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平地での鉱石採取は地面から突き出ている岩をピッケルで叩くと採取できるらしい。こちらはさっきゴリラから取った未識別鉱石みたいにではなく、はじめから識別がされているみたいだ。その理由は採取ポイントが鉱石帯の一部とか、ゴリラは成長過程やらいた場所なんかで種類が変わってくるとか議論が交わされているようだ。
しかも採取ポイントは一人一人採取できその日のうちは出来なくなるようで、ランクや数なども変わってくるらしい。タリスは木の化石がちらほら出て、ディレンナのほうは金属の鉱石より宝石類が若干大目みたいだ。持っているスキルからも影響が出るみたいだな。ディレンナたちが掘った後でためしに俺が掘ってみると確率的に金属が三割、宝石が五分、骨の化石が一割、錆びた道具が一分で虫の卵が一個出てきた。ちなみにティグアは半々の確立で化石か鉱石だった。
「どうする? 十分な採取は出来たようだけど、この後帰るのか?」
「いーやぁ。もちろんイベントを片付けるのさぁ」
俺らからのイベント戦を聞いていたときから考えていたみたいだ。何度も出てくるモンスター相手に経験値うまうまとかアイテムざっくざくとかなんだとよ。まあ、仲間を呼ぶスライムを合体させてから倒すより、二匹残し呼ばせて倒すのが効率いいと攻略本見て思いついたのが懐かしい。
「俺らん時がそうだったからと言ってここもそうだとは限らんぞ」
「そん時は大人しく帰ることにするよ。倒してからな」
「そう言う訳か。仕方ない。ここまで来てしまったんだ。あとはどうにかなれという奴だな」
ティグアも乗り気になってしまった。こりゃ今日中にホームに帰れないと見たほうがいいな。俺はさっさと帰って武器を作りたいんだがな。
待っていたり話している間に手品で短剣を取り出しては消してと手品に経験値を与えておく。他にも短剣を投げて手品技能の引き寄せで手元に寄せたり、送り出しで縄鏢の短剣部分を飛ばしてみている。
「で、どこにあるか知っているのか?」
「先行組みが見つけて挑んでみたけどすぐにやられて何がどうとかはわからなかったらしい。んで、装備を整えたらまた挑むつもりらしいよ」
「装備作るって、レギオンハウス持ってる奴他にいるのか?」
「切断龍団以外だと女性プレイヤーだけの軍乙女と生産派プレイヤーの絡繰技師団。あとは器用な料理軍ぐらいかな。レギオンメンバーは知り合いで固めているけど、今回のイベントでは初心者プレイヤーやレベルや装備が整ってないプレイヤーが一時傘下に入って攻略を進めているみたい」
「そりゃあまたいい具合にばらけてるな。露店で販売している奴らは生産とかのレギオン所属の奴なのか?」
「大半はそうだけど、携帯できる生産道具で作ったものを売ってる人もいるぞ。ここでもらえる施設は携帯用とあまりかわらないらしいし」
そう言えば作業の妨げにならないように切っていたログを確認すると周囲の四方向に加え、その先の一つがクリアされていた。先の奴は生産系だったみたいで絡繰技師団の初期メンバーがクリアしたみたいだ。しかも先の一つをクリアすると施設追加のほかに施設の使用できる人数が増えるらしい。
「へえ。そりゃいいな。と言っても、俺らのところじゃ使用人数増やしてもスキル被ってないし傘下も増やす気ないし」
「知り合いが入りたいって言ってきたら?」
「そのつど考えるだけだ」
どのみち今知ってるプレイヤーは全員メンバーだからあまり関係ない。
[今回の戦闘により副職業レベルの上昇。スキルポイントを1獲得しました。現在6ポイントです。
能力値を1つ上げてください]
[name:コクーン]
種族 人間 女 Lv10
職業:アーチャー Lv8
副職業:テイマー Lv8(↑1)
STR:26
VIT:25
INT:14(↑1)
SPD:30
RES:18
TEC:33
[今回の行動で【弓】のレベルが上昇]
[今回の行動で【縄】のレベルが上昇]
[今回の行動で【無属性魔法】のレベルが上昇]
[今回の行動で【鷲の目】のレベルが上昇]
[今回の行動で【アクロバティック】のレベルが上昇]
[今回の行動で【手品】のレベルが上昇]
[今回の行動で【鑑定】のレベルが上昇]
[今回の行動で【耐毒】のレベルが上昇]
道中出てきた蛇やチンパンジーみたいなモンスターを無属性魔法のショットでこまごまと削ってたり、縄ですっ転ばせて弓でぶっ叩いていたら、なんか耐毒スキルが上がった。そう言えばへんなもん投げてきたり霧みたいなの噴いて来ていたけどあれが毒の元になるのか? まあ、上がってなかったスキルが上がっていてラッキー。
他のやつらに毒の確認したら全員首傾げやがった。遊んでた俺だけがなったのかよ。
そうして見つけたのがパイロンを上下逆で上に重ねたような石造があった。近づいてみるがオベリスクのような反応が見られない。
[示しの石造]
示しと言われても何を示すのか、どこを示すのかよくわからない。こういった謎を解くのに必要な情報が足りなさ過ぎるな。どこかに落ちているものなのだろうか。
「先にイベントが行われていたら二回目以降はモニュメントに触れないと始まらない見たいだからさっさと触ってどうぞ」
「だとさタリス」
そばにいたタリスの背中を強く押し出してやった。いきなりのことでバランスを崩したタリスはそのまま石造に触れる。
『汝の力量如何ほどなりや』
『汝の知恵如何ほどなりや』
『我等の力量如何ほどなりや』
『我等の知恵如何ほどなりや』
『『この地の魔物は如何にする』』
今回巨人が二人いた。俺が見た花崗岩巨人ともう片方は表示は花崗岩と同じで名前はディオライトジガンテ――閃緑岩の巨人みたいだ。そしてインフォの意味がよくわからない。オベリスクのほうは倒せってことは感じ取れたけど、コレはどう取ればいいのだろうか?
そんなことを考えていると地中から二体ゴーレムと四匹のワームが出てきた。
[シュタインゴレムス]
種:質 エネミー Lv6
ランク3
[ピエドラコメール]
種:虫 エネミー Lv4
ランク2
「おいおい、どうするよ……ってうわっ!?」
何かこちらに飛来するものがあって、それを視界に捉えたから横に飛んでよける。
「どうした。いきなり動いて」
「何かしらの飛び道具が飛んできた。何が作用したかわからないが確実にあいつらのほかに何かいるぞ」
「どういうことだ」
「……森、伏兵」
「ってことは、私らがいるこの開けた場所だけじゃなく、もう少し広く戦闘フィ-ルドが設定されてるってわけね。たぶん先に挑戦した人たちはコクーンが言う遠距離攻撃を知覚出来てなかったから何が起こったのかわからなかったみたいね」
「おお、なんかディレンナってとこが引っかかるけどすげえな」
「一言余計じゃ!」
戦闘イベントの場所は始まると他のプレイヤーから隔絶されるらしく、フィールド内にいる俺ら以外が敵ってことだから。
「ティグア! 範囲魔法でこの森を」
「今から私の範囲魔法でこの森を」
「焼け!」「焼く!」
「え?」
「え?」
同じことを考えていたらしくディレンナとセリフが被った。
「承知した。『アグニバースト』! 『アグニディフェンダー』!」
「えっと、『アグニバースト』!」
聞いたとおりに火属性魔法の範囲魔法でティグアは奥の、ディレンナは近くの森に火を放った。それに加えて、射出した火の防御魔法が当たったところに発動して瞬く間に燃え広がった。
すると周りの木々から猿の鳴き声や人のような呻く声が聞こえてくる。
[ダミーツリー]
種:植 エネミー Lv3
ランク2
[ストーンモンキー]
種:獣 エネミー Lv2
ランク1
その場所を識別。そしたら出るわ出るわ。木々に扮していた奴にその葉の中に隠れていた猿共。その数木が十、猿が十四。毒に木の実で森の中に違和感のない蜂の巣なってたはずだ。わかってなかったらただの案山子で死に戻りだったな。
「ディレンナとティグアはそのまま世紀末張りに燃やしてろ。そいつら近づけんな。タリスはゴーレム、俺はミミズをやる」
「……まあ、耐えるから早めで」
どのくらい掛かるかなんて、三m級のミミズに聞いてくれ。こんな大きな虫相手だと呑まれないか不安で不安で仕方がない。
とりあえずは近づいて短剣で斬り付ける。少しぶよぶよしているがきちんとダメージは通るみたいだ。だけど、あまり削れた様子は見えない。仕方ないが、右手のナイフをしまって殴ったと同時に隠し筒を使う。一気に一割削れたが、コレ単発だから今あと一発しか撃てない。しかも暴れだしてしまったから更にどうしようか?
戦っているうちにいい攻撃方法を編み出した。地面にアンカーした縄鏢の縄部分をミミズに巻きつけてバックダッシュで引き絞る。コレで一割から長い間できたら三割削れた。そして一匹をぶちゃぁと二つに分割してゲージが砕けた。後は六割近くが二匹と三割五分が一匹。ゲージで確認しながら一匹に集中して攻撃を与え、邪魔してくるとそいつを無属性防御魔法の『ディフェンダー』で弾きながらちまちま攻撃していたから、ゲージが見えないとどれが一番減っているかわからなくて一番ゲージある奴を攻撃していたこともしばしば。
「うおるぁっ!! バックダ――――ッシュ?」
三割五部の奴を絞ろうとバックダッシュを使うと、アンカーが浅かったのかすっぽ抜けて勢いそのままに大きな株よろしく抜けて行った。しかもその先はタリスが相手するゴーレム。
「タリス気を付け――――」
そのまますっぽ抜けて行ったミミズはゴーレムにぶつかると思いきや大きく口を開けてゴーレムを飲み込んだ。
「「はぁっ!?」」
飲み込まれたゴーレムは数瞬暴れたかと思うと静かになった。捕食……。
「って、呆けてる場合じゃない! とりあえず残り行けタリス!」
「はい!」
「俺はこっちをって回復してるぅぅぅぅぅぅ!?」
飛んでいったミミズのHPは三割近くになっていたはずなのに七割まで回復している。もしかしてコレは……。
「潜るなコラァァァァ!!」
呆けている一瞬の間に潜り始めた残り二匹矢を射る。痛みに驚いて出てくるがHPは六割五分に回復している。
おいコレ地面とかゴーレム、あとここの猿食ったら回復するってことだよな。……てことはさっさと倒さねえとじり貧になるぞおい!
「マルチロック、レインアロー!」
レベル10で出た技能を二つとも使い、空に向けて射ると三匹の上から大量の矢が降ってきた。ミミズたちのHPは六割を切るが、すぐに移動して範囲から逃げてしまう。
「『アグニショット』、チャージバレット!」
逃げた一匹の鼻面に強力な爆発が起こった。それだけでミミズの三割を割った。
「かなり苦戦しているように見えるが?」
「苦戦してんだよ。さっさとMP回復してそいつ片付けろ」
「了解だ」
すぐにマジックポーションを呷ってさっきと同様の技を使うとゲージが割れて消える。
タリスのほうにもディレンナが助けに入っていてこちらに集中できる状態になった。ついでに言えば残りのMPを気にせずに撃てるってことだ。
「必殺昆虫標本!」
ポーチから突撃槍を突き刺して残っている木に留める。ミミズみたいな体のため撓んだから用意に貫いて刺せた。
そして両手に短剣を構える。
「スラッシュ! ダブルスラッシュ! サマーソルト! ショット! ダブルスラッシュ! スラッシュ! ダブルスラッシュ! ……足りねえっ!」
格好つけて連撃で倒したかったがMPが切れてマニュアルでアクロバティックとダッシュを組み合わせて何度も斬りつけ、ようやくゲージが一割を切ったので隠し筒で吹き飛ばした。
[今回の戦闘により種族レベルの上昇。スキルポイントを1獲得しました。現在7ポイントです。
能力値を1つ上げてください]
[name:コクーン]
種族 人間 女 Lv11(↑1)
職業:アーチャー Lv8
副職業:テイマー Lv8
STR:26
VIT:25
INT:15(↑1)
SPD:30
RES:18
TEC:33
[今回の行動で【弓】のレベルが上昇]
[今回の行動で【短剣】のレベルが上昇]
[今回の行動で【鏢】のレベルが上昇]
[今回の行動で【縄】のレベルが上昇]
[今回の行動で【無属性魔法】のレベルが上昇]
[今回の行動で【鷹の目】のレベルが上昇]
[今回の行動で【鷲の目】のレベルが上昇]
[今回の行動で【アクロバティック】のレベルが上昇]
[今回の行動で【ダッシュ】のレベルが上昇]
[今回の行動で【手品】のレベルが上昇]
[今回の行動で【識別】のレベルが上昇]
[今回の行動で【耐暑】のレベルが上昇]
いろいろ使ってたからか一気にレベルが上がった。
上げる能力値は鉄装備だから威力の低下していた魔法を補うために賢さを上げた。しかし、他の属性のペナ減少は属性装備で減るとしても、無属性が付く素材と印なんてまだ知らないから威力低下の魔法を使っていかなならんのか。はぁ。
[石喰い虫の皮]
・ピエドラコメールの皮。弾力性があり柔らかい。素材。
食べれるかも。
ランク4
[石喰い虫の強酸]
・ピエドラコメールの胃から取れる。主食である石などを溶かすためその分強くなっている。素材。
ランク4
[石猿の毛皮]
・ストーンモンキーの毛皮。毛皮にしては硬い特徴を持っている。素材。
ランク2
[石猿の爪]
・ストーンモンキーの爪。硬く、鋭くなっている。素材
ランク2
[石猿の尻尾]
・ストーンモンキーの尻尾。硬くて撓りを持っている。素材。
何かの武器に使えそうだ。
ランク4
[木炭]
・木のモンスターの成れの果て。よく燃える。
おいしいお米が炊けるよ!
ランク1
[今回の行動で【鑑定】のレベルが上昇]
今回得た俺らのほうのアイテムだが、虫の皮を食べる気なんて起きんわ。いくつか使えそうな素材を手に入れたのは上々だな。しかし、このアイテムの説明は米があるってことか。コレってよく聞く備長炭とかじゃなくてもうまくいくのか?
まああったとしてもしばらくは携帯食料だが。
[name:コクーン]
種族 人間 女 Lv11(↑1)
職業:アーチャー Lv8
副職業:テイマー Lv8(↑1)
STR:26
VIT:25
INT:15(↑2)
SPD:30
RES:18
TEC:33
[スキル]
弓Lv13(↑2) 短剣Lv13(↑1) 鏢LV6(↑1) 縄LV5(↑2)
無属性魔法Lv3(↑2)
鷹の目Lv10(↑1) 梟の目Lv6 鷲の目LV6(↑2)
アクロバティックLv9(↑2) ダッシュLv13(↑1)
手品Lv11(↑1) 識別Lv14(↑1) 鑑定Lv7(↑2)
鍛金Lv7 錬金Lv3 鍛冶LV7 工作Lv8
耐毒Lv2(↑1) 耐暑LV7(↑1)
スキルポイント7




