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風が少女へ語る時  作者: 胡桃パンの元
第1章 風(ふう)との出会い?
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第1話

初めての投稿です。

よろしくお願いします。


 私の名前は、東間あずま あまね高校1年生だ。


 桜の花はとうに散ってしまったというのに未だに友達というものができない。

その理由としては人に関わろうとしない自分が原因なのだ。


 他のクラスメイトは既に他のクラスにも友達を作っている。

ここ最近に起きたニュースや好きな芸能人などの話で盛り上がっているなかで、

私は一人自分の席に座りながら、風に揺られている木々を眺めていた。


 「風になりたいなぁ……」

___________________________________


 普にとって登下校の時間帯が一番気の休まる時間であった。

春の生暖かい風が彼女の黒く長い髪を揺らした。


普は大きく息を吸い込み、そしてゆっくりとはき出す。

何度か深呼吸した後で呟くように言った。


 「こんにちは」


 普がそう言った先には誰が居るわけでもない。

ただ、風が木の葉を揺らす。


 普が今いるのは登下校用に指定された道から少し離れた、長い階段の続く道だった。

木々に囲まれているこの場所は彼女のお気に入りの一つだった。


 他の生徒からいえば薄気味悪いだの階段が疲れるだの言われていて、滅多に人は通らないのだが、人と関わりたくない普からしてみれば、最高のスポットだった。


 いつもここの階段を上って視界に広がる景色を眺めている。

階段を上った先から見える景色は遠くの街の明かりから海に浮かぶ船のライトまで様々。

見る人によってはずっと眺めてしまうような絶景であった。


 傾いた太陽が辺りをオレンジ色に染めていく中で、普は深くため息をついた。

「学校なんて、なんで行かなきゃいけないのかな」


 彼女はその階段の先に続く道をゆっくりと歩きながらまた、ため息をつく。

「友達って言ったって、どうせ裏じゃ何を考えてるのかわかったもんじゃないし」


 考え込んでいたせいで、道の先にある横断歩道の信号を確認せずにわたっていく。

車こそいなかったがその信号は赤だった。

「友達なんて作って何がそんなに楽しいんだか」


 そこに、猛スピードで突っ込んでくる一台の車があった。

その車の運転手は彼女にまだ気づいていないようだった。


 普もまた、車には気がついてはいなかった。


 横断歩道に車が差し掛かるほんの数十メートル前、

彼女に気がついた車の運転手が慌ててブレーキを力いっぱい踏みこんだ。


 キキキキキキッー!!


 辺りにブレーキ音が鳴り響く。

普が音の鳴る方へ振り返ると、すぐそこに迫ってきている車が視野いっぱいに映った。

彼女は目を見開いた。


  えっ、ひかれる!?


 普は死んでしまうかもしれないと覚悟した

と、その時。


 彼女の体を物体のない何かが押した。


 高校生と言えどまだ幼いその体は、その何かによって反対車線側の歩道へ飛ばされた。

肩を少しばかり打ち付けるも特に外傷はない。


「……え?」

何が起きたのか、普はそれをすぐ理解できるほど冷静ではなかった。


「だ、だ、大丈夫ですか?怪我とかしてません!?」

先ほどの車の運転手が大慌てで車から降りて普に声をかけてきた。

「大丈夫…です。車にはぶつからなかったですし……」

普が立ちあがると運転手は、ほっとしたようで、頬を少し緩めた。


『む~。ぶつかってないケド今のは普通に引かれてたよネ~』

「引かれてないんだから別にいいでしょ……え?」


 すぐ隣から小さな男の子の声が聞こえてきた。

反射的にその声に答えてしまったが、何故か車の運転手はさっきの男の子の声が聞こえていなかったようにきょとんと首を傾げていた。


 普は、その声の主が気になりゆっくりと振り返った。


「っ!?」


 そこには案の定、小学生ぐらいの少年がいた。

だが、その少年の姿は少しばかり透けていて、空中に浮いている。

にやりといたずら気に笑うその顔には、子供らしさがにじみ出ていた。


『むふふ~。よかったネ助かって。まあ、助けたのは僕だケド~~』

少年は普を見据えると空中で一回転してみせた。



 この出会いが普の人生を変えることになるとはまだ誰も知らない。

誤字・脱字等ございましたら、教えていただけると幸いです。

最後まで読んでくださりありがとうございます。

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