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風が少女へ語る時  作者: 胡桃パンの元
第1章 風(ふう)との出会い?
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第5話

よろしくお願いします。


私は今ベットの上にぶっ倒れている。

(ふう)のせいで今まで築き上げた一人の空間が崩れかけていることに私は気づいていた。

悪くない、なんてことを思い始めている自分に驚いている。

進歩と言えるのかわからないがいつか……


 本当の友達になれるだろうか。


『むぁぁああっ!! 暇っ! 暇暇ぁぁあああっ!!』

(ふう)がまた私の部屋にあがりこんでぎゃあぎゃあと喚いている。


……やっぱ友達いらない。

_______________________________________


山戸(やまと) (せつ)と言います。きょ、今日から、よ、よろしくお願いしますっ」

(あまね)のクラスに突然転校生がやってきた。

山戸 (せつ)と名乗った少女は一言でいえば華奢な女の子だった。

細い手足にくるっとした茶色い瞳。

綺麗に切り揃っているショートボブの髪が彼女が動くたびに揺れる。


可愛い子だなぁ、と素直に(あまね)はそう思った。

まあ、話すことなんて無いのだろうが


普は(ふう)を何気なく目で捜す。

いつもなら教室内のどこかをふわふわ浮いているが今日はどこにもいなかった。

「どこに行ったのかなぁ……」

普は風の吹かない教室から外を眺めた。


「お友達になってくれると嬉しい、ですっ」

(せつ)は愛想の良い笑顔で笑った。

その笑顔は他のクラスメイトに向けたものではなく、普に向けたものであった。

その事に誰も気づきはしなかった。


「はじめまして、山戸さん。私は畑中 凛子といいますの」

休み時間になると凛子、桃花、詩織の三人が(せつ)を仲間に引き入れるべく、彼女の席を囲んだ。

「はじめまして、です。(せつ)と言います。凛子さん、よ、宜しくお願いします」

(せつ)は優しい笑顔を凛子に向けた。


 うわ~、私はあの子みたいな笑顔は作れないな。

 ……しかも、凛子に。

(あまね)は四人のいるほうをチラリと垣間見ながらそう思った。


最近は休み時間になると(ふう)と話していたが今日は朝、家を出てから一度も見ていない。

つい最近までずっと一人でいたはずなのに、なんだか心細かった。


 ひょっとして今まで私は淋しさを紛らわすために幻を見ていたのではないか。


そんな言葉が頭の中をよぎった。

そんな事はないと(あまね)は首をブンブンと横に振った。


授業が始まったが、(あまね)はぼうっと空を眺めていた。

ツバメが空を横切ってゆく。

校舎の端にあるツバメの巣へ飛んでいったのだろう。


「この範囲は中間試験でよく出るからしっかりと復習しておくように……おい、東間聞いているのか?」

「……」

先生から何か言われた気がしたが、今の普は(ふう)の事で頭がいっぱいだった。

「東間、おい、東間っ!」

「え……あっ、はいっ。すみません」

いつもなら先生の話を聴き逃すような事はない。

「あらやだ、東間さん授業をちゃんと受けないとだめよ」

からかうように凛子がクスクス笑った。

「怠業? あははっ悪い子さんっ」

「そうですね」

桃花と詩織もその後に続く。

普は恥ずかしさと悔しさでただ黙って下を向いた。


「そ、そんなに言うことじゃないです!」

突然誰かが音をたてて席を立った。

今日転校してきた(せつ)だった。


「誰だって調子の悪いときぐらいあ、ありますっ!」

(せつ)は両手が少し震えていた。

こんなはっきりとものを言う性格ではないのだろう。

だが、凛子達の言葉に普を可哀そうだと思ったのかもしれない。


普は今まで自分のためにここまでしてくれる人を見たことがなかった。

震えながらも一生懸命な姿に普は今まで持ったことのない気持ちを抱いた。


 この子と友達になりたい


そう思ったのだが、友達の作り方など知らない普は話しかける勇気がなく、あっという間に四時間目が終了した。

教室でお弁当を一人で食べるのは嫌なので屋上に移動する。

相変わらず(ふう)はいない。

屋上に続く扉を開けると、普は違和感に気がついた。


「風が吹いてない……」

いつも心地よく吹きつけてくる風が今日は吹いていない。

まるで風が逃げたように……


普は気にしないように考えながらお弁当を広げる。

「いただきま…」

「あ、あのっ!」

普は声の主へ振り返った。

ショートボブの髪を揺らすその少女は(せつ)だった。

(せつ)は普の目をまっすぐ見つめて

「い、一緒にお弁当をたっ食べませんか?」

雪の結晶の模様が描かれた可愛らしい巾着に包まれたお弁当箱をさし出した。


普はその行動に驚いた。

自分に話しかけてくる人など滅多にいないのだ。

「いいけど……」

普がそう答えると(せつ)はパッと表情を明るくした。

「あ、有難うございます!」


それからは(せつ)が普にいろいろな質問を投げかけ、普がそれに答えていた。

何を話せばよいのかわからない普にとってそれは、話しやすかった。

「では、部活には入っていない、んですか?」

「そうね……家から学校までちょっと距離があるしね」


クラスメイトと話せる日がくるとは、と普は一人、心が弾む。

次の質問まだだろうかと待っている自分がいる。

 それも悪くない……


「普さんは人ではない者と、あ、会ったことはありませんか?」

普はその言葉で心臓が波立ったのを感じた。

「……え? それはどういう…」


「言葉通りの意味、です」

(せつ)の表情は真剣だった。


答えてはいけないと自分の中の本能がそう訴えかけている。

「そんなのあるわけが…」

(ふう)、という名を聞いたこと、ありませんか?」


「っ!?」

普は耳を疑った。


誤字・脱字等ございましたら、教えていただけると幸いです。

最後まで読んでくださりありがとうございます。

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