6
二人で呆然としてその場に立ちすくんでいると男の声が聞こえてきた。
「オーディンが倒されたか……」
はっとして声がした方を見ると空中に浮いていた五人が地面に降りて近づいてきた。まっちゃんが身構える。
改めてこの五人をよく見てみる。白い衣装をまとった老人、9,10歳くらいの子供、眼鏡をかけてる青年、40代と思われる隻眼の男、そして月のような美貌を持つ銀髪の女。
人とは思えない雰囲気。真実を知るための唯一の手がかり…………
その中で眼鏡の男が俺達に話しかける。黒縁の眼鏡が整った顔によく似合っており、スーツのような少し固い印象を受ける服装をしている。
「正隆、永志、お前達はオーディンを倒した。この世界が終わりに向かうことが許されたのだ」
まっちゃんが構えをゆるませ応じる。
「……どういうことだ?」
「真実を知りたければ私達を全員倒しなさい。次は私、クレイオだ」
「………………」
そう言って何かブレスレットのような物を投げてよこした。片手でまっちゃんはそれを受け取る。
「それが私達の居場所を教える。私達を倒す意思があるのならそれに従うといい」
その言葉を最後に五人はその場から消えた……。音もなく、まるで存在しなかったように……。
残ったのは倒れているシコウとアルだけ。
「はーーーわっっっっけ分かんねーーーー!!」
ま っちゃんがそう叫んで地面に座り込む。そして申し訳なさそうに、俺とは目を合わせずに話しかけてくる。
「……永志、巻き込んですまない」
何を申し訳なさそうにしているのだろうか? そう思い俺もまっちゃんの隣に座り、呼びかける。
「まっちゃん…………」
「うん?」
「久しぶり」
「………………」
「………………」
しばしの沈黙の後まっちゃんは声をあげて笑い始めた。俺もつられて笑い始める。まっちゃんが笑いをこらえながら答える
「ああ……っ……ハハ……うん、久しぶりだな永志」
「………………」
「………………」
二人の笑いが収まってまた沈黙が訪れた。今度は俺から話しかける。
「俺は今日までまっちゃんを忘れていた」
「……うん。知ってる」
「……聞きたいことが、たくさんある…………」
「……分かってる。俺が知ってる範囲なら答える。……でもその前に…………」
そう言ってまっちゃんはめんどくさそうに立ち上がり、倒れているアルとシコウのもとに歩み寄っていく。
「……こいつら運ぶの手伝ってくんね?」