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こちらをひ~~~~~~さしぶりに更新
いきなりのご挨拶に辟易しながら周囲を見渡し、看板か旗が掛かっていそうな鉄棒を発見する。
「いきなり逃げようとするだなんて相変わらず失礼な奴ね」
「お前が絡んでくるから逃げるんだよ。基本的にはいいお兄さんなんだぞ俺」
ガントレットを弄り横棒に向けて手首を反すとワイヤーが射出され、鉄棒を飛び越えて落ちてくる。それを引っ張って確認すると戦車に引っ掛けて起き上がらせる。
「それにあんたいつぞやの感じが悪い――「ストーップ。個人でリアルバレするのはいいけど他の目もある場所で言わないでくれるか?」
まったく、これだからネットリテラシーがなってない奴は嫌なんだよ。戦車から投げ出されたグレーテに回復を掛け、場所が悪かったのか馬肉になってしまった引き馬の代わりを呼び出す。何故か従魔帰還、従魔回復、従魔強化と従魔系スキルの中でなぜか有料だった従魔召喚を使用すると馬肉になった引き馬と同じ毛色のが現れる。基本的に適当に召喚したら大半この色になる。時たま多色が生まれるが本当に稀だ。
「で、俺達に何のようだよ。こっちは相方の銃渇望症で七転八倒中なのだが?」
「それを言うなら東奔西走でしょ。この私が……じゃなかった、メグメグがお話しようって思ってるのにそっぽ向くからだよ?」
「なんだこの女。燃やすか」
「昔仕事でだな。燃やして良いぞ」
「許可しないでよ!」
アイドル関連の仕事なんざざらにあるが、そのどれかの内のどれかで一回だけこのメグメグの中身と対面した程度。それ以降姿形すら見ていない。
「全く、俺に何の要件だよ。パート2。お前とフレンド登録する気ないし先を急いでいるんだけど」
「……私の方はあんたをぶん殴りたいけど、用があるのは私じゃないの」
訝しげにその忌々しい表情をするメグメグを見るが、本当に別人での用だったらしい。視線を集まっている人たちの方へ向けるが、目的の人物を発見することができなかったのかその中へ探しに行った。
「ほほう、大きくなり過ぎず、かつカートリッジのように切り替えるようにすることで多種多様な手が使えると言うことだね」
「うぉわっ、誰だお前」
いつの間にか俺の手甲を触って仕掛けの中身を見ていたことに驚き、跳ね上げた手の甲が顎に当たったことで転がっていった男性アバター。しかし何事もなく巻き戻るかのように転がってこちらと対面した。
「不躾ですまないね。君が以前僕が作った槍型マイクに興味を持った人だって聞いて一度会ってみたかったんだ。それで君のガントレットや弓の仕組みもすごいモノだね」
「そりゃどうもだな。てかあんたが槍にもマイクにもなる武器を作ったのか。器用なものだな」
「そりゃそうだとも。常日頃から彼女たちのわがままに付き合っていろいろな物を作ってきた土台があるからね。プロダクション内で知らぬ人はいない無茶振られの小道具係とは僕のことさ」
「そりゃお疲れさんだな」
「いや普通に業務内で作ってるから仕事の内だよ。あ、そうだ。共同で何か作りたい時用にフレ登録しておこうか。……そういえば挨拶をしていなかったね。僕のプレイヤーネームは大道具だ。ヨロシクね」
「小道具じゃないのかよ。ヨロシク」
小道具係の大道具とフレンド登録したあとにメグメグが戻ってくる前にその場を離れ、いくつか重火器のドロップを得て満足したティグアとギルドハウスに戻ってからログアウトした。




