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風が少女へ語る時  作者: 胡桃パンの元
第4章 普と伯
38/44

第38話


普の家。

今日は両親どちらも家にいない。

帰って来るまでは十分な時間がある。


「適当に座って。で、腕出す」

普が救急箱を床に広げた。

伯はしぶしぶ腕を出した。

白かった。

色白。

「あなた、日焼けという言葉を知らないのかしら。なんて羨ましい」

もう堂々と普が恨み言をはいた。

伯はそれに苦笑いを浮かべる。


消毒液をコットンに染み込ませ、傷に当てる。

「っ~」

伯が顔を歪めた。

「我慢しなさい」

普はテキパキと傷に消毒液をつけていった。


「ねえ、伯。突然だけど」

「何?」

「髪、どうやったらそんなさらさらになるの! 枝毛の一本もないじゃない!」

普が真剣な表情でそう叫ぶ。

「え? 髪?」

対して伯はキョトンと首を傾げた。


「そうよ! (せつ)もさらさらだけど、それ以上に何この羨ましすぎる髪。これだけ長いのに全然傷んだ様子がないなんて!」

「そんな事、別にどうでもいいんだけどな」

「……髪は女の命って言葉を知らないのかしら?」

「特に何もやってないし、俺は男だ。女の事は知らない」


「髪を乾かす時とか大変じゃない?」

「別に。ちょっとこうすればいい」

伯が髪の根元に手を当てた。

ふわっと風が髪を揺らす。

一本一本が繊細な糸のように光が反射して光る。

髪は風に流されて、ふわりと右の方にすべて寄せられてまとまった。


「……こんな使い方初めて見たわ」

普はぽーっとそれを眺めていた。

風の力で乾かせばドライヤーより痛まないのだろうか。

「うん。教えてないから」

「え?」

「何でもない」


普は消毒液を塗り終わり、包帯を取り出した。

ふと、伯と目が合った。

(ふう)と目の色が似ている事に気がついた。

「……」

「えっと……どうした?」

伯にそう言われるまでのしばらくの間、何故か伯の瞳から目が離せなかった。

「あっ、何でもないの」

普は伯の腕に包帯を巻いていった。


「……綺麗ね。目も髪も」


若葉のような緑の瞳と、同じく緑の髪。その長い髪は光に照らされて白や青に見えるのがまた不思議だ。


「そんな事はない。この色は孤独の色だよ」


伯の返答の意味は普にはよく分からなかった。



丁度手当てが終わった時、普の家に誰かが入ってきた。

バタバタと慌ただしい足音が近づく。

普の部屋の扉が勢いよく開いた。


「あ、普さん! (ふう)様、(ふう)様を見かけませんでしたか!!」

それは、いつになく慌てた(せつ)だった。

走ってきたため、荒い息を吐き出している。

相当焦って走ってきたのだろう。


(ふう)? まだだけど、どうせすぐ戻ってくるでしょ」

いつもの事だと普はけろっとしている。

「そ、それが、今日の天気の急変。あ、あれは鳴神(なるかみ)様です。た、ただで済むはずがありません!」

(せつ)は泣きそうになっていた。

心配の原因は(ふう)である。

(せつ)を泣かせたあの餓鬼殴る。


と、(せつ)は部屋にいた伯に気がついた。

「……あ、あの、この方は?」

色々な妖精やら神やら知っている(せつ)だが、伯に向かっては頭を捻らせていた。


「伯って言うんだって、怪我してたから手当してたところよ」

「無理やりっぽかったけど?」

伯が口を尖らせて呟いた。

「余計な事言ってると傷口蹴るわよ?」

「……怪我人にそれはひどい」

普の威圧にすぐに黙った。


「伯さんですね。お見苦しいところをすいません」

雪は礼儀正しくぺこりと頭を下げた。


「それで、雪。鳴神様って?」

普の質問でここに来た理由を思い出し、雪は再び不安の表情を露わにした。

胸の辺りに両手を組み、祈るような姿勢をとった。

「ら、【雷神】です」

「また物騒なのが出てきた。どれだけ来れば気が済むのかしら」

普が深くため息をついた。



伯はそんな二人を余所に窓の外に吹く風に当たりながらぼーっと空を眺めていた。


「……風は自由で、どこまでも飛んで行けて……そして、孤独だ」


夏の生暖かい風がやけに冷たかった。


A:本編より面白いあとがきを目指して!アーユーレディー?

B:…………。

A:何か言えよぉぉおおお!

B:お前がそんな英語を知っているとは……。

A:このくれえ知ってるわぁあああ!馬鹿にすんな!

B:ではその意味は?

A:え、えーっと……イエーイって言えよ……的な?

B:うん、うん。よかった、よかった。

A:何がよかっただぁぁあああ!

B:ぐはっ!?

A:だってそうじゃん!みんなこのあと返事くれるぞ!

B:意味を間違ってるぞ。

A:どんな意味だろうが、返してくれんのには変わりないじゃん!

B:ま、まあそうだけど……

A:返してくれるなら、どんな意味でも良いんだぜ!

B:うーむ。馬鹿思考。これじゃ、本編より面白い話には一生なりそうもないな。

A:何か言ったか?

B:いや、別に。

     続く……?

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