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反魂のネクロ ~スケルトンになった少年、魔物の遺骨を取り込んで最弱から最強へと成り上がる~  作者: 手羽先すずめ


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確信の軍隊


 アジ・ダハーカによる千の魔法。

 放たれる魔法の一つ一つは威力が高く、追尾性能も優れている。

 属性もそれぞれ違い、魔法に対して耐性の高い結晶盾でも、防ぐのは現実的ではない。

 迫りくる魔法を個別に対処することは可能だが、時間を掛けると次弾が放たれてしまう。

 千が二千になれば、もう手が付けられない。

 対抗手段は思いつく限り三つ。

 雷毒の魔装で速攻をかけるか。

 ジャバウォックの混沌の言語で正面から殴り合うか。

 ヒュドラ・あるいはケルベロスの強烈な攻撃で一撃必殺を狙うか。

 どれにも可能性があるが、その分リスクも大きい。

 一か八かで打って出るには、不安要素が多すぎる。


「んんん」


 ああでもないこうでもないと思考しつつ丘陵を歩く。

 そうしていると丘の裏手で魔物の群れと鉢合わせになる。

 奴らはこちらに気がつくと牙を剥いて威嚇してきた。

 それに対抗するように両隣の犬頭が喉を震わせて低く唸る。

 互いに牙を剥き出しにしてにらみ合う。


「ちょうどいい。魔力を補充させてもらう」


 吼え、大口を開き、魔物が跳びかかってくる。

 それを犬頭が撃退し、噛み砕いて捕食した。

 それに合わせてこちらも刀を振るい、その最中にもアジ・ダハーカの対抗策を練った。

 精霊が推奨したということは今の俺でも勝ち目があるはず。

 なにか方法があって俺はそれを見逃しているか、気がついていない。

 あるいはまだ試していないこと、か。


「……」


 ふと気がつくと周囲の魔物が全滅していた。

 犬頭が随分と頑張ってくれたらしい。

 頭を撫でて働きを労い、混淆を発動して周囲の遺骨を魔力に変換した。


「ん?」


 不意にがちゃがちゃと音が聞こえて振り返る。

 すると、先ほど襲い掛かってきた軍隊がそこにいた。

 尾行されていた? いや、流石にないか。

 彼らが空を飛べるとは思えないし、尾行していたならあの戦場に参戦していたはず。

 十中八九、偶然だ。

 嫌に鉢合わせになるな、今日は。


「スケルトンッ」


 彼らは前回と同じように得物を構えた。

 血の気の多さは嫌になるが、一度戦闘を交えているからしようがないか。


「よしてくれ。争う気はない」


 低く唸る二頭の犬頭を宥めつつ、そう言う。


「そっちもアジ・ダハーカが目的だろ? こっちはこっちで勝手にやる。そっちはそっちで勝手にやってくれ」


 交戦の意思がないことを示すために彼らに背を向けた。

 そしてこの場を離れるように歩き出す。


「お前では勝てぬぞ、スケルトン」


 背後から気になる言葉が投げられる

 立ち止まって、ちらりと背後を見た。


「まるで自分たちなら勝てるって言い草だな」

「その通りだ。我々はすでにアジ・ダハーカを攻略している」


 その声音は自信満々と言ったようすで勝ちを確信しているようだった。

 嘘やはったり、強がりとは思えない。


「ゆえに、我々の邪魔をするな。そうすれば生かして置いてやる」


 元から邪魔をする気なんて更々ないが、その攻略法とやらは気になる。

 どんな手段を用いるのか、見てみたいところだ。


「じゃあ、それを楽しみにさせてもらう」


 そう言い残して、今度こそこの場を後にした。

 しばらく警戒していたが、背中に攻撃したりはしてこなかった。

 無用な戦闘を避けたいのは、向こうも同じだったらしい。

 初対面の時は事情が違ったしな。


「すでに攻略している、か」


 見て、聞いて、体感したアジ・ダハーカの脅威は並大抵じゃない。

 その攻略法とやらで、本当に討伐できるのか懐疑的だ。

 自信満々の作戦は大抵、その通りになるか、大外れになるかのどちらかになる。

 どっちに転ぶか見させてもらおう。

 これで本当にアジ・ダハーカが倒されてしまったら――


「まぁ、その時はその時だな」


 精霊に別の標的を推奨してもらうとしよう。

 なに、このダンジョンには強力な魔物が沢山いる。

 アジ・ダハーカと同格の高位の魔物はほかにもいるはずだ。

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新作を始めました。こちらからどうぞ。魔法学園の隠れスピードスターを生徒たちは誰も知らない
― 新着の感想 ―
[一言] 戦闘前の会合 お互い協力する気が皆無なのがいい そうそうこういうのでいいんです
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