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風が少女へ語る時  作者: 胡桃パンの元
第2章 ゴールデンウィークは遊園地へ!
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第9話 

よろしくお願いします。


(ふう)達と出会って少しの時間が過ぎた。

私にとって迷惑この上ないけれど楽しくないこともなかった。


妖精、縁、契約。わからないこともまだまだ多い。

……私、これからどうなるんだろう。


そして、時は五月。

ゴールデンウィークに差し掛かる。

______________________________


(あまね)(ふう)を睨んでいた。

そして半分呆れたように溜め息をつく。

「……わかったわ。行けばいいんでしょ?」


決心したというより仕方なくという言葉の方が似合う表情をしていたのだが、(ふう)は特にそのあたりは気にする様子が無く、ただ嬉しそうに叫び出す。


『やった~~!!【イルカわくわくランド】!!』



 ―――このようになった訳は数分前に遡る。

学校での昼休みの事。

明日からゴールデンウィークということで、どことなく生徒達が浮足立っていた。

対して普は毎年この時期は図書館や家で一人過ごすのが日課。

友達と出かけるなんて夢のまた夢だ。

第一に友達自体いなかった。

だが……


「あ、普さん!ゴールデンウィーク、どこか、い、行きませんか?」

雪が普の目の前でそう言って大きな瞳を輝かせる。

「え……」

例年通りに過ごそうと考えていた普は戸惑っていた。

すると、(ふう)が胸を躍らせながら

『普、【イルカわくわくランド】行きたい!』

普にそう訴えかけてきたのだ。


【イルカわくわくランド】は、この辺りではほとんどの人が知っている遊園地兼動物園だった。

名前の通り、イルカショーが有名で、家族で見に行く人がいれば、恋人や友達と来る人も多い。

ゴールデンウィークなどの休暇になると入場者数は一気に跳ね上がる。


「人、多いんですけど……」

普が行きたくないと言い出さんばかりに眉を寄せる。

『イルカのぴぴ君と写真撮るノ!』

(ふう)はそんなことは気にしない。どこから手に入れたのかパンフレットを手にイルカの写真を普に見せてくる。

「お金掛かるんだけど……」

金銭面を(ふう)に伝えれば諦めると思ったが、

『実体化しないで入れば入場料は一人分だヨ! あ、そ~だ! 飛んで入れば無料だネ!』

 こっちに同意を求めるなっ! 確かに妖精は入場料を払う必要はないかもしれないが。

何を言おうが無駄だと悟った普が先に折れた。


「……わかったわ。行けばいいんでしょ?」


ということでゴールデンウィークは【イルカわくわくランド】に行くことになってしまったのだった。


『やったー! さすがは下僕ぐへっ!?』

(ふう)様っ!?」

「下僕って言うなっ!」

喜びで油断した(ふう)を一発なぐる。契約してから、、具現化していない透けている(ふう)にも触れるようになっている。


「む~、痛いナ~」

とはいえ、普のパンチくらいでは(ふう)は怪我しないようだが。



「わ、私、遊園地行ったことなくて、で、でも普さんと(ふう)様と一緒に行けるなんて、すごく嬉しい、です」

(せつ)がにっこりと微笑む。

とても嬉しそうだ。

この笑顔を見ていると、遊園地も悪くないと思えてくる。


『【イルカわくわくランド】わくわくっ! 普~、明日はまだなノ~?』

一番嬉しそうなのは(ふう)だった。

くるくると空中を回り始めた。


普としても遊園地に行くのは久しぶりで、内心わくわくしていた。

何事もなく普通に楽しめますように、と心の中で願う。


『普~遊園地って空飛べるかナ~? 観覧車って飛ぶ~?』

「遊園地は、な、なんでもできますよ! 飛んでるかもしれません!」


 たぶん無理だろうね、このメンバーだし……


予礼のチャイムがそんな普を余所に鳴り響いた。

誤字・脱字等ございましたら、教えていただけると幸いです。

最後まで読んでくださりありがとうございます。

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