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反魂のネクロ ~スケルトンになった少年、魔物の遺骨を取り込んで最弱から最強へと成り上がる~  作者: 手羽先すずめ


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光弾の追跡


 全速力で通路を駆け抜ける。フェンリルの脚力からなる圧倒的な速度で走るも、それを追い越すように背後から光弾が飛んでくる。鋭く真っ直ぐに放たれたそれはライフル弾のように回転し、闇を斬り裂いて通過する。

 身に纏う魔力にはすでに幾つかの弾道の軌跡が刻まれていた。


「しつこいなッ」


 光弾が風を切る音を頼りに、どうにか直撃だけは避けられている。だが、どれだけ速く走っても振り切れる気がしない。一定の間隔を置いて、背後の闇から一条の光が伸びてくる。


「流石は高位探求者ってところか」


 雑魚狩りを終えてジャバウォックの能力にも慣れ、次の標的を定めて移動をしていた際に、ばったりと高位探求者に出くわした。出くわしたというか、姿は見ていないのだけれど。恐らく待ち伏せされていたのだろう。

 通路の奥が光ったと同時に悪寒が走り、咄嗟に放った混沌の言語で障壁を張った。

 その危険予知は正解で、不意打ちの光弾は障害を貫通して、こちらに飛んできた。

 幸い、それで狙いが僅かにそれて頬の魔力が削られただけで終わったけれど。直撃していたら頭蓋骨が吹っ飛んでいたに違いない。

 それからは逃げの一手だ。闇に身を隠している高位探求者を相手取るよりも、闇に紛れて逃げるほうが確実だと踏んだからだ。

 まぁ、その結果がこの有様なんだけれど。


「どうするか」


 サンダーバードとオチューの魔装で一息に逃げ切る手もある。

 ただその場合は逃げた先で魔力が枯渇していしまうのが問題だ。魔力がない状態でもし標的にしていた魔物と出くわしたら。そこでなにもかもが終わりになってしまう。

 かと言って、このまま逃げ続けても延々と背後から光弾に狙われ続けるだけ。


「うおっと」


 思考の最中にまた風を切る音がして身を躱す。光弾は虚空を貫いて馳せ、通路の奥へと走る。それを見ていて、ふと気がつく。通路の先にある分岐路が、光弾の光で照らし出されていた。

 いくつもある別れ道。

 あれにはまだ背後の高位探求者にも気づかれていない。


「試して見るか」


 右腕をガーゴイル・デザートに変換。通路の壁を爪で削って錫杖を構築し、それで更に大量の砂を削り出す。大量の砂は壁となって通路を塞ぎ、進路を妨害する。

 しかし、その壁はあっさりと光弾に撃ち抜かれ、ものすごい轟音を鳴らして、巨大な風穴が空いてしまう。あの小さな光弾にこれだけの威力が秘められている。そのことに戦々恐々としつつも、第二第三の砂の壁を迫り上げ続けた。

 そうして視線を切りつつタイミングを見計らい、いくつもある別れ道の一つに飛び込んだ。

 その後に再び砂の壁が撃ち抜かれる。けれどその頃には俺は分岐路を選び終えた後、あとから追ってくる高位探求者が正しい分岐路を選べるかどうかは運次第だ。


「とりあえず、逃げ切れたか……」


 分岐路の先にあった大規模空間に逃げ込み、一息をつく。


「ここは……」


 改めて見た景色は、まるで火山地帯のような場所だった。

 赤く熱せられた山々、白く焼けた石、溶岩の川、灰が舞う天井。煌々と光る火と熱の灯火がダンジョンの暗闇を払っている。


「意図せず、だったけど」


 どうやら目的地に辿り着けていたらしい。

 ここが次の標的に定めた魔物が住まう場所だ。


「さて、と」


 周囲を警戒しつつ、火山地帯を歩く。

 形態をジャバウォックのそれに戻し、いつでも混沌の言語を紡げるように身構えながら進む。溶岩池の淵を渡り、足場の悪い道なき道を通り、岩石をむさぼり食う得体の知れない魔物と目が合う。

 けれど、向こう側はこちらを気にした様子もなく、大きな岩に口を付けていた。


「温厚な魔物ばかり……なのか?」


 これまでにも数体ほど魔物を見たが、ほかのように襲ってはこない。

 というか、ここの魔物は常になにかを食べていて、戦闘よりも食事を優先する傾向にある。普通は逆なはずだけれど、不思議な生態もあるものだ。

 そう思っていると。


「――ッ」


 もはや聞き慣れた風を切る音がして、咄嗟に身をよじる。

 瞬間、頭があった位置を光弾が過ぎり、そしてただ岩を食べていた魔物が撃ち抜かれてしまう。肉体に大きな風穴が空き、魔物は悲鳴を上げることすら叶わずに絶命する。

 すぐに背後へと向き直ると、今度はしっかりと姿が見えた。

 女の高位探求者だった。


「よく躱すものだ」


 彼女は周囲に光弾を浮遊させている。

 あれの一つが、あの魔物を撃ち抜いた。


「よくここだとわかったな」

「私は特別、目と耳がいいんだ。砂の流れと足音ですぐにわかった」


 この分だとどう足掻いても逃げ切りは無理だったか。


「ここは熱いな。冷たいシャワーが恋しい。だから、すぐに終わらせてもらう」

「……できるかな?」


 身構えて臨戦態勢を取る。

 その時だった。


「アァアアァァァアアア――アァァァアアアアアアッ」


 近くを流れる溶岩の川から、一体の――いや、複数の首が顔を覗かせる。


「こいつはッ」


 何又にも別れた首、その姿は紛れもなく俺が標的としていた魔物。

 ヒュドラだった。

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