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こんな長いの(書いたの)初めて……

 ログイン三日目、今日で無料宿泊の権利がなくなる日だ。始まりの町と言えど一泊40ヴィル、三食付かずの宿が、一番安い。お金を払えば朝食などが付くが120〜150ヴィルと高くなる。食料は携帯食料で賄ったほうが安いのだ。


「さて、今日は職業レベルを5にするデスマーチしますか」


 今日は仕事を全て片してきたのでオールできる。

 昨日使い無くした矢を買い足しておき、30本買ってそのうちの10本を矢筒に入れる。


 ちなみにこのゲームの生産職は全て副職になっており、主職は戦闘職のみである。運営側の言い分は、生産職でも素材は自分で狩れるようにとのこと。

 副職にはもちろん戦闘職もできる。同じ職業を取って強化するもよし、違う戦闘職を取って手数を増やすもよし、生産職を極めるもよしと言うことだ。

 テイマー、サモナー、精霊使いエスプリア魔術師マジシャン、ヒーラー、修道士モンクなどは副職にあたる。

 閑話休題だがモンクの場合は低い確率で主職に現れるらしい。ランダムで職業に就くを押すことでしか出ない。しかも一回逃すと二度と出ないとのこと。

 ほかにも道化師ピエロ祓魔士エクソシスト処刑人ディミオスなどの対××特化などの職もある。

 そしてもちろんプレイヤーキラー(PK)した連中用の主職もあるが、これは意図的にPKをするとレベル、スキルリセットで強制的に選択させられる。その職業は盗賊バンデッド贋作士フェイカー詐欺師エスクロを公式が発表したもので、これは一部でありほかにも一般プレイヤーと同じくらいあるらしい。ちなみにこれらは悪職と呼ばれて、前のジョブの時に行動したことでなれる悪職が増えるとのこと。そして悪職は全てディミオスが天敵になる。


 そして職業には全て上位職があり、それは開示されていない。


 と、ながながと説明していたが、俺が目指すのはテイマーだ。

 βテスターが書き込んでる職業板だと、

『テイムしても気をつけないと低レベルの内に倒されて消滅ロスト

『テイムの確率を上げにくい』

『フィールドモンスターより雑魚いwww』

『ロストったら肉産んだwwwwww完璧畜産wwwwww』

『テイマー職まじマゾ職吹いたwww』

『テイムモンスターより自分が戦った方が早すぐるwwwwww』

『テイマー選んだ奴バカスwwwwww』

 こういった書き込み具合だ。βテスターのテイマー数人の検証の結果詳しいことがわからずお手上げ状態。テイムできない、出来ても死に安い等の理由で現在皆無のようだ。


 だがそこがいい! 無理ゲー? 人が造っているんだから何かしらの通り道はある。マゾゲー? だからなんだ。だからこそやりがいがある!



 さて、狩場に着いたぞ。ダッシュで二時間半、だいぶ縮んだ。これだけ走ってもレベ上がらない。落ち着いたな。

 クロウちゃぁ〜ん、カモ〜ン。数がいるんだから経験値置いてきな!





[今回の戦闘により職業レベルの上昇。]



[name:コクーン]

種族 人間 女 Lv4

職業:アーチャー Lv4(↑1)

副職業:なし


STR:15(↑1)

VIT:18(↑1)

INT:9(↑1)

SPD:23(↑2)

RES:11(↑1)

TEC:25(↑2)



[今回の行動で【鷹の目】のレベルが上昇]

[今回の行動で【短剣】のレベルが上昇]

[今回の行動で【識別】のレベルが上昇]

[今回の行動で【アクロバティック】のレベルが上昇]

[取得可能スキルが追加されました]



 職業のレベルが上がったが、クロウを四団体相手にしてからだ。一応識別しながら相手してたから識別のレベルが上がった。

 全部で30もいなかったがそこらだろう。HPの回復が追いつかず今一割二割くらいしかない。安全な所で休憩したいところだが、クロウが来てた方向から飛んでくる奴がいたのでそうも言ってられない。


「一匹くらいなら……、はぁっ!?」


 弓を構えて飛来してくる物に鷹の目で捉えると、視界の中で識別が発動した。こっちに来ていたモンスターは、



[ショットクロウ]

 種:獣 エネミー Lv6 クラス2



 ショットクロウ? しかもLv6! クラス2ってなんだ!?

 だけど向かってくるから撃ち落とさねえと。

 弱い弓しか持ってないが、引き絞った弦から手を離し矢を射った。風に煽られながらも真っ直ぐ飛んだ矢はショットクロウに近付いていく。

 だが当たる前に何かに矢が弾かれた。


「チィッ!」


 今は無意味と弓を腰に戻し、短剣を逆手で構えると鷹の目を使わずとも見える距離まで来ていた。真っ直ぐ飛来しているショットクロウの軌道から外れるため少し横にずれると、ショットクロウの方も軌道修正してきやがった。


「だいたいあの距離でこの秒数だと……」


 心の中で一定のリズムをとる。

 ……、……、……。…………今!

 短剣が届く距離に入ってきたショットクロウの軌道から紙一重でズレる。一緒の瞬間に短剣を当てようとしたら、当たる場所が違ってアッパー見たく打ち上げた。


「あれで一割……。この距離だと三分の一に減るかな」


 こっちは若干掠って一割五分のHPでどう戦うかだが……。五分のHPでショットクロウのHPを三割削るのが勝つための最低ラインだな。

 ショットクロウは頭上を旋回してこっちの様子を窺っている。

 来いよ! 我慢比べと行こうぜ!






「ぶはぁー……!」


 なんとか勝てたぁぁ……。

 俺のHPゲージは九厘ってとこ。まじギリギリだった。前のドギィみたいに矢を突き刺したら地面に墜落しなかったら負けてた。

 街で一本だけ買ったポーションを飲み干すと一割七分まで回復したので一安心。インフォが来ているが後回しだ。


 ショットクロウに解体を行うとドロップしたアイテムを拾った。それに識別を行うとこうでた。


[撃烏の手羽先]

・ショットクロウから取れる真っ黒な手羽先。レア素材。

 食材の他にも使い道があるかも……。



「烏骨鶏かよ!」


 普通ピンクと言うか肉々しい色だろ肉は。しかも大きさがリアルの手羽先の1.5倍(俺比べ)くらいある。

 識別のレベルが上がったお陰かヒントみたいな物が現れている。だけと食材以外ってなにに使うんだよ。


 烏連中から毟れた羽は普通の羽根五枚、風切り羽根三枚、濡れ羽根一枚。それと烏の手羽先が一個。羽根の説明文には矢羽に使えるかもと追加されていて、手羽先は普通の羽根とだいたい一緒でヒントは黒手羽先と一緒。


「はいはい、急かさない急かさない」


 インフォのウィンドウが点滅しだしたのでそっちに視線を移す。




[今回の戦闘により種族レベルの上昇。スキルポイントを1獲得しました。現在3ポイントです。

 能力値を1つ上げてください]


[name:コクーン]

種族 人間 女 Lv5(↑1)

職業:アーチャー Lv4

副職業:なし


STR:16(↑1)

VIT:18

INT:9

SPD:23

RES:11

TEC:25


[取得可能スキルが追加されました]



 筋力値の強化にした。耐久でも良かったけど今は筋力かな。


 さて、もう一戦……と言いたいが、一旦街に帰ってポーション買おう。まだ無くていいやと思ってたがヤバいわ。




 で、走って帰ってきたわけで、始まりの町であるチェントロに戻ってきた。てかチェントロって名前だったんだここ。


「そこのお姉〜さんっ! 俺このゲーム初心者なんだけど、色んなこと教えてくれませんか?」


 烏の羽根を売りに行こうとしてるときに、赤髪の垂れた犬耳獣人で男キャラのプレイヤーに話しかけられた。


「俺の名前は明けの星って書いて明星みょうせいと言うんだけど」

「俺はコクーン。ちなみに中身男だから。これ証拠な」


 フルダイブのハードを購入する際、店舗登録で本名と性別、住所をハードに登録する。もちろん証明できる物が必要となる。しかも脳波などの認証が必要であり、その登録した人以外に使用はできない。これはフルダイブ内でNG行為を働こうとするのを防ぐためだ。

 もし女と俺みたいにF型を使って偽ってセクハラ行為することを防ぐためだ。初期アバターの衣装は最低スキンなので、無理に剥がして仮想強姦ヴァーチャルレイプは防げるが、実際に感触を与えるために素股などの本番前まではできるため、性別を登録して警告が出るようにしている。


 話がそれたが、その性別が表示された登録画面(名前などは表示されない)のスクショを相手に見せる。


「わかったか? あと俺はログイン日数三日目の初心者だが?」

「あっはは、俺も逆アバだから。ほら証拠。って三日目!? そのレベルで!?」


 明星もリアルと違うアバを使っているみたいだ。


「レベルがどうした?」

「レベルが4以上って初日プレイヤーしかいないって聞いてるんだけど!」

「まさか。そこらで稼いでも行けるだろ」

「ドギィもピジョンも経験値が少なくて3レベが3日組で! やっと4レベで外辺付近で対少数できるって!」


 なにか興奮しているが、事前に情報収集していたんだろう。まあ実際にやってみないとわからないこともあるだろう。


「コクーンは4日組でしょ! どれだけ廃してるの!」

「合わせて1日半くらいかな? 仕事もあるし徹夜は今日しようと思ってるくらいだけど。狩りの効率が悪かったんだろ」

「2レベが2徹でようやく4レベなのに1日半とか何したの!」

「烏狩り。道のり往復半日だけど」


 驚かれた顔をされた。曰わく北の森の入り口、つまり三分の一辺りが掲示板で書かれていた通りの三時間だと。で、俺が狩場の場所が四分の三の位置に値する一番南の入り口らしい。

 さらに教えてくれたことは地球の東西南北ではなく、寒い地域は東、熱い地域は南と隣接しているってこと。これ公式らしい。知らんかった。


「はぁ、と言うか集団のクロウをダメージ蓄積させて倒しきるとか、どんなプレイヤースキルですか」

「人混みの通り抜けと弾幕ゲー、音ゲーで鍛えました」


 それから話しをすると烏狩りに付いてきたいと言い出した。経験値分配はちょっとイヤだけど、同じアーチャーとして少しは手伝って上げよう。


「避けるの大丈夫?」

「回避と瞬発とりましたから! これでもリアルでの運動神経はいいです!」

「じゃ、ギルド依頼受けてるよな? 初期装備のままだから、二刀流大丈夫?」

「無理です」


 片方ガード、片方アタックみたいな器用さはないらしい。ログアウトしてから考えついた方法が試せそうだな。


「んじゃ、後で払うからギルドの購買で縄を2ロール、ポーションを2つ買ってきて。たしか初期金以内になるはずだから」

「なにをするんですか?」

「工作だけど?」


 なるほどと言ったように走り出して言われた道具を買いに行った。俺はその間に体力回復のため休んでおく。






「おお……、凄いです」

「だろ?」


 足元には網に絡まった烏が騒いでいる。

 ギルドで購入させた縄は冒険の補助目的に売られていたが、それをちょちょいと改造して作ったのがこちら。


[荒綱]

・縄を組んで作られた手作りの網。鳥捕獲用に作られたため、網目は若干大きめ。


 見た目蠅たたきみたいな感じになった

 クロウのエリアに入った瞬間に襲ってくるが、それまでに少し時間があるから網を地面に固定して近くに来た瞬間に、網の端を結んだ矢を二人で放って網をクロウに被せるようにすればまさに一網打尽!



[今回の行動で【工作】のレベルが上昇]



「種族のレベルが上がりました! それと工作のレベルが上がりました!」

「OK、抱きつこうとするな。男に抱きつかれて喜ぶ趣味はない。抱きつくなら姿変えてから来い」

「え、でもそれじゃあPKしないと」

「課金アイテムがある」

「あ、あれ高いじゃないですか。姿変えるくらいで……」

「三千くらい俺が出す」

「う、う〜ん……」


 人に払わせるか否か天秤が揺れている。

 そして40秒くらい経ってから、



「お、お願いします……」

「俺のテンションの為だ。そのための金は必要経費だ」


 課金アイテムを購入すると明星に渡す。


「こ、これから都合が合えばいつでもお供します! 三千円以上働きます!」

「別にいいんだけど。俺のテンション問題だし」


 テンション下がると仕事のペース下がるし、そんなに気張らんでもいいんだけど……。


「そ、その前に一つ良いでしょうか!」

「あー、かまへんかまへん。さっさとして……」

「じゃあ、アバター変えたらおっぱい揉ませてください! お願いします!」


 いきなりの事で網に足引っかけて転んだ。

 ちょうど手が触れたクロウを解体許可しとく。


 きゅっと説明を纏めると、

 リアルでは隠れセクハラキャラ。

 隠れなので堂々と揉めない。

 しかも仲良しの子は小さい。

 ゲーム世界のモンスターで我慢しよう。

 そこに俺がいた。

 以上! この変態!


 しかし、まあ、あれだ。あれなのだ。許可言う前に使用してキャラメイクしたのだ。

 そしてボーイッシュの赤髪、垂れた犬耳獣人になった。リアルに近い姿格好にしたらしい。まあイケメン少女だ。


 そんな子の涙目懇願顔に折れてしまった。パッキリと。真っ二つに。折れた半分はどっかに吹っ飛んで修復不可に。



「はぁ〜、柔らかい。いいなぁ〜いいなぁ〜」

「自分のを巨乳にしたら良かったんじゃないか?」

「自分の巨ちん○触って楽しい?」

「いやそれある意味と言うか(意味深)(かっこいみしん)って付くやつじゃん。てかもういい? レベ上げたいんだけど」

「もうちょい」

「アパカッ」

「へぶっ」


 パーティ内でもフレンドリィファイアがあるのでダメージが入るが、じゃれつき程度なので一分削れるくらいだ。


「はうぅ〜……」

「三千円分は?」

「働きます!」

「お手」「はい!」「お座り」「はい!」「ステイ」「は……え?」


 キツく躾るのはいらないみたいだな。


「あの流れだとチンチンじゃないの?」

「よし、次お前一人な」

「ごめんなさい」






 ゲーム内時間日の入り直前に明星が加わってから4団体後、戦闘後にインフォが来ずに飛来する物が見える。

 鷹の目を使うと前と同じようにショットクロウが現れた。

 ただ今度は簡単だ。なにせ今回のショットクロウの獲物は明星だから・・・・・



「なあインフォが来ないんだが、どうかしたのか?」

「さあ? 別のモンスターがこっちを狙ってるんじゃね?」

「まっさかぁ」


 そのまさかなんだけど。明星には気づかれないように違う方向に向けて弓を引く練習をする。矢をつがえて。


「そんなに矢の命中度が気になるのか?」

「当たるに越したことはない。アーチャーの本領は弓だしな」

「サブは近接職取るつもりだからあんましなぁ。サブにアーチャーは無いようだから……」


 ビィィン! と弦が跳ねる音がする。もちろん俺が放った。ショットクロウと違う方向に・・・・・




「キャァァッ!?」

「よし、成功した」


 ショットクロウが明星の目の前を掠め地面に墜落した。翼には左から右へと木の矢が両方貫いている。

 何故かと言うと矢羽根に細工を入れた。ネットは広大で矢の曲げ方を調べると出てきた。軸を熱してゆっくり曲げるなんている情報とお門違いな物まで出てきたが。

 後はそれを真似て矢羽根を細工した。ただそれだけ。


「こ、ここコクーン! なんで教えなかった」

「なんでも働くんだろー。それにしても可愛い悲鳴だったな。HAHAFA」

 倒した後に明星に詰め寄られた。ほっぺたを引っ張られたがぜんぜん痛くない。ゲージも減ってないのでVITで勝ってるんだろ。



[今回の戦闘により職業レベルの上昇]



[name:コクーン]

種族 人間 女 Lv5

職業:アーチャー Lv5(↑1)

副職業:なし


STR:17(↑1)

VIT:19(↑1)

INT:10(↑1)

SPD:25(↑2)

RES:12(↑1)

TEC:27(↑2)



[取得可能スキルが追加されました]


[今回の行動で【弓】のレベルが上昇]

[今回の行動で【鷹の目】のレベルが上昇]

[今回の行動で【工作】のレベルが上昇]



 さーて、今回のショットクロウのドロップは〜?



[撃烏のモミジ]

・ショットクロウから取れる真っ黒なモミジ。レア素材。

 食材の他にも使い道があるかも……。


「いや真っ黒だとモミジ言わねえよ!」


 烏骨鶏か(二回目)! つか食材以外になんになるんだよ!


「はぁ〜、怖かったぁ〜」

「そしてお前はおっぱいを揉むな」

「……キュウ」



 ゲンコツ落とした所で明星のログアウト時間が来たからチェントロに戻った。



[今回の行動で【ダッシュ】のレベルが上昇]



 あっ、ダッシュ上がった。

[name:コクーン]

種族 人間 女 Lv5(↑1)

職業:アーチャー Lv5(↑2)

副職業:なし


STR:17(↑3)

VIT:19(↑2)

INT:10(↑2)

SPD:25(↑4)

RES:12(↑1)

TEC:27(↑4)



[スキル]

 弓Lv3(↑1) 短剣Lv4(↑1) ダッシュLv5(↑1) 工作Lv3(↑2) 識別Lv4(↑1) 鷹の目Lv4(↑2)

 アクロバティックLv4(↑1) 耐毒Lv1

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