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カーンカーンと金属を叩く音が響く工房内は外部とはまったく別の温度が充満していた。高温になる原因は部屋の壁際に設置され煌々と火で照らしている炉だ。


「くそあちいな」

「そうだろうな。鉄は常に熱してないと塊に戻っちまう」


 なんでテイマー兼アーチャーな俺がこんなところに居るのかというと誘われたのだ。鍛冶屋のディルマに。


「武器を作りたいならこの熱に慣れしたしまにゃならんぞ」

「あー、はいはい」


 取得可能スキル表を覗くが耐熱やら耐暑やらはまだ出てない。こんなことなら暑いやらなんやら書き込まれていた南に一度でも行っておけば取得可能にでもなってたかもしれない。まあ、スキルポイントが1しかないのだがそれ以上だとまたレベ上げしに行かないとならなくなる。

 早めに取得したいものだ。


「ようし、いっちょやってみな」

「はあ!?」

「使う場所はそこのくず鉄が置いてある小さな炉だ。くず鉄だからいくら使ってもいいぞ」

「ちょ、ちょっと待て!」


 そういうや否やディルマのおっさんは弟子らしき人のほうへ行ってしまった。

 なんだこの鬼畜仕様……。でも純職のスミスでもない俺に工房が使えるようになるってイベントだと思っていたが、弟子でもない奴にはここまでってことか。何回か失敗していたら助言くらいはくれるだろう。

 入れ方とか量とかはほかの人の見て覚えよう。あとは何とかなるだろう。




[今回の行動で【鍛金】のレベルが上昇]



 何とかなるって見通しはものすっごく甘かった。鉄を溶かすのにも工程があり、少し間違えるとくず鉄に元通り。若干の酸化鉄や不純物が混ざるとくず鉄に変わり、また製鉄のし直しになって火と見つめ合わなきゃならない。だがそれはまだ入り口(プロローグ)であって、本編(ストーリー)に入っていない。

 VRなので目が灼けるような感じはしないが、熱気で目の前がにじむ。鍛金のレベルは順調に上がって4レベになっていることで鉄塊にはなっているのだが、そこから武器の形成へ移行が不十分でくず鉄に戻るのだ。


「ほう……、二時間でもう延べ棒が出来ているのか。驚いたな」

「ああん? ああ、おっさんか」

「おっさんって、まだ二十代だぞ。それはいいが、これどうやった?」

「普通に形作っただけだからダメな感じがするが」

「まあダメダメだな」


 延べ棒は作成手順が現れるようになって形作れただけだ。もう少し鉄塊が作れていれば練習できたかもしれない。


「それじゃあ『鍛冶』のスキルをやろう」

[スキル『鍛冶』を入手しました]

「これで武具が作れるようになったぞ」

「始めっからくれや!」


 武具を造るには鍛冶スキルが必要らしい。通りで武器の作り方がわからなかったわけだ。と言うか鍛金は文字通り貴金属類を鍛えるだけで、他は何もできないってことなのか?

 これはなんのトリガーで発生したイベントなのかが知りたいところだが、検証はしずらいイベントだな。


[イベント『下手が横好き:鍛冶』をクリア]

[スキルポイントを2獲得しました。現在3ポイントです]

[取得可能スキルが追加されました]


 新しく可能になったスキルは『鋳造』、『複製』、『形成』。生産系、特に鍛冶に関わるスキルが増えていた。

 今は必要かわからないから取らないけど。

 そして今『耐暑』が取得可能になっていた。1ポイントなのですぐに取った。


「このくず鉄のなら勝手に使って良いぞ」

「そうか。なら少しだけしてから出て行く」


 若干熱気が和らいだ気がするがまだ暑い。そんな中で二本ほど短剣を作成した。意外と肉厚がある短剣ができた。


[取得可能スキルが追加されました]

[今回の行動で【耐暑】のレベルが上昇]

[今回の行動で【鍛冶】のレベルが上昇]



 [重厚な短剣]

 STR+10 耐久60 重量3

・低品質な鉄で作成された短剣。低品質なため分厚く作られ丈夫になっている。その分重い。


 その短剣を三本作って一本をアイテムポーチに、二本を腰に挿す。もともと持ってた短剣は鋳潰して柄はそのまま新しいのに使った。

 前の短剣と違い若干ずっしりとくるが走るやジャンプには支障が出ない感じがする。さて、早速テストに戦いに行くか。俺的には馬でも探してみるかな? 草原にでもいると思うが、掲示板には……西か。



 はい! 草原に到着! 若干スピードが落ちた気がするが誤差範囲の内だな。

 途中出てきたドギィと一戦交えたが、HPを二割飛ばしてとどめの時には短剣で真っ二つになった。プラスされるSTRが増えるとエフェクトも変わるもんだな。もちろんドロップはなかったが。

 

「おお、おお。掲示板にあったとおりの草原ばっかりの場所だな。なんか毒薬草とか生えてるが大丈夫なんかな?」


 とりあえず採取しておいてポーチに入れておく。何かの役に立つかもしれないし。

 ここのフィールドはクロウみたいに縄張りに入ると強制エンカウントするわけでもないから人が多いみたいだ。走り回るとプレイヤーがちらほら見えるが、どの人も副職持ちで寄生や育ててもらってる人は居ない。

 そうしていると早速馬のモンスターと遭遇した。


[カバリオ]

 種:獣 エネミー Lv2

 ランク1


 やっぱり初見Lv1は無いらしい。右手に短剣、左手には重りの石を付けた縄を握る。

 ノーダメで勝つために走りながら作った。暴れ馬らしいのでそれならカウボーイだよなってことで、投げ縄作りたかったが走りながらだとバランスが難しかったのでそこらの拾った石で作った。所謂鎖付き分銅の原始的バージョンだ。


 こちらに向かってくる馬に縄を投げつける。理想は足か首に巻き付くだが、初撃は右目の下にぶつかった。

 当たったことか、痛みかで怒ったのかさらに速度を速めてきた。


「おいおい、そんな短気だと買い手がつかねぇよ?」


 縄を振り回してこちらに来る間にダメージを与えるが、結果は一割減ったくらいだ。

 接触と言うところを躱して、ターンして俺に向かおうと減速したところをシリウスが襲いかかった。すかさず縄を投げつけると今度は上手く首に巻きついた。


「そおら、よいせっ!」


 無理やり首の向きが変えられ、暴れ出したが首が締まり出していて少しずつHPが減っていく。このまま暴れていてくれれば時間がかかるが倒せるだろうと目論むが、体がこっちに向いた瞬間に走り出してきた。

 まあ、縄の先に近づけば弛むのが通りってワケで、簡単には倒させてくれないな。



[今回の戦闘により種族レベルの上昇。スキルポイントを1獲得しました。現在3ポイントです。

 能力値を1つ上げてください]


[name:コクーン]

種族 人間 女 Lv8(↑1)

職業:アーチャー Lv5

副職業:テイマー Lv4


STR:20(↑1)

VIT:20

INT:10

SPD:25

RES:13

TEC:28



[取得可能スキルが追加されました]


[今回の行動で【短剣】のレベルが上昇]

[今回の行動で【ダッシュ】のレベルが上昇]

[今回の行動で【アクロバティック】のレベルが上昇]


[今回の戦闘によりシリウスのレベルが上昇。

 能力値を2つ上げてください]



 足に縄を巻き付かせて倒したところをボッコボコにしてHPを飛ばした。ドロップアイテムは馬肉だった。後はどういったアイテムが落ちるのだろうか?


「ほかのモンスターも確認して手札増やしたいな。他に何がいるかな〜」


 昼を回ったのでもそもそと携帯食料を食べて、空腹度を回復させると奥の方に走る。

 さて、何に出会うのでしょうか。

 走りながらシリウスのステータスを上げて置こう。


[name:シリウス]

 種:クロウ Lv3(↑1)

STR:5

VIT:6(↑1)

INT:6

SPD:7(↑1)

RES:2

TEC:5


[name:コクーン]

種族 人間 女 Lv8(↑1)

職業:アーチャー Lv5

副職業:テイマー Lv4


STR:20(↑1)

VIT:20

INT:10

SPD:25

RES:13

TEC:28



[スキル]

 弓Lv5 短剣Lv7(↑1)

 鷹の目Lv6(↑1) 梟の目Lv4

 アクロバティックLv5 ダッシュLv8(↑1)

 手品Lv4 識別Lv6

 工作Lv5 鍛金Lv4(↑3) 錬金Lv1 鍛冶LV2(新規:↑1)

 耐毒Lv1 耐暑LV2(新規:↑1)



[name:シリウス]

 種:クロウ Lv3(↑1)

STR:5

VIT:6(↑1)

INT:6

SPD:7(↑1)

RES:2

TEC:5


[スキル]

 飛翔 体当たり 捕獲 漁る 収集



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