が、時間の加速によって崩れ落ちる。

 骨だけになって突っ込んできた魔物をそのまま混淆で吸収した。


「そろそろ、かな」


 魔力の充填が終わるまで我慢していたが、そろそろ限界だ。

 周囲に魔物の気配もないことだし、いい加減精霊に聞こう。

 最後の魔物は、いったいなんなのか。


「精霊――」


 ふと、違和感を憶える。

 足下、地面が微かに波打ったような奇妙な感覚。

 それを疑問に思う前に、この骨格は積み上げてきた経験から飛び退いていた。

 同時に地面から生える剣。

 俺はその攻撃を、見たことがある。


「あの時の!」


 俺が初めて戦った高位探求者。

 地面に潜行する魔法の使い手。

 それが今再び、俺の目の前に現れた。


「本気で決めるつもりだったんだけどな」


 彼はそう言うと、硬い地面に降り立つ。


「あぁ、そうそう。俺だけじゃないぜ」


 その言葉の意味を理解するより早く、背後から得物が振るわれる。

 振り向きざまに刀を構えてそれを受けると、またしても見覚えのある顔が目に入った。


「よう」

「あんたもか」


 バジリスクを相手に共に戦った三人組の一人、連。

 その後ろには臨戦態勢の凜子と、本を開いた理人が見えた。

 彼らとは戦わないと誓い合ったが。


「悪いな。約束、守りたかったんだが」

「参加しないと僕たちの立場も危うい」

「ごめんね」


 頭上に雷の槍が無数に現れ、俺は連を弾き飛ばして翼を広げる。

 大きく羽ばたいて空中に逃れ、串刺しは免れた。


「不味いな――」


 頭上に気配を感じ取り、即座に視線を持ち上げる。

 燃え上がる大剣。

 それを一目見て、それが何者かを理解した。


「久しぶりだな」


 これまでの戦いの中で本気で戦って唯一勝てなかった相手。

 火炎を纏う一撃を受け、俺は地面に撃墜される。

 地面が割れるほどの衝撃を身に受けたが、これくらいは慣れっこだ。

 即座に体勢を立て直し、距離を取る。


「――チッ」


 気づけば周囲を囲まれていた。

 見知った顔もあれば、そうでない冒険者もいる。

 これら全員が高位探求者。

 そして、その中には。


「やあ、少年」


 美鈴の師匠もいた。


「……世界中が敵になったみたいだ」


 高位探求者は多忙を極めるって話だった。

 だが、現状これだけの高位探求者が集まっている。

 俺を殺すために。

 冒険者組合とやらも本気になったみたいだ。

 これはいよいよ進退窮まったか。


「実際、今の状況はそうだよ。絶対絶命って奴さ」


 師匠は剣を抜き払う。


「今の少年に、この場を切り抜けられるほどの力はあるかい?」

「……あぁ」

「そいつはよかった。じゃあ、見せてくれ」


 一斉に四方八方から高位探求者が襲いかかってくる。

 剣を、魔法を、用いて迫ってくる。

 その一つ一つに殺意が篭もっていることは明らかだった。

 だから、俺も加減はしない。


「俺も全力で対処させてもらう」


 周囲にいるすべての冒険者の時を減速をさせた。


「おっと、こいつはっ」

「ケリュネイアか」


 だが、流石は高位探求者。

 どうやったかはわからないが、数名の冒険者はそのまま変わらぬ速度で突っ込んでくる。

 時の減速の影響に抗っていた。

 当然、燃え盛る大剣を担いだ冒険者や、師匠はそのまま。

 それでも逃げる隙間は出来た。


「あと少し――」


 飛翔し、逃げ道を確保する。


「あと少しなんだ!」


 心からの叫びを吐いて羽ばたき、通路へと逃げ込んだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] たぶんこの世界観だと人間に戻ったところで、殺されて終わりかも。 国籍も住民票もなく、死んだことになっている人を殺しても殺人にはならない。せいぜい器物損壊。 ずっと追われることになるのか?…
[良い点] おもしろかったです [一言] いよいよ人間になりそうな なりそうでないような ひょっとして人間を飛び越えて神にでもなりそうな 次回に期待
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