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弓兵はモンスターを駆る?  作者: 狭凪
第二章

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うわー、もうすぐ正月だー……。正月突発イベント編でも書かきたいなー。二、三話くらいでなー。

 空中での移動はできず高速で迫る矢には重心移動程度では避けられない。そう避けられない。予測線そのままに矢が撃ち込まれ胸を貫くだろう。普通ならばな。


「じゃじゃーん、これなーんだ?」


 穿たれたはずの胸の前に黒い板が挟まれている。それが矢が貫くのを防いでいる。そして射られた勢いで後ろにさがりオベリスクの上に着地する。

 木々を纏めて貫く威力を持つ矢が脅威なら、通じないアイテムを使えばいいじゃない。そんなアイテムを俺は作れないし持ってないって? いやだなぁ、持ってるじゃないか。


「彫金練習用のこっくば〜ん」


 練習用でなにがあろうと破壊とロストしない設定のこの黒板。今までは紋様の練習に影で役立ってた黒板だが、もらった当初は盾代わりに使えないかと考えたこともあったけど、これ防御力ないからオレの耐久で耐えないといけないから使い勝手は悪い。

 さっき受けたときは黒板の裏にヘルスポーションを四、五本持っていて受けた瞬間に割れたことでHPを回復した。まあそれでも一割しか残らなかったから威力は計り知れない。

 とまあ防御についてのことは終わりにして、今度は攻撃面での話しをしよう。いきなり何言ってるとか思うだろうが、防御用に使った黒板には一つ手を加えてあるってことだ。簡単に言ってしまえば相手を罠に嵌める用意はすでに終ってたってこと。


「そして、この黒板にはなにが書いてあるんだろうか? よおく見てみようね」


 オベリスクの上に立ったままで両手で持った黒板をクルリと回してアタランテのほうに表を向ける。そこには毎日毎日せっせと様々な模様を書いては消し、描いては消しを繰り返して発見したものが描かれている。その模様の効果はひとえにいうと固定を発生させる。別々のものをあわせて引っ付けるだけのもので接着剤要らずの刻印だね。

 それにあるものを固定させて防御したときに打ち抜かせた。そのために激しい剣戟やオーバーな回避方法で上に跳んだ甲斐があった。まあ予測線があるからそれにそっと重ねるだけだったけど。そして引っ付かせたあるものというのはスイッチ。


「起動石〜。ちなみに知ってると思うけどこれ単品の近くにある爆破する物は全部起動するから気をつけてね」


 そう言って軽くジャンプすると地面一帯がいきなり爆発した。その爆発はオベリスク周辺だけではなくさらにその外周500m辺りまで一気に爆発してその中をすべて吹き飛ばした。木々とアタランテはもちろんのこと地面の表面を軽く吹き飛ばして湿った土をあらわにした。

 ところでこの爆発の原因は俺が戦っている最中やら逃げ回っていたときにぼろんぼろん落としたり仕込んだりしていたものである。戦いの最中はスキルで手の中から零していたり、爆発する矢に拡散するように仕込んでいたりといろいろ対応できるように様々に作っていたからまだまだ余裕の文字がデリりません。伊達に長時間工房に引き篭もってたわけじゃあねえんですよ。


「さあて、敵さんのHPはっと……、まだ三割五分残ってんじゃないか」


 あれだけの攻撃を受けてからだの一部に皹が走っているが、まだまだ健在のご様子でこちらをうかかがっていた。目には未だ敵対の光は消えておらずこちらの動きにいつでも対応可能の体制で居る。

 さっきのは一回こっきりの秘密兵器であれで腕の一本でも折れてればと思っていたが空は甘い考えだったようだ。まあ、それも一応はできない可能性を考えてプランΔに移行する。……プランΔって何かって? 今から考えるに決まってるじゃないか。


「とまあどうしようかな?」


 今の手持ちから戦闘勝利までの方法を捻り出さなければなら無いのだが、えっとこっちをこっちに持ってきてこっちをそっちにでっと。これでなんとか勝てるかな?

 ポーチからドスンと重量音をたてて地面に突き刺さった武器に目を向ける。


「経験値稼ぎに作ったはいいものの売値もそこそこになりだったから肥やしになってた戦槌。まさかこんなとこで使用するとか考えても無かったな」


 掴んでから短剣に入れ替える。槌のスキル持ってないしくそ重く作ったから今の俺じゃ持ち上がりもしないしな。

 それを見たアタランテは一足飛びに近づいてくる。


「まあそうなるよな」


 下から救い上げるように短剣を振り上げると硬い音が鳴りアタランテが吹き飛んだ。

 なにが起きたかというと、短剣を戦槌に変えただけ。短剣で作った運動エネルギーはそのまま戦槌で働きアタランテを殴って吹き飛ばしたと言うことだ。胴体の亀裂が割れて外側と変わらない内側が見て取れたがすぐに盛り上がってふさがった。だが皹が治ってないところを見るとこれはダメージの表れだろう。

 すぐにアタランテは体制を立て直してこちらに向かってくる。戦槌の威力から真正面から当たるのは下策だと思ったのか回り込んで向かってくるが、そういう場合は俺の土俵だ。

 一気にダッシュで加速してアクロバティックで限定的だが補足されないように出来るだけ立体に動く。武器はジャマダハルとパナバスで速さを求め、攻撃するときに戦槌で殴る。簡単なお仕事になるな。

 とまあそんな感じになれば、とまあいかないのが世の常なのだが。


「まったく、奥の手ってのを切らなきゃ勝てないみたいだな。まったく」


 ポーチから鉛色の小型の箱をいくつか取り出して半数を腰のベルトにつけてアタランテを見据える。

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