この世界のおっさんは優しい
眩しい光に目を開けるとそこは異世界だった。
中世のような街並みが目の前に広がる、果物のような物を売っている露店、街の中を走る馬車、行き交う人たちは耳の長いエルフや獣の様な耳がついている獣人、アニメや漫画でしか見たことのない景色に俺はワクワクしていた。
「これが異世界か、これから俺の異世界生活が始まる!」
テンションが上がって拳を上にあげた俺に目の前を通る人たちが痛い人を見る目で見てくる。
恥ずかしくなり顔を真っ赤にして俯いてしまう。
気を取り直して俺は歩き出す。
「まずは、冒険者ギルドに行くのがテンプレだよな。優しそうな人を探して声をかけるか」
優しそうな人を探してうろうろしていると後ろから声がかかった
「おい、そこの若いにいちゃん何か困ってんのか?」
振り向くとゴツい強面のおっさんが立っていた。
俺は悲鳴が出るのを抑えるとおっさんに話しかける。
「この街に来たばかりで何も分からなくて困ってたんです」
「俺に分かることがあるならなんでも聞いてくれ、にいちゃん貴族か?この辺じゃ見ない服着てるな」
貴族?この服がそんな風に見えるのだろうかただの学ランなんだが、まぁいいか結構良い人っぽいし冒険者ギルドの場所を聞いてみよう。
「いえいえ、違いますよ。俺は冒険者になりたくてこの街に来たのですけど冒険者ギルドと安い宿屋の場所を教えてもらえますか?」
「冒険者ギルドはあそこの角を曲がると看板が見えるぜ、宿は冒険者ギルドに言えば駆け出しは格安で貸して貰えるぞ」
「ありがとうございます。俺の名前は折原伊月です」
「俺の名前はアルフだ、すぐそこで酒場をやってる、冒険者になって金持ちになった飲みにこいよ」
アルフさんは俺の背中をバシバシ叩きながら人の良さそうな笑みを浮かべていた。
「じゃあ俺から一言、ようこそ!冒険者たちの街チェリクへ!」
この世界のおっさんは優しい。