第40話
『伯っていうのはほぼ間違いなく偽名だろ』
『ある人が好んで使っていた名前なの』
金烏と玉兎が続けてそう言った。「ある人」とは一体誰なのか。何故、伯は偽名を使っていたのか。普の脳内にいくつもの疑問が浮かび上がる。
「そ、そのある人とは、だ、誰なんですか?」
雪の問いに二人は言葉を詰まらせた。
『そ、そんな事はどうでもいい。今はいなくなった風のやつを探すのが最優先だっての』
話を逸らされた。
『そうだよ。たまうさちゃんは風さんの事がすっごく心配だよ~』
風がいなくなった事は前にあった。その時は確か、雪が初めて来た時だったはずだ。
あの時は、すぐにひょっこりと帰ってきた。今回もそうだろうと普はここにいる面々の中で一番今回の事を軽く思っていた。どうせ帰ってくると。
一応は【太陽神】と【月神】が、そんな事に時間を潰して大丈夫なのかしら……?
普は一人首を傾げた。
『風さんを見つけちゃうぞ~!』
「『お~!!」』
その日、風が見つかることはなかった。
夜になっても風は帰ってこなかった。
:*:*:*:*:*:*
翌朝、普は異変に気がついた。
「日記がない!」
小学生だった頃、毎日欠かさず付けていた古い日記帳。前、ベッドの下にあったのを見つけたので引き出しの中にしまっておいたのだがそれだけが見当たらなかった。
外に出した記憶はない。
その日記は、嫌な思い出が詰まっている。しかし、はく、という名もそこに書いてあったはずなのだ。
「ど、どこに……」
「普ー、朝ごはんが出来たわよ―」
一階から母の声が聞こえてきた。
今日も学校があるのでもたもたしてはいられない。
「はーい。今行くから」
普はまた帰ってきてからゆっくり探そうと部屋からでた。
食欲をそそる美味しそうな匂いが漂う中、普の心の中は何ともいい表せない不安な気持ちでいっぱいになっていた。
風が吹いた。
長い髪を靡かせて屋根の上に座る青年は伯だ。右手には一冊の古い日記帳を持っている。
「……ごめん」
誰もいない屋根の上でぽつりと呟いた。
「これは……処分しないと』
伯の姿が金烏たちと同じように透ける。
一際強い風が吹いた。
そこにはもう伯の姿はない。
「いってきます」
鞄を持って外に出た普はいつもついてくる煩い風がいない事に寂しさを感じながら学校へ向った。
「そういえばさ、明後日から夏休みに入るんだって」
返事が返ってくるはずがない。
「また暴れたら怒るよ」
風は吹かない。
「いつも怒ってるかもしれないけど」
久しぶりに一人で学校に向かった普は心にぽっかりと穴が空いてしまったように感じた。
「勝手に現れて、勝手にいなくなんないでよ。まったく。下僕だのどうのこうの言ってたくせに……」
ふと脳裏に浮かんだのは風がにやにや笑いながら言った言葉だった。
――『僕の下僕になってほしいナ~』
「下僕じゃないけど……契約っていうのしたよね。……全然使ってないけど」
頭の中で風を想像する。
手の中で小さな何かが渦を巻く。
小さな竜巻が手の中でひゅるひゅる音を立てている。
「使えるんだ……」
風は確か、いつでも契約破棄はできると言っていた。まだ使える。
契約は続いてる。
それだけで幾分か安心できた。
こんなこと、風の奴には絶対言えないが。
A:遅ぉおおおおい!
B:どうも~、Bです
A:遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い!
B:あれから幾年の月日が……とは経っていませんが
A:遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い!
B:投稿頻度が超鈍間なことはすいません。
A:遅すぎるんだよ作者ぁああ!
B:お前はさっきからうるさいな!アホ!
A:へつ、だから人気が出ねえんだよ
B:まぁまあ。騒ぐのはこのくらいにしろよ
A:俺達の出番がぁあああああ!
B:……。ま、こんな奴は放っておくとして
A:おぃぃぃぃい!
B:数少ない読者の方、最後までお付き合いくださいませ。
A:もうカムバックして忘れ去られてそうだけどな
B:それは禁句だ
続く……?




