第39話
「つまり、鳴神ってやつが風と戦って二人ともどこかへ消えたってこと?」
普の言葉に雪が首を縦に振った。
「け、気配というか、お二人の力が急激に膨れ上がったかと思うと突然消えてしまって……私、何も出来なくて……」
雪の目に涙が浮かぶ。
普は慌ててそんな雪を慰める。
「だ、大丈夫よ。あいつ、すぐ戻ってくるって」
「そ、そうでしょうか?」
「そうよ、そうよ」
帰ってきたら膝蹴りと腹パンチを盛大にお見舞いしてやる。
全く、今度は何だって言うのかしら。
『おい、雪のやつ。風じ…風のやつはどこへ行った?』
突然聞こえてきた声の方を向けば漆黒の烏の翼を生やした【太陽神】金烏が窓枠に腰を下していた。
不法侵入者発見。
「き、金烏様。そ、それが、鳴神様と争いになったようで……どこへ行ってしまったのか分からなくて……」
雪がしょんぼりと俯いた。雪を中心に冷たい冷気が発生する。部屋の気温が二、三度下がったようだった。
『やっぱりな。鳴神と風じ…風に何かあったのは気がついたが……』
「ちょっと、ちょっと!! 雪に向かって雪のやつって何よ! 女の子は傷付きやすいのよ!」
そんなことお構いなしに普が金烏に詰め寄った。
『はあ? あいつは俺らより下なんだし別に…』
「よくないわよ! 泣き虫烏!」
『な、泣き虫から…す!?』
「あわわわっ、普さん、私は大丈夫ですから」
「そう?」
普は雪に止められた。スッキリはしていないようで金烏を不満げに睨んでいる。
『な、泣き虫か、からす……泣き虫烏泣き虫烏泣き虫烏泣き虫烏……』
だが、思ったより金烏にはダメージがあったようでぶつぶつ小さくその言葉を繰り返してはズーンと項垂れていた。漆黒の翼もしゅんと縮こまっている。
「あ……あれ? 言い過ぎたかな?」
『無様だね。金烏~♪』
可愛らしい声が聞こえてきたかと思うと窓枠に座っていた金烏が部屋の中に蹴り入れられた。
外から金烏の背を蹴ったらしい。ちなみにここ二階。
『玉兎!? 何でお前までこんなとこにいるんだよ』
バランスを崩したものの金烏は立ちあがるとすぐに後ろを振り返った。
そこにはウサ耳とウサギの手袋をつけた玉兎の姿があった。
にっこりと可愛らしい笑みを浮かべている。
『風さんがいなくなっちゃったんでしょ?』
突然の登場に驚く普と雪を放ったらかしにして玉兎は普の部屋の中に降り立った。
『たまうさちゃんも風さん探し、手伝ってあげる!』
普の小さな部屋の中に四人も(うち三人が人外)いるため、ただでさえ狭い部屋はより狭苦しく思えた。
『何だ? ここ。小屋か?』
金烏が狭い部屋に文句を呟いたところ、普からこわ~い殺気が出る。
「……あんたの羽をちぎってあげてもいいのよ?」
『ご、ごめんなさい』
「あ、あの。普さん……」
雪が恐る恐る普に声をかける。
「何?」
まだ少しお怒り気味の普だが、雪には笑顔をむける。
「さ、さっきまでいたはずの……その、伯さん……がいないんですが」
「えっ!嘘っ!?」
普が部屋中を見回すが自分を含め、雪、金烏、玉兎の他には誰もいない。絆創膏や包帯が外に出たままの救急箱だけがそこにあった。
「さっきまで確かにいたのに」
金烏と玉兎は雪の言葉を聞いた途端二人揃って何やら考え始めた。
『お前はどう思う? 玉兎』
『たまうさちゃんって呼んでよ! ……で、伯って聞き覚えある?』
『だからお前に聞いてんだろ』
『あるよ。でも、まさか……』
普と雪はそんな二人の会話に置き去りにされていた。
「な、なんの話をされて……?」
「もしかして、伯を知ってるの? はっきり教えて!」
金烏と玉兎は合わせようとしたわけでもないのに息ぴったりに頷いた。
A:イエーイ!あとがきの時間だぜ!
B:だな。
A:テンション低いな。
B:今日が何の日だと思っているんだ。
A:ん……おねしょした日とか?
B:バーカ!今日はバレンタインデーなんだよ。
A:……男子が女子からチョコもらう日だったっけ?
B:よく覚えてたな。
A:いやいや、知らないと思ったのかよ。俺をどんだけ馬鹿に思ってんだよ。
B:一般常識知らない人間の底辺。
A:ヒドッ!?……あ、もしかしてチョコもらえなくて凹んでる?
B:ギクリ
A:ほほ~う。女子からチョコが欲しいのかい?男子だねぇ
B:そ、そんな事はない。バレンタインというのはそもそもチョコレート企業が客にチョコを買わせるための算段であり…
A:そんな事言って、どうせ欲しいんでしょ?花子、実は用意してたりして♪
B:なにっ!?
A:どうしようかな~。いっつもお世話になってるし、花子、あげちゃおうかな?
B:く、くれるならもらってやっても……
A:うっそー!あげるかよバーカバーカ!ぎゃはっははははは!
B:ぐむむむっはめられた!
続く……?
A:俺、いらねえからやる。ほい、ど~ぞ。
B:え、マジで。




