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弓兵はモンスターを駆る?  作者: 狭凪
第一章

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そういえば、VRMMORPGってファンタジーなのかSFなのかどうなんだろうか?


そして、カテゴリーSFランキング初7位(5/27)! うれしい!

「うわぁお……。ゴイスー」



 建物に入って最初に口を開いたのはベラだった。だったと言うか、入った瞬間にティグアは杖と盾をしまい二階へ跳び、明星は一階の探索へ行ったためだ。

 ちなみに、広さは一辺10の四辺で広間のロビーに一階には一辺に一つずつ廊下に繋がる入り口、左右にある階段から上がった先の二階は奥に向かう入り口一つと観察した俺の視線の先は1人だけポツンとカウンターにいる受付の青年を見ていた。



「やあ、君がパーティリーダーだね。さっきの二人には驚いたけど、君たちは比較的に普通そうだね」


「片方は中学生並好奇心の変態でもう片方は基本常駐戦陣の教えを爺から教えられた奴だからな」


「そうか、それは面白いプレイヤーで組んだみたいだね。僕の名前はレーメット。君たちは、コクーンさんとベラドンナさんだね」


「まあ、名前を知っていても看板に書いてあるから不思議ではないな」


「看板の名前変えても良いですか~……。名前が書いてあると恥ずかしさと不安で、げ、ゲロがでそうで……」


「変じゃないのだったらぜんぜん問題なし」


「じゃあ、クロノスタシスで……」


「チェンジだ」


「そうですよね……」


 とぼとぼと操作用コンソールに向かって歩いていくベラドンナから目をレーメットに向けてこの建物の説明を求める。



「そうですねぇ……。一言で言ってしまえばこの建物はご褒美です」


「ご褒美?」


「はい。今いるNPCはこの期間中のみの扱いになりまして、建物とは別のものとなっています。この建物は期間終了時にアイテム化してインベントリの中に収納されます。建物のアップグレードがしたい場合は金銭により上げることが出来ますが、イベント内の戦闘イベントをクリアすると施設内のアップグレードや追加が出来ます。そうですね……、ロクさんからは初日クリアということで各人にひとつ、最低ランクの設備がプレゼントされますが何が良いですか?」


「施設と言うと、どんなものになるんだ? 口頭だけだと何が取得可能だかわからないんだが……」


「そうでした。忘れてましたよ。ではこちらからお選びください」



 差し示された手の先に二つの仮想ウインドゥが開き、戦闘施設と生産施設が書かれていて生産施設を選択すると施設の一覧が現れた。基本的な鍛冶や調合施設のほかにも木工や硝子、あるとは思わなかった牧畜に畑と言った施設まで表示された。戦闘施設だとどのようなものがあるのか非常にそそるが、戻るのボタンがないことから一回決めの意地悪設定になっているらしい。

 にこやかに微笑んでいるレーミットの表情が意地悪なニヤニヤ笑いに見えてくる。まあ、これをスクショしておいて注意点を書いて質問掲示板ではない交流掲示板のほうに流しておく。あとは、パーティの三人にも送っておく。



「じゃあ、鍛冶の設備にしておくか。しかし、施設の設備はどのくらいなのかわからないから悩んだ」


「設備はランクが低いと鍛冶なら簡易的な炉と鉄打ち台それと冷却水ようの桶くらいかな? その程度だとコクーンさんの短剣は作れないと思いますよ」


「その情報は先に欲しかったかな……」


「『その情報はロックされており返答できません』と言うことになったからどちらにしても選んだ後にしか設備は聞けないよ。さて、コクーンさんの要望には応えましたので他の三人方をお呼びするか鍛冶をしてきますか?」


「先にベラのネーミングセンスを見てからにするよ」


「ああ、その選択肢もありましたね」



 コンソールに向かって打ち込んでいたベラが一段落したのか手を下ろしているから、後ろから雑草の葉っぱを髪に差し込んでみる。



「ひっ、どうしたんですか?」


「どうしたとかお前のネーミングを見に来たんだよ。どうなったのかなーって」


「ま、まあそこそこの名前にしてみましたよ」


 表示画面には『空雲の在処ありか』と打ち込まれていた。どういう意味で打ち込んだか知らないが、空雲とは微妙な使い方をしているな。崩さないようにどう変化させようか……。



「とりあえずお前あそこのレーミットのところに言ってこいよ。施設が設置出来るみたいだからお前の好きなもんでも選んで来い」


「えっ……、あっとその……」


「選ぶときは選択式だからさっさと言って来い」


「……はい」



 しぶしぶみたいな感じで行くなよ。お前に必要な施設なんだからうれしそうに行ってこいや。

 さて、名前なんて改変しようかな~。





「お、看板の名前を決めているのか。しかし、それは……どうなんだ?」


「俺もそう思った。なんでこうなったんだろうか」



 ティグアが戻ってきたときには表示されている文字は『流転るてん中空ちゅうくうにある八重やえの雲の在り場』となっていた。どこの厨二名もしくは小説だこれ? これならベラのほうがまだましだ。おっかしいな? どこで厨二の心が騒いだんだ?



「え、あ? なんかすごいことになってる」


「ああ、すまん。俺もここまでするつもりはなかったんだが、いつの間にか寝かせていた厨二の心が騒いでしまっていたようでこのような状況に……」


「これならクロノスタシスのほうがまだましなような気がします……」


「ふむ……、ならばこれならどうだ?」



 ティグアがコンソールを操作して文字を消していくと残った文字は『流転の八雲』になった。



「あー、まあこれならいいでしょう。決定してしまいますか」


「そうだな。これなら個人ギルドっぽくもなるからいっか」


「なら決定だな」



 全員の決定の元、この建物の名前は『流転の八雲』と決定した。あとは褒美の施設決めだが……。



「ちょっとまって! 俺の意見は!」


「え?」


「え?」


「あ、忘れてた」


「素で忘れてたベラの一言が一番傷ついた!!」



 なんか変にひねった名前とか普通すぎる名前くらいしかださなそうだし捌けてたんだが、ベラお前友達だろ? 覚えてろよ。



「ところでティグアは選んだのか?」


「ああ。ベラと一緒のときと重なった。私が選択したのはコクーンが選んでないであろう修繕場を選んだ」


「わ、私は、……調合室を」


「え、生産室選んだのか? 俺は訓練場を選んだんだが……不味かったか?」


「そんなことはない。個人で決めたものだからとやかくは言わん。しかし、修繕場か。そういえば鍛冶場の説明の中には砥ぎの道具がなかったな見落としていたか」



 流し見してたからそこんとこ見逃してたな。



「それでお前ら二人はどうする?」


「私は昨日のドロップで出たアイテムで調合しておきたいです」


「俺はちょっと狩りに出たいな。情報収集も兼ねて」


「私は、そうだな……、この変態とともにそこらでも周っておくとするよ」


「そうか。ペアが別々で行動することになるのか。……レーメット、一応聞くがパーティが一定距離以上離れたところで戦闘するとどうなるか知ってるか?」


「そうだね~……。離れた場所での戦闘で戦闘する人をA、宿で寝ている人をBとすると、Aだけに経験値が入るね」



 寄生虫して楽してレベ上げは出来ないってことか。



「と言うことだ。それにしてもベラには戦ってもらいたいんだけど……」


「嫌です、戦いたくないです。断固拒否です。私は生産でレベ上げしますぅ……」


「チッ。じゃあ、マップの確認と出現傾向、あと採取できるアイテムの情報は頼んだ」


「了解した。まあ、期待はしないでくれ」


「じゃあ、行ってくるぜ~い!」



 二人がドアから出て行くのを見送りしてから、立ち上がって背を伸ばして鍛冶場に向かう。その前にベラがいたところを見ると、すでにいなくなっていた。さっきの今でいなくなるとか以外にも速さは高いのか?


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