ホーンテッド・オブ・ザ・ファイヤー
投稿日を念頭に置いてください
投稿日を念頭に置いてください
私は妻に逃げられ○○県××市の山間にあるホテルにこの傷付いた心を癒しに相棒のコンスケと来ていた。このホテルは廃れていたのを買い取り改修してから料理や風呂がすごいらしい。周辺の人々は前は曰く付きだとか言っていたが法螺話だったようだ。
「あら探偵さん。お久しぶりね」
『なんだ、お前も来ていたのか情報屋。暇なのか?』⬅
『おっと、こんなもっこりちゃんに声をかけられるなんて光栄だね』
『あいにく俺のベッドは今は閉店中だぜ』
後ろから声を掛けてきたのは赤茶色の髪をした情報屋の女性。いつもこの女性から情報を貰っていたからかなりの顔馴染みだ。名前は知らないが。
宿泊用の荷物と一緒に間違えて配送してしまった火炎放射器を担ぎ上げ口を開いた。
『こんなところにも情報収集か?』⬅
『俺の後を着いてくるなんて俺は愛されたものだな』
『どうだい? 俺と一晩中情報交換しないか?』
「そんなところ。……だったのだけど、時間が悪かったわね」
フロントの前で喧嘩している二人の男性客を見ながら肩をすくめる。彼女の様子を見るに、ただの喧嘩では無さそうだ。
「彼らは商売敵で何かあれば顔を会わせるたびに喧嘩ばかり。よくネタが尽きないものね。それじゃあまたね探偵さん」
呆れた様子で彼らを見るのを止めるとエレベータの方へ歩いていった。
まったく、これじゃあ休めもしないじゃないか。さっきまで何処にいたかわからないコンスケが肩へ登ってきたので撫でながら受付へと進んだ。
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今まで起こった殺人事件の犯人を追い詰めたは良いが、このホテルで起こった過去の怪奇事件の正体に犯人を持っていかれてしまった。そう怪奇事件の正体、このホテルで、いやホテルに偽装されたかつて図書館と呼ばれていた場所で行われていた残虐な行為の犠牲者によって。
それを眼にした客たちは各々恐怖によって腰が抜けたり、逃走を図っていた。俺はこの光景を知っている。いや体験している。ここに来てから何度も見せられたあの悪夢で!
ならばとあの夢の通りにこんなときのためと言わんばかりに毎回持ってきてしまう火炎放射器を担ぎ――――――
「と言うか、全滅と全救助したから今回は一人で火炎放射器なしで逃げ出してみよう」
担いだ火炎放射器を下ろし最短ルートで脱出ルートから出た。
::::::
「ふう、疲れた」
「ワーオッ、どうだった。今回のHOFは! 今流行りのあれ、何て言ってたっけ? あのゲームのシステムを使っていてね。まあそれでもあれみたく人間的なNPCが出来なくてね――ったどうしたんだい?」
「すまん、選択肢が出るのを待ってたが、現実だったな」
とあるゲーム会社のデバッグ作業兼テスターとして半日ほど指示された項目とそれ以外で色々としていたため呆けていた。目の前の人物は高校生からの友人でその時からゲームを作ってたやつだが、いまや社長にまでなるとは先はわからないものだね。
ちなみにHOF――ホーンテッド・オブ・ファイヤーは八作目に当たるが、一作目がガバガバ判定で犯行が行われる部屋の隣で十五秒間壁に体当たりをかましているとすり抜けて犯行の瞬間が見えてしまったり、被害者が死んでるのにドアから入ってきたりしていた。
酷いときは死んだ被害者が起き上がって解説を始める。え、それは瑪瑙の夢の回? だから仕様?
ちなみにこの社長の自腹である。
「やあやあやあやあ、終わったかい? 社長さん」
「おお、元前さん。ありがとうだね。君の発想で私のゲームがより良くなったよ」
「それは良かったね。僕もいい気分転換になったし、ゲームの発展に関われたから楽しかったよ」
「えっと、誰ですか?」
多分俺と同い年、いや見た目はそれ以下くらいの中性的な人物がテスター用の寝台から飛び降りてきた。
「僕の勤め先は社内秘密だけど、仕事は彼と同じプログラマーさ。ん? 彼は社長だから同じプログラマーじゃないのか」
「ンブッフッ、いや彼はちょっとしたことで最近知り合った友人でね。新しいシステムを見てもらってたんだ。優秀な人でね」
「へぇ~、俺以外に友人居たんだ」
「居るよ! 社長だからいろいろなコネクションがあるんだよ!」
(ところで珍陳あんのこのひと)
(珍陳あるよ)
ヂェスチャ~でシャッチョにその人物の性別を聞いたところ男性のようだ。
「ふ~ん、君がアレなんだ」
「なんだよこんなオッサンのつら見て面白いか?」
「顔みてても面白くないけど、中身が面白いかな」
メカメカした手帳になにやら書き込んでいたけど、サンとかナナとか見えたがそれ以上は分からなかった。
「ところで報酬」
「ん、ああ、ほらラピットコーラ」
「他は?」
「郵送で送っている。明後日くらいにはつくだろう。あと金銭のほうも口座に入れておくよ。これから肉体的にも精神的にも大変な事が待ってるだろ? まあ少しくらい休んで行くといいよ」
「ん~、そうするわ」
そのまま寝台に寝転がる。
「で今回の出来はどうだった?」
100ml缶のコーラを開けてグッと飲み干した後に言う。
「いつも通りクソゲー」
『ホーンテッド・オブ・ファイヤー』
金持ちなイケメンに嫁を取られて傷心旅行の為とある場所のホテルにやって来た主人公。そして例年に見られないほどの大雪によって孤立無援になってしまう。そこで巻き起こる怪事件! 密室殺人から始まる死体消失。いったいなにがこのホテルに起こっているのか。
探偵業を営む主人公は相棒のなんだかわからない狐、コンスケを引き連れ事件の手がかりを探し出す。37階建て、屋上あり、地下4階表記の地下3階までしかない謎を解き、このクローズドサークルから逃げ出せるのかは君次第だ!
主人公:『名取 比禽』
探偵業に精を出していたらいつの間にか浮気をされて離婚届が受理されていたのを電話口から言われ傷心から雪国旅行へと向かう。
探偵と言うには強靭な肉体を持ち、誠実な態度を取るが暴漢に間違われることもしばしば。
おっちょこちょいの所もあり、いつも持っている探偵七つ道具を所持している以外は旅行鞄のかわりにいつも火炎放射器を旅行先に届けてしまう。
1は嫁を取られて傷心旅行で温泉旅館、2は恋人を取られて傷心旅行でハワイ旅行、3は結婚一歩手前で取られてドイツ旅行をしている。
それ以外の副題のみはそれぞれからの分岐世界となっている。
なんだかわからない狐:コンスケ(雌)
探偵業を始めてからか、高校生からかいつの間にかそばにいる赤狐。何処にでも着いていき、主人公にとてもなついている。好物は茶葉。
とあることで入手する茶葉を渡すとヒントをくれる。そしてとあるイベントをノーミスノーコン(クソゲーレベル)でクリアすると貰えるゴールデンナイス茶葉を与えると何処からかストーリープロットを持ってくるのでレベルが一気に下がると言うか無くなる(クソゲークリア報酬)。
主人公のいく先々で出会う女性:情報屋
赤茶色の髪をした美人の女性。小さなご近所事情から政界の裏スキャンダルまで把握している不思議な人。意味深なことを言ったり大事なことをはぐらかしたり、次の一手のための物品を盗――取ってきたりする。日常では会ったことがない。
主人公のストーリーの切っ掛け:なんらかの女性
毎回主人公からNTRされる女性。モテる主人公だが、何かしらの事情でいつの間にかイケメン器量よし金持ち社長に取られている。
裏で動いているひとがいるとかいないとか。
ラピットコーラ:フォレストーン株式会社
100mlの缶コーラ。
種類は他にもあり、500mlの缶コーラのタンクコーラの他、ダイヤのような煌めきのコーラや栄養満点だが漢方風味で苦味が強いものもある。
同社の二種類を混ぜ合わせるとなぜか違う味になる。キャッチコピーは『君だけの組み合わせを見つけ出せ』
※四月一日的なものなので本編に出るかは不明。




