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勇者と子育て1



魔王を倒す為に魔王城へとやって来た勇者は、今まさに最後の決戦をしていた。

漆黒の髪と同色の鋭い瞳をした美丈夫は、その手に薄っすら青く発光する剣、[聖剣ファウスト]を持つことから勇者なのだろうと推測出来る。

対する白髪に赤い瞳で聖者のような慈愛の微笑みを浮かべている美丈夫は、両耳の上辺りから後ろに向かって真っ赤な角が生えていることから魔王なのだろう。

二人は幾度となくお互いの剣をぶつけ合い、少しでも間合いが離れれば魔法を放つ。

現に今魔王が魔法を放ち、それを勇者は剣の一振りで消した。

苛烈なその戦いを伺わせるように城の壁のあちこちには損傷の跡が見えた。




そんな戦いにも終わりはやってくる。勇者の剣技に魔王が押され始めたのだ。

勇者の剣を避けきれず何とか防ぐその体には幾つも傷ができ、聖剣による傷は魔族の再生能力を阻害し毒のように体が衰弱していく。

動きの鈍った魔王はもはや勇者の敵ではない。


そして遂に勇者の剣が魔王を討ち取った。

勇者が降り下ろした剣が魔王の首を斬り落としたのだ。

その瞬間眩い光が溢れ、魔王の体と落ちた首が消失した。

それだけではなく、魔王の存在によってこの世界を包んでいた瘴気もその消失と共に消え去ったのだ。





窓から見えた外の様子に勇者はホッとしたように小さく息を吐き、剣を鞘に納めた。

そうしてもう用はないとばかりにさっさとその場を去ろうとした。

しかし、そのとき微かに聞こえた音に、ふと足を止めた。


「おぎゃー! おぎゃー!」


耳を澄ませば赤子のような声が微かに聞こえる。

禍々しい魔王城には不釣り合いなその声を不審に思いつつも、放っておくことは出来なかったのだろう。

勇者は誘われるように声の方へと進み始めた。




生き残った魔族の罠や誘拐された子供など、考え出せば切りがない。

だからこそ勇者は確認する為に進むのだ。



そうして暫く進むと一つの部屋を見付けた。

その部屋の扉は禍々しく重厚そうだが、魔王城の扉はどれもそんなものだ。

その部屋の中から声が聞こえていたようだ。

勇者は慎重に扉を開け中に入る。

そこは寝室らしく豪華なベッドや箪笥などが置かれていた。


声が聞こえる方へと部屋の奥へ進む。

勇者が天蓋付きのベッドの奥を覗き込むと、そこにはベビーベッドが置かれ、その中には元気に泣き叫ぶ赤ん坊がいた。

勇者はどうしたものかと少々戸惑ったものの、放って置けないと危なっかしい手付きで赤ん坊を抱き上げた。


クリーム色の毛布に包まれた赤ん坊は白金の髪に紫の瞳をしている。

もしや魔族の子供かと毛布を退かして裸の体を隈無く調べてみるが、どこにも角や尻尾などの魔族らしい特長はなかった。

どうやらこの赤ん坊はどこにでもいる普通の人間の子供のようだ。


どうしたものかと途方に暮れる勇者だが、赤ん坊が自分に向かって手を伸ばしてくる。

勇者が無意識でその手を握ると、赤ん坊の小さな手はきゅっと勇者の指を握り返してきて離さない。

そんな赤ん坊の様子に心打たれた勇者は、見付かるか分からないがこの子の両親を捜してみようと決意した。



やる気が持続しない人間なので5日くらいで本編は一気に書き上げました。

唯、投稿する為の再確認(読み直し)が面倒くさくて無駄に日にちが掛かりましたが。

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