自殺スイッチ
ある所に、A国という、貴族と不幸な国民がいる国がありました。A国の貴族は傲慢で意地悪く、国民に高い税を課してました。国民達は税を払うのにいっぱいいっぱいで、食べていくのがやっとの状態でした。当然、税を払えない人がいて、払えないと納税活動と称した、貴族達の娯楽にされるのでした。そんなある日、暇を持て余した貴族は、納税出来なかった人達をどう活用するか会議を開きました。貴族達は「ひたすらタコ殴りにするのはどうだ」「水に沈めるのもよかろう」「番犬の餌にするのはどうだ」「池造りというのもどうだ」と賑わいながら有効な活用方法を模索していました。勿論、それらの娯楽が面白いか、納税出来なかった人達で試します。貴族達が楽しみ、飽きかけた所で、1人の貴族が「納税出来なかったら自殺させるというのはどうだ」と言いました。この意見の素晴らしさに、全ての貴族が賛成しました。貴族は、他国の技術者に、手軽に自殺出来る物、を開発させました。技術者は戸惑いましたが、お金に魅せられ、自殺スイッチと首輪を、開発しました。これは、首輪をはめ自殺スイッチを押すと、首輪が爆発し、頭と体が切り離され、一瞬で死ぬ代物でした。一瞬で死ぬのは、何かの良心か、又は、自分の価値をスイッチ一つで消してしまうという、死の身近さ、手軽さ、という本能的な、又は、理性的な何かで恐怖させる意地汚さか。まぁ、ともかく、貴族は自殺スイッチの開発に喜び、国中に「納税出来なかった者は自殺スイッチで自殺させる」と御触れを出しました。すると国民達はあくせく働きました。貴族は国民の働き様に喜びました。
そして納税日に、貴族達は税を集めに、国民達の家を周りました。するとどうでしょう、誰も貴族に税を払いません。中には、貴族に殴りかかる者もいました。貴族達は、国民が暴動を起こしたのだと思い、城の中に引き篭もりました。城の外では、ワイワイガヤガヤとしていて、お祭りをしているようです。貴族達は、これから起こる事を祝ってるのだろうと恐れ、城の中で震えてました。
翌日、国民は皆死んでいました。