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レギオンハウス内のとある一室に日の出前、朝早くから鉄を叩く音を響かせている人が一人炉から漏れる火で煌々と照らされながら一心不乱に続けている。その姿はまるで、鍛えている鉄に自分の我を押し付け、そうあれと祈りを込めているようだった。
[今回の行動で【鍛金】のレベルが上昇]
「ふう、まずは製鉄完了っと」
鍛金のレベルが上がっているからか鉄を延べ棒にしていると大半の確立で上質化している。そしてそのうちに二つが[上質な鉄塊(梅)]になった。上質の上ランクなのだが、正直、超を付けたらかなり上のランクになるけどどうしようかと悩んだ末にやっつけで付けた感を感じる
しかし、コレで作るとちぐはぐになりそうだからもう少し増えてから使いたい。
「で、未鑑定の奴や採掘場所から取れた素材なんだが」
[ビヨン鋼]
・弾性が強い金属。発条などに使われ普通の鉄から作られたものより耐久が高くなる。
ランク2
[ポヨン鋼]
・弾性が強い金属。柔らかい特性を持っており鋼線などのような使い方が一般的である。
ランク2
[ガチン鋼]
・硬性が強い金属。耐久に長けるがその分加工がしづらい。鎧に加工する場合は衝撃が伝わるのでその対処をしなければならない。
ランク1
このような特殊金属のほかに硝石や鉛、錫なども採掘出来ているが俺的にどう使えばいいのかわからないものが多数ある。主に錫や銅、黄鉄鉱の使い道が工業人ではない俺にはわからない。
そして宝石類の鉱石系はだいたいディレンナと交換したから残っているのはこれくらい。
[集魔石]
・魔法を込めることが出来る魔石。放つか衝撃を加えると逆の方向から魔法が放たれる。
ランク4
[転魔石]
・魔力を込めると回転する魔石。回転する方向は一方だけで、込める量により速さが変わる。
一般的には遠心粉砕機に使用される。
ランク2
[水晶石][火晶石][風晶石][土晶石]
・各属性の魔力が年月を経て結晶化したもの。他の属性も混ざることがあり、濃度によってランクが変動する。
あとは爆石とか水石とか性質を持った石で今のところ加工する予定はない。爆石は隠し筒の起爆剤になるから沢山あっても困らない。
「さて、最初は弓の新調だな。いくら強い矢を作っても打ち出すのがなけりゃただの武器だからな」
目標は手で打つ弩砲だ。台車に乗っけたり城壁に付けて撃つ強力な弓の最終形態だと思っているが、固定砲台に興味はない。興味があるのは個人型破砕兵器。対艦射撃をして沈めるくらいに強力なやつが作れたら最高だ。
外部サイトで弓のパーツを調べてみるが思考加速の影響があるのか読み込みが遅いったらありゃせんがとりあえず使えるみたいだから使う。
「と言っても、俺木工は持ってないし、よしんば木で作ってもそれほど威力や耐久があるやつが出来るわけないしな。……たしか、アーチェリ-は鉄製の弓だったな。それをモチーフにして、……そうだ、ついでにあれこれを……」
完成の形が思い浮かんだから早速手持ちの金属を使って必要になる部品を作っていく。こまごまと作っているうちに途中で部品製作というスキルが現れたから必要だろうと取っておく。即決だ。耐久上げるためにガチン鋼、柔軟性のためにビヨン鋼、弦として使うためにポヨン鋼で作るとして後は……。
思いつく限りの試行錯誤の上、屑鉄を量産しながら惜しみなく材料を投入していく。道中でモンスターを狩りまくっているから特殊性を持つ金属の材料は潤沢にあるから残りを考えずにすむ。
[今回の行動で【鍛金】のレベルが上昇]
[今回の行動で【鍛冶】のレベルが上昇]
[今回の行動で【錬金】のレベルが上昇]
[今回の行動で【部品製作】のレベルが上昇]
[今回の行動で【工作】のレベルが上昇]
[今回の行動で【耐暑】のレベルが上昇]
かなり作ってたから部品製作が5まで上昇した。まあ試作と合わせてくっそ作っていたから当たり前っちゃあ当たり前だな。そろそろ識別も上がる気がするんだがなぁ?
「ふう。多分だがコレでいいはずだ。頭ン中での姿ではこれで稼動できるはずだ。ちゃんと完成ってなってるし、不完全とか失敗作とか付いてないから大丈夫なはず」
すでに昼前を示している時計を一瞥してから何度か試すと十分に稼動する様子を見せる。試射は後にするとして、映画とかでよく見る折りたたみ式の弓も作ってみるか。あと、属性晶石を使った武器も作って短剣と属性矢も必要になってきそうだし暇と言うか作業している今の内にだな。
そして出来上がったものがこちらです。
[火の鉄矢][水の鉄矢][風の鉄矢][土の鉄矢]
耐久70 重量4 【属性:小】 付与【風圧減少】
・属性晶石を鏃に属性の鱗をハネにして作られた。鉄で作られており頑丈で手直しすれば何度でも使用できる。
金属で作られているが、属性によって金属ペナルティが減少される。
ランク3
[ベアシャフト]
耐久50 重量2 付与【頑強】
・鉄を用いて作られたハネのない矢。使いやすいかどうかは人次第。矢の軸。
ランク2
属性晶石を使うと簡単に属性が付与されるみたいだ。トカゲの鱗だと量使わないと出ないんだよこれが。
ベアシャフトは晶石が足りないために余った矢軸だ。一応コレでも撃てるは撃てるが、なんか心もとないからコレを手品用の矢に使おうと思う。
[コンパウンドボウ]
STR+21 耐久65 重量42
・コクーンの手により生み出された近代的な弓。鉄のみで作られているため重い。
ランク4
[コンパウンドボウ(貫)]
STR+20 耐久40 重量16
【風属性:中】 付与【貫通】
・コクーンの手により生み出された近代的な弓。鉄のみで作られているが肉抜きされていて本来より1/3の重量になっている。
金属で作られているが、属性によって金属ペナルティが減少される。打ち出した矢は貫通力が増す。
[コンパウンドボウ(改)]
STR+22 TEC+17 耐久50 重量14
【頑強】【柔軟】 付与【増幅】
・コクーンの手により生み出された近代的な弓。鉄のみで作られているが肉抜きされていて本来より1/3の重量になっている。
かなり手が加えられており、近代的で複雑な構造になっている。集魔石の周囲に増幅の刻印がされており少しの魔力で満タンになる。折りたたみ可能。
ランク8
[今回の行動で【識別】のレベルが上昇]
[今回の行動で【鑑定】のレベルが上昇]
んで、とりあえずで基本と改良、そして折りたたみ式を作ってみたが五、六個壊してしまった弓に、彫金スキルがないためか刻印を二個つけると自壊したり歯車がかみ合わなくて壊れたりした奴もある。コレはこれで後で鉄塊に戻してまた違う武器の素材にする。
「あー、しかし目がいったいいったい。ちょっと休憩でも挟むとするか」
火の見つめすぎで目がチカチカしだした。瞬きしても直らないからステータスを確認してみると状態異常が表示される欄に眼球疲労と書かれていた。まさかこんな状態異常があるとは……。
しかも回復までの時間が三時間もあるとか俺に生産作業をさせないつもりか? ……まあ、ゲーム中とは言え同じ姿勢だったから休憩がてらベラのところに行ってみるか。錬金してるから状態異常治す薬くらい作ってるはずだ。無かったら回復するまで待つかな。
「おーっす、ベラさんやーい」
「ふぎゃあ!?」
「ふぎゃあって、へんな声出すなよ。女の子だろお前」
「い、いきなりは、入ってくるから。ノックくらいして、ほしい」
「広げたんだからお前の部屋ってわけじゃねえよ。ところで目薬持ってないか? 変な状態異常で目がな」
目がぼやけていて錬金場の文字が見づらかったから来るのに少し時間がかかった。目をこすると若干緩和するが、一秒以内に元に戻ってしまうからめんどくさい。
「目の状態異常? それなら目薬が確かここに……、あ、コレですね」
差し出されたのは点眼タイプの容器だった。まさに目薬って感じ。
[癒しの点眼薬]
・状態異常を緩和させる薬。五回分
使用方法は二滴を点眼すること。次使用まで5分。
ランク2
まさに処方箋の点眼薬だな。まあ、一回使ってみるか。
「ほう、一回につき二十分の減少か。それに近眼みたいに滲んだ視界が度の違う眼鏡した感じになった。……なあ容器って中身無くなったらどうなるんだ? 回復薬みたいに空瓶が残るのか?」
「それね、練成したら一緒に出てきて使い捨てみたいで、一回不完全なやつの中身捨ててみたら砕けて消えた」
「ふーん」
若干緩和したと言えどまだこれじゃあ鍛冶してもいいのが出来ないな。んー……、ボーナスで広げたから錬金でもちゃんとしてみるか。いままでテイムモンスター増やすのと鍛冶の補助くらいにしか使ってなかったから正規かわからないが薬作りでもしてレベリングしてみるか。ちょうど見本になるやつがいることだし。
薬草薬草……、前にドロップして放って置いたやつが数個か……。他の草系は……、雑草かぁ……。
[雑草]
・そこら中に生えている多種多様の効力が無い草。たまにいろいろな種が取れる。
ランク0
んー、まああとで牧場に植えて牧草にでもするか。
錬金台とか窯とかあるから焼けるんだろうが、それも錬金に必要な何かなのかもしれないな。とりあえず、錬金の技能で薬草をカラッカラに乾燥させ砕く。砕いた薬草を擂粉木で……、あ!
[今回の行動で【工作】のレベルが上昇]
[魔道式擂粉木]
・転魔石と擂粉木を組み合わせて作られた。魔力を込めると回転してすり潰してくれる。
ランク4
――ギュイィィィィンッ
おお、簡単に薬草が砕けていくぞ! 見ろ、まるでゴミのようだ!
っと、これ以上は出来ないか。
[薬草粉末]
・これ以上無いくらいにすり潰された粉末。薬としては一応使えるが飲みにくい。
時々咽る。
ランク3
こんなアイテムになったが、飲みにくいし咽るなら使わないほうがいいな。コレを煮出して煮詰めるとヘルスポーションになるみたいだが、あの機材が気になる。
あの、ドリッパーがなぜあるのかが気になるのだ! 手に取ると完全にコーヒーを入れるドリッパーなのだ。抽出とか濾過なら漏斗とかを使えばいいはずなのにここにこういった機材があるというのならば!
使うしかない! コレは使うしかない! あの藤岡式水出しドリップ方法を!
その前に目薬点さなきゃ。
そして時間を掛けて抽出し、その結果出来たものがこちら。
[抽出薬草溶液]
・ゆっくり抽出されたことで全部抽出されてできた溶液。祝福されていて効能は高い。
このままでもHPは回復するが苦い。
ランク5
なんかベラが作ってたポーションのランクが超えたぞ。なんかベラがこっち見ている。そして目で訴えている。(そんな方法があったのか)と。
[今回の行動で【錬金】のレベルが上昇]
ここで錬金のレベルが上がった。未だにコレでどうできるのかは謎過ぎるが、一つわかったことが、機材があれば同じような作業が一瞬で出来る技能を得たということだ。そして状態異常の時間が目薬を合計三回とクーリング合わせて半分を切った。視界の様子もあと少しのところに来て生産活動に支障を出さないようになってきている。
「ふむ、ようやく出来たか。しかし、これは普通にできていいのか?」
[超品質ヘルスポーション]
・さまざまなことが起因して出来上がったポーション。回復率が高く、ランダムで補正がかかる。
ランク9
ランク9が出来るとかなんなのだろうか? まあ助かったのはこれが最初の町で売られている程度のポーションが下地になっていると言うことだ。コレを上品質の薬草からとか、霊山の雪解け水とか機材に祝福とかかかってたらエリクシルでも出来るんじゃねえかと言うほどだ。
目の前にいるベラは完璧に固まってしまっているのがそのやばさを雄弁に物語っている。
[name:コクーン]
種族 人間 女 Lv11
職業:アーチャー Lv8
副職業:テイマー Lv8
STR:26
VIT:25
INT:15
SPD:30
RES:18
TEC:33
[スキル]
弓Lv13 短剣Lv13 鏢LV6 縄LV5
無属性魔法Lv3
鷹の目Lv10 梟の目Lv6 鷲の目LV6
アクロバティックLv9 ダッシュLv13
手品Lv11 識別Lv15(↑1) 鑑定Lv8(↑1)
鍛金Lv8(↑1) 錬金Lv6(↑3) 鍛冶LV8(↑1) 工作Lv10(↑2) 部品製作Lv5(新規↑4)
耐毒Lv2 耐暑LV8(↑1)
スキルポイント7




