第41話
2020/5/6 32~41話 一部改稿しました。
「東間さん! 夏休み、ご一緒しませんこと?」
「あっそぼー♪」
「二人とも、勉強の事を忘れてはいけないですよ」
凛子、桃花、詩織の三人が普に声をかけてきた。
夏休み間近という事もあり、クラス中が浮き足だっている。
「一緒って……具体的には?」
普の問いに凛子は「そうですわねぇ」と頭を回転させ、顔をあげると何かを思いついたように手をパンと打った。
「私の家に来ませんこと?」
畑中凛子はその名前からは予想がつかないが、父親がどこかの会社の社長だそうでそのご令嬢、つまりは金持ちである。
よく、桃花と詩織が凛子の家に遊びに行っている事は何となく知っている。
まさか、自分が誘われるとは思いもしなかったが。
前に少しいじめられていた事もあるので行きたいとあまり思えない。
「え、えっとその……」
だからといって、誘ってもらったのを断るのもどうかと思い、なかなか返事が出せなかった。
「あら、もしかして」
凛子が普の顔をじっと見る。
まさか、そんなに行く気がないことがバレた!?
「山戸(雪)さんと一緒の方が良かったわよね。ごめんなさい。山戸さんにも招待はするつもりだから、遠慮なく来て頂戴。歓迎するわよ」
そっちでしたか。
「う、うん。雪は絶対喜ぶと思う」
私はどう反応したらいいのーーー!?
普の頭の中は混乱の最中にあった。
「あ、普さん、あの、ちょっと」
そこに救世主こと雪が現れる。
「雪、どうしたの?」
「兎に角、少しこちらへ」
「うん……」
雪にされるがまま普は教室を出て人通りのほとんどない屋上に行った。
そこには【太陽神】金烏と【月神】玉兎が神妙な面持ちで立っていた。
『遅いじゃねえか。暇でしょうがねえ』
『金烏、口悪いよ! じゃ、本題入るよ~』
雪も普の横で真剣な顔をしている。
普は何が起こるのか分からないが、三人の真剣な面持ちに、こくりと頷いた。
『昨日のあれから金烏とも話したんだけどね。あの人の事、ちゃんと言っておこうと思って』
『本人にゃめっちゃ怒られるだろうけどな。……言いたくなかったみてえだし』
あの人とは、誰のことだろうか、と思いつつも、普はその言葉の続きを待った。
『普ちゃんだよね。昨日、伯っていう人に会ったって言ってたよね?』
玉兎が静かに口を開いた。
普は思い出す。昨日学校の帰り道で倒れていたところを見つけた青年のことを。
緑の瞳がどこか懐かしくて、でも、詳しくは思い出せない。
昔の日記に書かれていた、はくという名の不思議な人。
「私、昔に伯に会ったことがある。全然覚えていないんだけど。昔の日記に伯の事が書かれていたの。でも、その日記……今朝から見当たらなくて」
『なるほど~風さん何で取ったんだろ?』
「え!? 風が取っていった? どういう事!」
日記がなくなったのは今朝だ。ということは風は一度家に帰ってきていたことになる。どうして姿を見せないのか、と気を揉んだ。
『それより、雪のや……雪から聞いたが、お前、契約してんならさっさと言えよ』
「はい? 言っても特に意味なんてないでしょ?」
契約、それは妖精との強いつながりである。普が知っていることは、契約することで妖精の能力が手に入ること、美野里先輩の光玉たちのように、妖精の力の消耗を抑えることぐらいである。
『すっごく大事だよ! 契約してるなら、ここに連れ戻せるもの』
「連れ戻す……?」
「い、イメージは召喚みたいな感じだと、お、思います。け、契約した人間しか、使うことができません」
「召喚か……なんかすご」
いでよー! とか言えば、目の前に現れるあれであろうか。契約について、普の知らないことはまだまだ多そうである。
『やってみろよ、早く』
「え!? 今!」
金烏の言葉に普は動揺する。いきなり召喚といわれてもできそうにない。
「ど、どうすればいいのか、ちょっとよくわかんないというか……」
『はあ? んなもん相手のこと考えりゃ一発だって』
金烏の投げやりな説明に、普はため息をつく。
「だ、大丈夫です。契約は、互いに思っていれば、自然とできるものなのです。あ、普さんなら、大丈夫です!」
雪は、普の手をとって、にこりと微笑んだ。ひんやりと冷たい手だが、普の心は温かくなる。
普は、雪の言葉に背中を押されて決意する。風をここに呼ぶと。
「うん。わかった。やってみるね」
「はい!」
普はそっと目を閉じた。
どうすればいいのかわからないけれど、風を脳裏に思い浮かべる。
悪戯好きでお菓子が好きで、生意気な妖精。だけど、時折見せる優し気な笑みが温かい。
身体の奥から風が流れ出てくる。自然と体が動く。
しばらくすると屋上に風が吹いた。
その風はだんだんと勢いを増して、ぐるぐる回転し始める。
普を巻きこむ強い突風が屋上中に吹き荒れた。
髪が乱れ、視界が遮られる。でも、あと少しだと直感が告げる。
「帰ってきなさい! この馬鹿ぁああああ!」
普の叫び声で竜巻の中心が光り出した。
その光はとても温かい懐かしい光だった。
普が再び目を開けると、そこには―――
『無理やりすぎて頭いてぇ』
膝まである長い髪を揺らした、緑の瞳をもつ青年、伯がいた。
日の下で長く美しい髪は光を反射して虹のようにきらきらと色を発している。
ぼさぼさな髪をそのままに、普は呆然とする。
「え……? どういうこと?」
A:まさか続けて投稿するほどストックがあったとは驚きだぜ
B:暇なんだろ
A:だな
B:……なんか言う事はあるか?
A:何がだよ
B:早速の出番だぞ。
A:あ、うん。……。
B:どうした?
A:いや~、こうして出番が来ると逆に何もないって言うか。
B:おいおい。それでいいのか。
A:仕方ねえだろ。あとがきは常にネタ不足なんだよ!
B:それも禁句な
続く……?




