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弓兵はモンスターを駆る?  作者: 狭凪
第一章

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 教えられた道を行き、路地裏から建物の扉をノックする。


「はいはい。えっと、お前誰?」

「どうも、ディルマのオッサンからの紹介でやって来たコクーンです」


 出てきたのは痩身の左目を赤紫色の髪で隠した男性だった。身長は今の俺より目一個分小さいくらい。


「ああ、あのオッサンからか。私はメトロフ。ふぁっ……ぁぁ。ああ、すまん寝起きなんで」

「別に構わないんだけど、不躾で悪いが早速教えてくれないか?」

「せっかちなやつだ。まずは教えることがあるから座学からだ。入れ」


 奥に入っていき手招きする。そこそこ店の中は綺麗で、置かれている装飾品や点々と武器や防具に識別をかけると鉄だけで作られた無能力ヴァニラ装備に追加能力があった。


「さて、私が身を置いている界隈には紹介された通り、大まかに二通りの方法がある」


 通された部屋には素材だか道具だかわからない山から黒板を取り出して立てかけ、いやいやながら説明をし始める。


「付与術は魔法技能に類するものであり、魔法の類であるから道具はいらない。金属に対してはペナルティは発しないし、発するのはおかしい。まあ装備をしていると発生する」

「魔法技能ってのはどれでも金属装備でペナルティが発生するんだな」

「そう言うものだ。で彫金は技術技能で、付与術とは違い技能であるから道具は使うし、消耗するから金銭面に消費がそこそこある。もちろん刻むのは技術が必要だ」


 一本二本と指を立てて説明した後、立てかけられた黒板には金銭に注意と書かれた。その次に下側に丸形、雫形、三角形、四角形、五芒星の形が書かれた。


「私達が使用する紋様は、|世界の法則(ゲーム設定)で決まっており丸は風、雫は水、三角は火、四角は土となっていて五芒星は光である」

「闇の形は無いのか?」

「闇のは未だ見つかってない。いろいろと試してみたが、まだ闇属性が付いたことはない」


 五角形、六角形、六芒星、波形、三日月と書いていくが、それらには別の役割が設定されているみたいだ。夜だとか反発、正に逆などの意味合いを持つほか意味を組み合わせ次第で持つ形があるとか。

 それらの形とほかにもある形を3個から組み合わせていくことで効力を発揮するらしい。最低限形を成していればいいらしくどこかが重なっていても、サイズが1cm未満でも1kmであっても発揮するとのことだ。まあそんだけデカい記号を配置出来るアイテムがあっても持ち運べないし使えないだろうな。


「意味を重ねて行くにしても重ねる順番で刻んだものが発揮する能力も変わってくる」


 雫、五角形、三角と黒板に書く。


「道具にはどの方向からがという決まった方向がない。剣にしても刃先が上を向いて上から順が正しいのか、下を向いて上からなのか。ならば逆になったら発揮しないのかとなるだろう」

「そうだな。円形のアイテムに一周する形で刻むとどうでるかわからないな」


 傘連判状のように誰が最初になるのかが変わってくる。


「そうなると書いた順が重要になる。たとえば先ほど書いた順になると、水、抵抗、火だがどうなると思う」

「先に付けられる属性が水で抵抗? 抵抗で抵抗の後に火……」


 水属性に抵抗が火ってことになるんだよな、順当に考えると。てことは。


「【火抵抗:小】になるのか?」

「そうだ。これは応用編の範囲になるのだがよくわかったな。組み合わせの基本では“+”を使い“抵抗”の五角形と“火”の三角の間に+を入れることで【火抵抗:微】が入る。これは武器、防具に付けても得られるが、抵抗+火と入れると実質二文字しか入らない」

「プラスは足すや加える以外に意味はほとんど無いから、というわけでほかのものに変えても支障はでないというわけか」

「そう言うことだ。数式の様な記号を使う場合もあるが、だいたいが意味をなさない状態で解明されていない。付与と彫金は仕方が別だがこの記号の使用は同じだ」


 用は手作業か魔法かってだけらしい。どちらとも半永久的に効力を発揮するから自分に合った奴を選べだと。

 まあ、ここに来た時点で紹介された兄弟の仲は悪いもんだからこれと決まったものか、両方だめかと言う結果になるってことだ。



「ここまで付与と彫金に共通していることを説明したが、ここからは相違している事を教える」

「おう」

「効果を発揮させるには記号を組み合わせる、組み合わせる順番をさっき説明した。だが付与と彫金では一目瞭然の違いがある。なにかわかるか?」


 一目瞭然なことか……。両方の品物があれば比べられるが、ホントに嫌いあっているらしくそれが物にまで含まれているのかメトロフが施したらしいアイテムしか置かれていない。ほんとに相手のこと嫌ってるみたいだ。


「……まあ、たぶんだが見た目なのか? 魔法によって付与されると魔法だから不可視の状態で、手作業だと紋様が表面に現れるとか……?」


 ぼそぼそと答えると小さくて聞き取りづらかったのか怪訝な顔を一瞬だけしたが、聞こえた中から文章をつないでいるのか考える仕草をする。


「まあ、一概にはそういったところだ。ほかにも多少差異はあるがな」

「正解か不正解かそんな顔で言われたら不正解にしか聞こえないぞ」

「そうか、すまないな」


 自分のやっている仕事に対して多く陶酔しているのか、相手の仕事に対して忌避した考えを持っているのかどちらとも取れる表情をする。というか両方な気がする。ほんと仲悪いのな。

 それから、俺の答えに対してあーだこーだと説明をし始め、2,3聞いていたがかなり自己完結している話ばかりがずらずらと続いていたのでその間他のサイトのフラッシュゲームをして暇を潰した。校長先生張りに言葉が違えどループしたことを言ってもいた。しょーじきめんどいからさっさと作業に入って自分でスキルのレベルを上げたい。

 そう思ったときにようやく無駄な話が終わった。何だろう、十時間くらい聞いていた気がする。実際はゲームのダンジョン二周半くらいの時間だったみたいだが。


「さて、脱線はしてしまったようだが、座学で教える基本はここまでだ。ここからは実際に現物に付与する作業を行おうと思うが……、確かここら辺だったはず」


 そう言ってがさごそと黒板を出した場所から時間をかけて少しくすんだ道具を発掘した。


[彫刻刀セット]

 彫金や彫像に使われる道具。放置されていたからか少しさびている。使い込まれている様子も見て取れることから耐久は少し減っている。

 メトロフのお古。



「たぶんここに何個か埋まっているはずだからその分は好きに使ってもいい。他の道具には何もするなよ? あとこの黒板……とあったあった、チョークをやるから作ったのを少し持って来い。今日はもう遅いから無理だがアドバイスくらいはしてやる」


 またこの放置パターンか! ちっ……、まあいい。イベントまでには間に合わせれなそうだが、イベント中にでも完成させればいいか。最悪放置でもいいし。

 で、もらった小さい黒板とチョークだが、黒板の方には破壊付加がデフォルトで付いていた。え? 失敗すると爆発でもすんの!?

 ちょっとばかり不安になった彫金取得のイベントだった。鍛冶のイベントでもそうだったが、認められるもん作らんとスキルは得られないみたいだ。めんどくさいが、あいつのためにも装備を充実させとかないと。

 その前に何個か彫刻刀掘り出しておかないと壊れたときまたここにこねえとならんくなるからできるだけ貰っておこう。

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