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convenience store  作者: リクルート
7/8

店長不在の巻

あの店長が休みらしい

 今日もバイトだ。しかし、いつもと違うところがある。なんと初めて店長がいないのだった。代わりに違う人が入ってくるとか言ってたけど、どの人だろうか。まぁ、全員知ってるわけではないので、できれば知っている人がいいと期待してしまう。


 制服に着替えて、店に出る。そこには店長の代わりとなるであろう人がいた。その人はなんとも感じの悪い男だった。目つきは悪く、しきりに前髪を気にしている。

「こんにちは。今日はよろしく」

「あ、はい。よろしくお願いします」

 声をかけても愛想は思った通りよくない。こいつはレジとか以前の問題だろう。


しばらく一緒に仕事をしてみてわかったが、彼は几帳面だ。何か少しでも汚れていたら、気になるらしく、すぐに掃除や棚の商品の調整をしていた。どうやら悪いのは目つきだけらしい。それが一番の問題な気がするが。

「いらっしゃいませ」

 来客の合図で彼はしっかりと挨拶していた。なんともしっかりとしたやつである。心の中で悪口を言ったことを謝った。

「あらあんた。こんなところでバイトしてたのね」

「おお、なんか用か」

「コンビニに用があったの。あんたじゃないから」

「わかってるよ」

 なんともきれいな人だ。どうやら彼の友人らしいが、人形みたいな可愛い見た目だった。


 彼女は何かを探しているのか、店内をうろついていた。友人の前で犯罪を犯すとは思えないが、何をしようとしているのだろうか。ずっとポケットに手を入れているし。何か怪しい。

「ねぇ、ちょっと。そろそろなんか声かけてあげたら?」

 彼にそういうとなんとなく、面相臭そうな、それでいて子供を見るような仕方なしというような顔をして彼女のところに寄っていった。


「何してるんだよ。なんか探してるんじゃないのか」

「何よ、見つからないのよ。いいでしょ。勝手にさせて」

「いや、あの人が怪しんでるから。なんとかしてくれって頼まれたの」

「うぅ、それならしょうがないわね。いい、今日はカツだからね」

「わかってるって。いいから、な、家で待っててくれよ」

 そういわれると彼女は帰っていった。結局何も買わないままだった。


「すみません。あいつ、何がしたいのかわからなくて」

 その言葉に大丈夫と答えて、仕事に戻る。しかし、客はたいして来ないのでレジで人を待ち、ある程度時間がたったら、掃除をするという流れになっていた。彼も同じように仕事をしている。


 しかし、先ほどの会話を聞いていると彼らは同棲しているのだろうか。夕食の献立を彼女が決めていたようだが、なんとも尻に敷かれている感じだ。あれくらい可愛いなら仕方ない気もする。しかし、彼は嬉しそうな表情をしていなかったのは不自然な気がする。彼女が来たら少しは嬉しそうな顔をするものだと思うが。もしかして幼馴染で家が隣で、世話を焼いてやってるのか。それならあの子供を見るような仕方ないといった顔もなんとなく納得できるだろう。漫画みたいだが無いとは言えない世の中である。


 その後は何も起きずに勤務の時間は過ぎ去った。今日は本当に何もなく平和に終わったバイトだった。平和過ぎるのも退屈だ。なんていつもとは逆のことを思った自分に笑えた。

本当の日常で変化が全くありませんでした


続けます

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