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目標との会敵地点にて、集まった数十人のプレイヤーが各々得意な場所にて遭遇を待っている。敵を待つ間に戦闘地点を整えたためこざっぱりとした広場になっている場所に盾持ちのプレイヤーが中央に陣取り今か今かと待っている。
「ところでお前が言っていた奴って肉塊と言っていたな」
「言ったよ、言った」
「大きさは3mほどだったか?」
「大きさはだいたいで言ったから正確にはわからんよ」
「そうか……。ならあの大きさでも間違い」
『ないわけないよな~!!』
俺が見たときより二回り以上大きくなっている肉塊に対し、聞いていないと言う視線を向けてくる大次林に渋い顔を向けて答える。その返しに納得してくれたのか待機しているプレイヤーに修正した作戦の指令を飛ばす。
『作戦はそのままであとはその場で考えて』
おぉぉおい、検証レギオンリーダー!?
よく言えば臨機応変、悪く言えば行き当たりばったりと言う投げっぱなしと変わらない指令を投げてきたが情報が足りないならそうなるだろうさ。
ゆっくりだが迫ってきている肉塊に盾を押し当て進行を阻む盾持ち。だが、やっぱり粘菌かキャタピラのように動いているのかそのまま乗り越えようとしている。だが盾持ちもそのままやられるはずもなく。
『リフレクトシールド!』
タイミングを合わせ、攻撃の衝撃を跳ね返す技能を全員で放ち肉塊をひっくり返す。
「今だ! 投げろっ!」
大次林の号令で四方八方から隠れていたプレイヤーから次々とベラ特製の粘着燃料玉が投げつけられ、松明や火属性の魔法が飛びかかり燃料に着火し肉塊を丸焼け状態にする。
煌々と燃え上がる火の中でぐねぐね動き回る肉塊を観察し始める面々。そしてウェルダンまで焼けたかと思った次にはガバッと肉塊が裏返り生肉の部分を露出させると今だ燃えている部分を包み込み、前にみた通り燃料ごとウェルダン部分を吐き出した。しかも今回は盾持ちプレイヤーに向けてと言うおまけ付き。
「盾持ち待避! ここから聞いた通りなら戦闘に入るぞ!」
吐き出された炎を避けたプレイヤー達は直ぐ様武器を持ち替え応戦の準備を始める。ここからさらに隠れていたプレイヤーも参戦し、迎撃態勢をとる。
「来た! 聞いた通り触手での攻撃だ。だが数が多いぞ!」
プレイヤーたちに向けられた触手の数が多いが概ね俺が攻撃された通りの攻撃だ。それを盾で防いだり避けてカウンターを入れたりしているが、やっぱりHPゲージが減らない。どう言った攻撃が通るのかわからないから敵に対しての情報が足りないのか? しかしこれ以上放置するとファームが危険に晒される。
「やはりか。プランBに移行!」
『了解!』
プランBを聞いていないので、俺がいないときに相談したのか、それ以前から決まっていたやつなのかわからないが、まだ見に徹しておくことにする。




