表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
風が少女へ語る時  作者: 胡桃パンの元
第4章 普と伯
44/44

第44話

よろしくお願いします。


「少し、話をしようか……」


どんな話が始まるのかと、緊張で普は唾を飲み込んだ。


_______________________________


暁闇は屋上に設置してあった自販機の前に行くと、黒い手袋をした手で懐を探り、長財布を出す。

何をするのかと警戒する普の前で、千円札を入れ、ピッとボタンを押す。

ごろごろと落下する音がして缶コーヒーが出てきた。

「な、何してるのよ」

困惑する普をよそに、暁闇は早速購入したコーヒーを一口飲む。


「おごってやる。好きなものを選べ」

警戒していたのに、少し拍子抜けする普。

「じゃ、じゃあ、紅茶」

『わ、私は冷たい林檎ジュースでお願いします!』

「いいだろう。買ってやる」


普と(せつ)は、暁闇から手渡された飲み物を手に、目を見合わせる。

思ったより怖い人ではないのか? と首をかしげる普。

いや、毒が入っているかもしれないとペットボトルをじっと睨みつける。


暁闇は、コーヒーを飲みながら、口を開いた。

「【風神】は、いつ暴走してもおかしくない、時限爆弾のような存在なのだ」

「時限、爆弾……?」

暁闇はこくりと頷いて話を続けた。


「【神】と呼ばれる妖精がなんなのか知っているか?」

「……詳しくは知らないわ」

「【神】と呼ばれる妖精は、それぞれの属性を司る妖精の中で最も力の大きな存在である。よって、【神】が動けば影響は計り知れないものとなる。特に【風神】は、その影響が大きいのだ」

「……えっと、つまり?」


「【風神】が、長く一か所に留まることは出来ない」

普の瞳が驚きで見開いた。

それは、ずっと一緒にはいられないことを意味していた。


「……ずっと同じところにいられないって、どのくらい?」

普は俯きながら、小さく尋ねた。

「後一年もない」

俯いたまま、その目を見開く。


「【太陽神】の金烏(きんう)や、【月神】の玉兎(ぎょくう)も? (せつ)も?」

口早に言葉が紡がれる。普の瞳が不安げに揺れた。

「当然奴らもだ。(せつ)の場合は【神】と呼ばれる存在ではない。しかし、その力は決して弱くはない。なれば、多少なりと影響はある。

第一に妖精と人が永遠に同じところで暮らすことは不可能だ」

暁闇からの非情な宣告に、普の声が震えた。


「……そう、なんだ」


『あ、普、さん……』


気づけば、普の瞳からぼろぼろと涙がこぼれていた。

とめどなく溢れる涙に、普自身も困惑する。

(せつ)が普の隣でおろおろと戸惑った。


まだ、数か月、もう、数か月。

(ふう)たちは、普のなかで、いつも一緒にいるとても大きな存在となっていた。

離れがたいずっと一緒にいたい、大切な、……友達。


けれど、ずっと一緒にいることは叶わない。

暁闇の言うことが正しいのならば、もう一年もない。

また、一人に戻ってしまうことに酷く悲しむ自分がいる。


「【風神】が同じ場所に留まれば、いずれその地の天候が荒れ狂い嵐が起こる。やつは一度嵐を巻き起こし、人々の生活を危険に晒した前科がある。だから、我は奴を邪神と言ったのだ」

暁闇は闇色の瞳を細め、険しい表情を作る。


「奴の場所を教えろ。このまま放っておけば、取り返しのつかないことになるぞ」


普は、手の中に納まった紅茶のペットボトルを見つめながら、じっと考える。

(はく)は、いや、(ふう)はどこかへ逃げて行ってしまった。

けれど、どこにいるのか、探そうと思えば見つかる気がした。


しかし、暁闇に教えてしまえば、(ふう)と碌に話すことなくお別れしなければならなくなる気がするのだ。



まだ、(ふう)には聞きたいことがある。


まだ、話したいことがある。



普は、顔を上げた。

「嫌よ」

その瞳の奥に決意の色を宿して、暁闇の頼みをはっきりと断った。


「ほう、小娘が。我の話を聞いておいて、まだ断るか?」

暁闇は、闇のオーラを放ち、普を威圧する。

普の手足が小さく震える。冷や汗がにじみ出る。


「私に攻撃でもしてきなさいよ! やってみなさいよ!」

それでも、意思は変わらない。


「教えないから。(ふう)とは、まだ話したいことが山ほど残っているのよ」

負けじと暁闇を睨みつける。


「あんたの出番は私の後よ! 出直しなさい!」



そして、

暁闇の笑い声が響いた。

「くはははははっ、ははははははっ!」

普は毒気を抜かれ、(せつ)もぽかんと放心状態になる。


「ふん。大した娘だ。ここは下がろうではないか」

先ほどの威圧はどこへ消えたのか、暁闇の顔には凶悪ながらも笑みが浮かんでいる。

「どうやら、我の出番はまだ先のようだ。精々爆発しないよう気を付けるんだな」

そう言い残すと、暁闇の姿が煙のように消え去った。


残された普と(せつ)は、気が抜けて膝で座り込む。


「あ、案外、は、話の分かる奴じゃ、ないの」

普の声はまだ震えていた。

『あのように笑っている姿は、わ、私も初めて見ました』


二人の頭上には、どこまでも青空が広がっているのだった。



A:どーもAでーすっ!

B:Bです。

A:前回のあとがきに引き続き、まだ真っ暗だぜ。

B:そうだな。

A:いつになったら電気復旧するんだ?

B:あとがきに電気は通っていません。

A:そうでした。って、それじゃあ、普段灯りどーなってんだよっ!

B:あー、魔訶不思議なあとがきパワーだよ、きっと。

A:あとがきパワー?なんだそれカッコいい!

B:いや、ダサいだろ。

A:みんな!オラにあとがきパワーを分けてくれ!

B:いや、何それっ!?

A:そうしたら、この部屋に電気がつく!

B:なんて馬鹿馬鹿しいパワーだ。

A:言い出したのはBだろ?

B:……否定しない。

A:あ、電気がついた! あとがきパワーが来たんだ!

B:……あ、うん。って、これ、あとがきなのかたまに分からなくなるな。

A:何言ってんだよ!正真正銘のあとがきだろ?

   続く……?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ