表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
風が少女へ語る時  作者: 胡桃パンの元
第1章 風(ふう)との出会い?
4/44

第4話

よろしくお願いします。

この辺りから本格的?になってくると思います。

 朝の騒動が終わり、休み時間に(ふう)を叱りつけてみたがあまり反省していないようだった。

全く、先が思いやられる……。

とはいえ、許可を出してしまったのは私。迂闊に他人に頼った罰なのかもしれない。


……あれ?

そういえばコイツ、私を下僕になれとか言ってなかったけ?

……きっと冗談だよね。

たぶん。

_________________________________________


四時間目の終了を告げるチャイムが学校中に鳴り響く。

無事、午前中の授業が終わり(あまね)は屋上でお弁当箱を開けた。


「ねえ、私思ったんだけど、……あなた幽霊?」

(あまね)はいままで少し思っていたことを(ふう)に訊ねてみた。

すると(ふう)はほっぺを膨らませた。

『むあっ、失礼な! 僕は【風の妖精】(ふう)。何処が幽霊に見えるのサ?!』

「いや……透けてる所なんて特に……」

普が透けている(ふう)の体を指差した。

(ふう)は自分の体をみつめ、


『うわっ。透けちゃってる!?』


突然大声を上げ、空中で手足をバタつかせる。

どうやら、本気で驚いているようだ。

「えっ、気付かなかったの?」

『あっ、わざと透かせている事忘れてタ~』

(ふう)は舌を出して拳をコツンと頭に当ててみせた。

「……あっそ」


騒々しい(ふう)を冷たくひと睨みしてから、普は卵焼きを一つ口の中に放り込んだ。

いつも通りのお母さんが作ってくれた卵焼きだ。

だが、いつもよりなんだか美味しく感じた。

いつもと特に何かを変えたわけではないようだが……。


 そういえば誰かと話しながらお弁当を食べたことなんて久しぶりだなぁ

 こういうのも悪くない…


普は次に白ご飯を口に運んだ。

ふと、さきほどのことへの疑問が浮かんだ。

「はれ? わばほふはへてふの?」(あれ? わざと透かせてるの?)

不意に浮かんだ疑問を問いかける。

『ねぇ~僕が言うのもなんだけどちゃんと食べてから喋ろうヨ。行儀悪いヨ』

普は羞恥で顔から火が出そうなほど真っ赤に顔を染めた。


 一番言われたくない相手に…こんな正体のよくわからない奴に言われるなんて!

 ……原因を作ったのは私だけど何か嫌。


赤面しながら普は白ご飯を飲み込んだ。

「……で、さっきの続きなんだけど、どうしてわざと透かせてるの?」

気を取りなおし、普は(ふう)と向き合った。

『こっちの方が他の人に見えないから移動しやすいしぃ~それに』

「それに……?」

普はごくりと唾を飲み込む。

(ふう)はいつもの笑顔とは違い、初めて真面目な表情を浮かべた。


『悪戯するには最高の状態なのダ』

「……え? い、悪戯?」

『そう! これだと姿を見られることなく悪戯し放題なのダ!!』

(ふう)は堂々と言った。言いきった。


「ふ~ん。そうなのね……」

普は呆れたとばかりに深い溜め息をつく。


『もちろん透けないようにできるよぉ~。僕は【風の妖精】だからね、この体は風が集まって出来ているようなものだから~』


(ふう)が両手を横に広げ、目を閉じる。

勢いのある風が(ふう)の手から吸い込まれていく。

普はその様子に目を奪われ……

「あっ、お弁当が吹き飛ばされちゃうじゃないっ」

ることなくお弁当をいそいそ閉まった。


 とんっ


屋上のコンクリートに誰かが足を着けた。

もちろん(ふう)である。

違うのは、その姿が透けていないことだ。

丸い緑色の瞳が一層輝きを増している。


「じゃーん! 実体化ダヨ!」


普は改めて(ふう)をまじまじ観察し、指先で(ふう)の頬をつついてみる。

ふにっ


「お~ぷにぷに~」

子供らしいすべすべの肌だった。

思わず普は(ふう)の頬へ両手を伸ばした。


(ふう)は頬を触られるのがいやなのか、不機嫌丸出しの顔で普を睨んでいる。

「む~。どこが楽しいのか僕にはわからないナ」

普は聞こえている(ふう)の声がいつもと少し違うことに気がついた。

ふうの声はどことなく普通に聞こえてくるものとはちがっていて、頭の中に流れ込んでくるような声だったのに、今は耳からはっきり聞こえている。


「なんていうか……色々すごいわね」

「むふふっ。【風の妖精】だもノ~」

(ふう)は小さな胸を張った。


「で! 下僕になる決心はついタ?」

「……はいっ!?」

(ふう)はにっこりと邪悪とも言えそうな笑顔を浮べた。


キーンコーンカーンコーン


「ふざけるなぁぁああっ!!」


屋上で普が一人叫ぶのと予礼のチャイムが同時に鳴り響いた。



***


とある薄暗い部屋の中に人の姿はしているものの、人ではない不気味な雰囲気を漂わせる二人の人物がいた。

『奴は……奴の行き先は掴めたか?』

黒いマントを羽織った大柄な男が傍にいる妙齢の女性に感情の籠らぬ声でそう言った。

低く唸るような声は獣のようでもあり、夜を包み込む闇のようであった。


(せつ)が行方を追っています。もう少しは時間が掛かるものかと思われます』

女性はその揺れる胸を押し上げるように腕を組んだ。

『……申し上げにくいのですが、暁闇(ぎょうあん)様』

『どうした? 遠慮するな。申せ』

女性は眉間にしわを寄せる。

『なぜ奴は……風神は禁忌を犯したのでしょうか?』

二人の間でしばらく、実際はほんの数秒程度の沈黙が訪れた。


『奴が、邪悪な存在であるからだ』


男はマントを翻し、闇の中へと溶け込み、部屋からゆっくりと出て行った。


誤字・脱字等ございましたら、教えていただけると幸いです。

最後まで読んでくださりありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ