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みぢかかった前49話と統合しますた
吐き出されるはずの炎が吐き出されず、息を吹いて固まっているドラゴンに吹き出すのをこらえて下にいるからこそのアングルでスクショを二、三枚ぱしゃり。
「おっと、んじゃよっ……こいせっ!!」
槍の柄を回すとガコッと音が鳴りそのまま引き抜いて一気に走り出す。外れた槍の先はドラゴンの肉に埋まったまま、柄が刺さっていた場所からぶしゅっと音が鳴り一瞬遅れて大爆発を起こした。
「ひゅー、扱いは難しいが威力は抜群。爆破させる機構もうまく作動したしコレなら量産……しても売れんね」
ドスンと砂煙を巻き上げながら地に伏したドラゴンを確認してから二人の方を振り返り両手でサムズアップを向ける。
「いやはや、まさかデスペナを受けそうな奴から必死に逃げていたら起死回生の一手があるとは、これまさに日頃の行いと言うやつだね」
「全く、何をしたらあんなものを連れてくるのやら。でもなかなかにいいドロップが入ったからそれでチャラにして上げる」
「そーだよ、お前は何者で何であんなの連れてた。そしてあの火球を消したのはいったい何の魔法なんだ?」
「これは申し訳ない。私の名前はP、親愛を込めてプロフェッサーと称してくれたまえ。フレ申請しておこうか。さっきのドラゴンだが……っと、キミ危ない!」
「んあ?」
ペラペラと喋り出したかと思ったら急に声を上げた。目線の先にはドラゴンから二人へちんたら歩いて近寄る俺一人。え、まさかそんなベタなわけないよ。
いくらなんでも倒したと思ったドラゴンは生きてて俺に攻撃してくるってことはねえ。
「そんなことを思っていた時期も私にもありました」
完全にバーを砕いたと思ったドラゴンの口から強烈な火球が俺の振り返った視界の中に飛び込んできた。これはまさに絶対絶命、美人薄命、危機一髪のコンガリローストかな?
体勢は軽く後ろを振り替える上体の状態で気を抜いていた俺はスキルの発動が一瞬遅れた。そのための今から発動しても火球の直径範囲から外れるのはほんの指先三寸。完璧にデスペナコース! と思ったら横からの衝撃で体が横に跳んだ。そして足先が地面に付いた瞬間に反射でスキルを発動。火球の範囲から外れたその時見えたのはキタルファが火球の中にいる光景だった。
「ヘェェェェェェイ! あぁぁんありだぁぁぁ!?」
せっかく鍛えていた俺のモンスターがロスるとなると酷い損失になるではないか。いや、俺の方が燃えカスになってもかなりの損失になるし。て言うかさっきのドラゴン完全に死に体じゃなかったのか?
うん、HPバーは砕けてる。なんだよおい、なんのシステムだよ。正規の手順とかあったのかよ。さっきのはペナか?
「お、おい大丈夫か?」
「大丈夫じゃない、問題だ。俺は今すぐダッシュでファームに戻るから。そゆことでアデュー!」
なにやら後ろで声を掛けられているようだが、俺には今関係無いことだ。ロスしたキタルファの亡骸の肉と頭骨を拾いファームに一直線で走っていく。
ファームに丁重に埋葬してからあの変態1号に話を聞くためにかまけているじかんは無いのだ!
「うぅぅぅぅぅぅぅぅううう! ぁぁあぁあぁあ、最後のガラスはぶち破るぅぅぅぅ‼」
変態二号の姿を事務所の窓から確認できたのでショートカットしてお邪魔させて貰う。緊急事態なので疾くに!
「うぉあっ!? なんだぁっ?」
「ダイナミックお邪魔させてもろたで師匠!」
「こ、コクーンか。……ドアから入れドアから」
「緊急事態につき、ドラゴンの影出て博士連がれてきて、炎のブレスがぼわっと、爆破させて、最終的にキタルファが骨肉に!」
「……と、とりあえず意味わからんから簡潔に」
「ドラゴンファイヤーで上手に焼けました」
「うむ、わからん!」
斯く斯く然々、キタルファ焼けましたと説明してドロップ肉と骨を出した。
変態1号はドロップ品をまじまじと見るとこちらに目を向けてきた。
「ふ~ん、モンスターが死んだのか」
「せやから復活の方法とかないんか?」
「そのしゃべり方やめろ。まああるにはあるっちゃあるがな」
もったいぶるようなしゃべり方にイライラするが大人しく聞いておく。
それで、テイムモンスターを復活させる方法をいくつか聞いて、その内のひとつを試すために、ショートカットの道を通ってファームへ急いで戻る。
後日、割った二枚の窓ガラスを修理すると共に謝罪と迷惑料として幾つかの道具の修理を行った。




