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反魂のネクロ ~スケルトンになった少年、魔物の遺骨を取り込んで最弱から最強へと成り上がる~  作者: 手羽先すずめ


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七色の息吹


 とにかく、いま一番警戒しなければならないのは、高位探求者である彼女だ。

 まだ未知数な部分が多いヒュドラよりも、明確に危険度の判別ができる。

 だから、何においてもまず射線を切ることに専念しよう。


「アァアァァアアア」


 見渡す限りに群れをなすヒュドラの分身を蹴散らし、周囲の岩や凹凸を利用して彼女から距離を取る。途中、何度も狙撃されたけれど、彼女もヒュドラを片手間に相手しながらの攻撃だ。精彩を欠いていて紙一重で躱すことができた。そうしてどうにか距離を取ることに成功する。

 ちょうどいい岩陰に身を隠し、とりあえず一息をついた。


「しかし、参ったな」


 このまま三つ巴の状態で戦い続けるのは厳しい。

 以前のように共闘して魔物を相手取るような状況でもない。背中から撃ち抜かれるのが関の山だ。どちらかに的を絞って戦わないと。

 そうなると彼女をヒュドラから引き離す方向で考えたほうがいいか。

 彼女の狙いは飽くまで俺でヒュドラじゃない。俺がこの場から離れれば追ってくるはず。問題は彼女をどう撤退させるかだ。あの光弾の威力や、戦場における状況判断能力をみるに、かなりの実力者に違いない。

 全力で戦って勝てるかどうか微妙なところ。その後にもヒュドラが控えている。

 順番で言うなら逆がいい。ヒュドラを殺し、その骨格を吸収した後に戦ったほうが確実だ。まぁ、どちらにしてもキツい戦いが続くことに変わりはないけれど。

 未だかつてない状況に、ぐるぐると思考が巡る。

 それを遮るように、地面が大きく揺れた。


「地響き……」


 異変を察知して支えにしていた大岩から背を離す。

 その瞬間、大質量の大岩が横方向へと吹き飛んだ。

 豪快な音を鳴らして地面を転がり、大きな飛沫を上げて溶岩の川へと身を投げる。

 それを見てすぐ両翼を羽ばたいてその場から飛び退いた。すぐに追撃がくると思ったからだ。それはまさしく正解で、先ほどまで立っていた場所に鋭利な爪が振り下ろされる。


「って、ことは」


 空中で翻って背後を確認すると、やはりヒュドラの本体がそこにいた。

 その足下にはうじゃうじゃと分身たちがうねっている。

 生きている人間である彼女を無視して俺を追ってきた? なら、いま彼女はどこにいる? 三つ巴を嫌って一時的に撤退したのか? それともどこかで隙を窺っているのか。

 空中の俯瞰視点から見渡して人の影を探す。だが、見つからない。


「アァアアァアアァアアァアア」


 連なる咆哮が轟く。


「悠長に探している暇もないか」


 見えない脅威より見える脅威だ。

 咆哮を終えた各々の龍頭が順次、ブレスを食む。口腔から漏れ出す属性はすべて異なり、放たれる色は虹を描いて灼熱の空を彩った。


「綺麗だなっ」


 一条に束ねられたそれを両翼で羽ばたいて回避する。

 ブレスの速度は、光弾に比べると十分に反応が追いつく程度。躱すのはたやすい、と思っていたけれど。初撃を外したとみるや否や、ヒュドラはブレスを拡散させる。いくつもある龍頭を駆使し、あらゆる方向へとブレスを薙ぎ払った。


「面倒なっ」


 ブレスの薙ぎ払いは無軌道に見えても狙いは正確だ。躱したかと思ったその先で、また別属性のブレスを振るわれる。それを混沌の言語で防いでも、次は背後から仕掛けられてしまう。

 多頭ということは、それだけ死角がないということ。

 俺がどこへ向かおうと、ヒュドラにはすべて見えている。常にどれかの龍頭の視界に治まってしまう。その分、回避先の推測もたやすいのだろう。

 空中にいるのにブレスによって飛行を制限されてしまう。まるで囲い込まれているような、そんな感覚にすら陥ってしまうほどだ。


「かくなる上は……」


 無理矢理にでも各種ブレスを突破するため、大きな一撃を見舞おうと携えた杖剣に魔力を流す。

 その時、不意に見つけてしまった。

 遠い岩肌の地面に立つ、一人の女性。彼女の周囲に浮かぶ、その光弾を。


「ま――」


 不味い、と思った時にはもう遅い。

 必死に身をよじったが、完全回避は間に合わなかった。


「――がっ、あぁああッ!」


 光弾は左肩に直撃し、その衝撃で身に纏う魔力ごと、半身を打ち砕かれる。

 おおよそ骨格の三分の一を持っていかれた。


「くそ――」


 片翼すらも失い、地面に落ちる。

 その隙をヒュドラが見逃すはずもなく、至近距離で火炎のブレスが放たれた。

 仮にこれを凌いでも、地面には何百何千というヒュドラの分身がいる。

 万事休す。


「死んでッ、たまるかっ!」


 それでも、ここで果てるわけにはいかない。

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― 新着の感想 ―
[一言] 真実の精霊を活用しないのは舐めプかな? 情報は武器であり道具だ。 魔物の力は利用して、精霊の力を利用せず、死にそうなのはただのアホだろう。
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