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弓兵はモンスターを駆る?  作者: 狭凪
第二章

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12/6 追記

 暗がりに現れるのは夜盗や魔物か、はたまたそれ以外が出るのかわからないがここらで出る魔物はそこまで強くない。両手に持った短剣の片方を影に投げる。


「ギャアッ!」

「声的には夜盗か?」

「そうみたいですね。いつもなら狼とか動物MOBなんですけど」

「モブ……ああモンスターね。掲示板情報になんかないのか?」

「あるにはあるんですけど、MOBの種類や進行はマスクデータらしくて投稿禁止らしいんですよ」

「別フィールドクエストは出現モンスターがいろいろな条件からランダム要素が高いので禁止になってると言うのが予想として立てられているようです」


 普通のモンスターだと倒せば消えるが、敵NPCならどうなるかわからないからふんじばるか? プレイヤー側は倒されたら消えてリスポーンするがそれ準拠になるのかな?


「一人ですと夜警が十分にできなくて、このMOB襲撃イベントでやられているんですよ毎回。なのでこの先どうなるかはわからないです」

「まあそれは倒せばわかるか」

「そうですね。きちんとしたPVNPは初めてですからやってみないとわかりませんから思う存分した方がいいですね」

「思考を読むのをやめろし」

「では前と同じように私がバフ役をしますのであとは勝手にしてください」

「了解」


 野宿の中心にある焚き火の明かりが照らす範囲を確認する。ゆらゆらと揺れる炎の光で照らす位置が若干変わるがその範囲、それと照り返しの範囲に魔物は近寄って来てはいない。

 その間にさっき投げた短剣を戻そうとするが、一向に手のなかに出てこない。投擲のみだからスキル範囲外に出たとは思えないので、今度は先を結んだ縄を同じ方向に投げると当たる感触と共に同じ叫び声が聞こえたので引き戻すと結び目が消えていた。


「……はぁ。おい、マジかよ。暗闇に入っていったとこが喰われたぞ」

「こんなときに冗談言っている場合ですか?」

「いやホントだって。見てみろよ」


 見せるように結んだ縄を同じように投げると同じように叫び、切れた縄が戻ってくる。


「な?」

「……マジですか。噂で聞いたものと全然違うパターンじゃないですか」

「どうするんだ? 敵は見えない、武器は失うとなるとおいそれと攻撃できないぞ」

「ん~、まあ要観察と言うことで。緊急性も今は無さそうだし」


 ゆらゆら揺れる明かりの範囲外に出ないように暗闇のさきにいるモンスターの観察をそれぞれ始めた。

 暗闇内、武器が消える。この二つから正規生物のカテゴリから外れる。溶ける訳でも千切れるわけでもなく消えるってのは良く漫画とかで次元や空間の狭間やダイレクト捕食的な感じで見たことがあるけど……、幽霊の正体見たり枯れ尾花って訳には直ぐにはならな……?

 なんか嫌な違和感を覚えたので軸を境界手前に投げて刺すとじっと目を凝らす。するとゆっくりだが軸の上を暗闇が登っていく。

 …………。


「アハ体験! 昔なつかしのアハ体験だ」

「いきなり叫んでなんですか?」

「見て見ろよあれ、ゆっくりだがこっちに闇が近づいてきてるぞ」

「そんなわけ……本当ですね」

「と言うことはどうなるんだ?」

「いずれ闇に覆われてガメオベラ?」


 あの速度だと夜明けが来る前に闇に覆われそうだからこれの対処どうしよう?

 ジリジリと迫り来る暗闇の対応に周囲に焚き火を作ることで若干送らせることが出来たが、それでも近づいてきている暗闇に焚き火が呑まれると一気に迫ってくる。本体を叩かないと終わらないだろうな。


「俺は弓と短剣で戦ってるし、テイムモンスターの方も近接なうえに今いないからな。二人は範囲攻撃持ってるか?」

「魔法職ではないので持っていないです」

「武士なのでからっきしです。コクーンさんは爆弾を持っていましたよね? それでドカンと」

「爆発オチなんてサイテーってなるけどいいのか?」


 今持っている爆弾はちょっとその辺が荒野になりそうなくらい爆薬と炸裂弾をこれでもかと深夜テンションで作ってしまったやつなので使いたくない。使えない。

 なので全員から却下になった。


「光属性魔法があればよかったんだけど、無属性のショットだけじゃわからないしなぁ」

「あたりが照らせればいいのですが」

「松明投げても同じ結果しか得られないからな無意味だし……。そうだ、あの寝こけ女、魔法を使えないのか?」

「そうでした。一応似たようなスキ――」



「熱い! いった!? 眩しい! 煙い! あと、うるさぁぁぁぁぁい」



『ギャ『ギャアッ』アッ『ギャアッ』『ャアッ『ギャアッ』』ギャアッ『ギャ『ギャアッ』アッ『ギャ『ギャアッ』ャ『ギャアッ』』』


 巨大なアンプから出たウーハーのような声が周囲に轟き幌や焚き火の火、俺らを薙ぐように衝撃が駆け巡った。そのお陰か、なんかで周囲の闇が数メートル下がった。

 ついでに『難聴』の状態異常で俺らの聴覚も著しく下がった。


「ちょっとこれなによ! アイドルは肌ケアのために夜更かし厳禁なのよ! なのに焚き火を沢山作って! 肌が乾燥するじゃないのよ! 信じらんなぁぁーいっ! って言うかこの鉄の塊アンタのでしょ!」


 さらに大きな音が発せられて吹き飛びかける。魔法にしてもスキルにしてもこんな爆風は知らない。いったいなんなんだこれは?


「――――ッ――――――ッッ!」


 なんかラファローが叫んでいるが何を言っているのか全然聞こえない。耳を押さえている手でバッテンを作って耳を指す。分からないのかまだ叫んでいるのでもう一度順番を逆にしてジェスチャーをすると通じたのかチャットで伝えてきた。


『耳を塞いで口を開けて耐えろ』


 ………………それ、爆発とかの衝撃波による破裂を防ぐやり方だろおい。

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